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大学専攻と職務の一致求めず労働許可、「専門家」要件緩和

ベトナム政府は18日、外国人がベトナム国内で働く際の労働許可証(ワークパーミット)の取得要件を一部改正する政令を公布し、即日施行した。外資系企業の一般駐在員などに適用される「専門家」資格の認定の際に要求されていた卒業大学などでの専攻分野と職務の一致要件を正式に削除し、不要になった。職務と学歴の専攻一致要件は、2021年の新型コロナウイルス流行期に特例的に削除されたが、23年以降は再び一致が要求され、外資系企業に混乱が生じていた。

政府は、ベトナム国内で働く際の労働許可証の取得要件を一部緩和した(ホーチミン市入国管理局の公式サイトから)

労働許可証の取得手続きに関する新たな規定は、18日に即日施行された政令70号(70/2023/ND—CP)に盛り込まれた。同政令により、外国人労働者の就労などに関する政令152号(152/2020/ND—CP)の一部が改正された。
同政令では、「専門家」を「大学または同等の教育機関を卒業し、ベトナムで就労予定の職位に適合した3年以上の実務経験を有する者」と定義し、従来の政令152号で要求されていた「ベトナムで就労予定の職位に適合した分野を専攻」の文言は削除した。これにより、ベトナムでの職務と卒業大学等での専攻の一致は要求されないことになった。
外国人の労働許可証を巡っては、21年2月に施行された政令152号で、「企業が専門家であると認定した書類を有する場合」との文言が除外された。このため、当該社員を「専門家」と認めるかどうかに対する企業の自主判断は一切考慮されず、「専門家」の認定が大幅に厳格化されていた。
■21年に特例で緩和
ベトナムで就労する職位と、卒業大学等の専攻は強い関連性が求められるようになり、通常は期間2年のベトナムでの労働許可証の再取得や、新規取得が困難になった。大学の人文系学部出身者などが金融機関のベトナム拠点で勤務することなどが難しくなる事例が相次ぐなど、在ベトナムの各国経済団体から見直しを求める声が多く上がっていた。
学歴と職務の一致要件に関しては、21年9月に発出された、新型コロナ流行下での企業・協同組合などの支援に関する決議105号(105/NQ—CP)で特例的に緩和されたが、22年末に失効していた。
長島・大野・常松法律事務所ハノイ・オフィス代表の澤山啓伍弁護士によると、「同決議の失効後は、再び学歴と職務内容の一致が要求されるようになっており、労働許可証の取得手続きで問題が再発していた」という。
今回施行された政令70号では、改めて正式に「専門家」の定義を改正することで、問題解消を図る狙いがあるとみられる。澤山氏も、「学部と職務内容の関連性が不要になったのは良い点だ」と評価した。

■外国人の必要性報告は厳格化
「専門家」の要件が緩和された一方で、外国人採用の必要性報告に関しては厳格化された。従来は、外国人採用の前にその必要性(その職位がベトナム人では対応できないこと)を当局に報告するのみでよかったが、今回の改正では実際に同職位でベトナム人の採用募集を実施することを要求した。24年1月1日以降、外国人労働者の雇用が見込まれる役職については、労働・傷病軍人・社会事業省傘下、または各省市人民委員会傘下の求人ポータルサイトにベトナム人労働者の求人広告を出す必要がある。ベトナム人労働者を採用できなかった場合にのみ、外国人労働者を雇用する必要性が認められる。
■発行業務は労働省・局に集約
このほかの主な変更点では、外国人労働者の雇用に関する理由説明報告書の提出期限が従来から短縮された。これまでは、雇用者は外国人労働者を雇用するにあたり、雇用を開始する30日前までに当局に理由報告書を提出する必要があったが、改正により15日前までに期限が短縮された。
労働許可証の発給を含む外国人労働者の管理業務に関しては、従来は労働・傷病軍人・社会事業省および各省市の同局と工業団地や経済区の管理委員会が担ってきたが、労働・傷病軍人・社会事業省・局が担う形に変更された。これまで特に大都市などでは、工業団地などの管理委員会が労働許可の発給業務を担うことが多かった。
今回の変更により外国人の雇用手続きは一部緩和されたが、政令公布後の周知期間がなかったため実務レベルで混乱が生じる可能性が懸念されている。

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同政令では、「専門家」を「大学または同等の教育機関を卒業し、ベトナムで就労予定の職位に適合した3年以上の実務経験を有する者」と定義し、従来の政令152号で要求されていた「ベトナムで就労予定の職位に適合した分野を専攻」の文言は削除した。これにより、ベトナムでの職務と卒業大学等での専攻の一致は要求されないことになった。
外国人の労働許可証を巡っては、21年2月に施行された政令152号で、「企業が専門家であると認定した書類を有する場合」との文言が除外された。このため、当該社員を「専門家」と認めるかどうかに対する企業の自主判断は一切考慮されず、「専門家」の認定が大幅に厳格化されていた。
■21年に特例で緩和
ベトナムで就労する職位と、卒業大学等の専攻は強い関連性が求められるようになり、通常は期間2年のベトナムでの労働許可証の再取得や、新規取得が困難になった。大学の人文系学部出身者などが金融機関のベトナム拠点で勤務することなどが難しくなる事例が相次ぐなど、在ベトナムの各国経済団体から見直しを求める声が多く上がっていた。
学歴と職務の一致要件に関しては、21年9月に発出された、新型コロナ流行下での企業・協同組合などの支援に関する決議105号(105/NQ—CP)で特例的に緩和されたが、22年末に失効していた。
長島・大野・常松法律事務所ハノイ・オフィス代表の澤山啓伍弁護士によると、「同決議の失効後は、再び学歴と職務内容の一致が要求されるようになっており、労働許可証の取得手続きで問題が再発していた」という。
今回施行された政令70号では、改めて正式に「専門家」の定義を改正することで、問題解消を図る狙いがあるとみられる。澤山氏も、「学部と職務内容の関連性が不要になったのは良い点だ」と評価した。

■外国人の必要性報告は厳格化
「専門家」の要件が緩和された一方で、外国人採用の必要性報告に関しては厳格化された。従来は、外国人採用の前にその必要性(その職位がベトナム人では対応できないこと)を当局に報告するのみでよかったが、今回の改正では実際に同職位でベトナム人の採用募集を実施することを要求した。24年1月1日以降、外国人労働者の雇用が見込まれる役職については、労働・傷病軍人・社会事業省傘下、または各省市人民委員会傘下の求人ポータルサイトにベトナム人労働者の求人広告を出す必要がある。ベトナム人労働者を採用できなかった場合にのみ、外国人労働者を雇用する必要性が認められる。
■発行業務は労働省・局に集約
このほかの主な変更点では、外国人労働者の雇用に関する理由説明報告書の提出期限が従来から短縮された。これまでは、雇用者は外国人労働者を雇用するにあたり、雇用を開始する30日前までに当局に理由報告書を提出する必要があったが、改正により15日前までに期限が短縮された。
労働許可証の発給を含む外国人労働者の管理業務に関しては、従来は労働・傷病軍人・社会事業省および各省市の同局と工業団地や経済区の管理委員会が担ってきたが、労働・傷病軍人・社会事業省・局が担う形に変更された。これまで特に大都市などでは、工業団地などの管理委員会が労働許可の発給業務を担うことが多かった。
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