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搾りたて自販機で日本市場開拓アイジュース、世界展開の布石に

シンガポール発の搾りたてオレンジジュースの自動販売機が今年、日本に進出した。アイジュース(IJOOZ)という社名を冠した自動販売機「アイジュース・スマートジューサー」だ。日本を含む世界34カ国に展開しているが、自社の直接運営はシンガポールに次いで日本が2カ国目で、関東・関西地区に設置している。日本市場の開拓を通じて得た経験を糧に、直接運営による世界展開を目指す。【大友賢】

シンガポールのアイジュースは2月から日本で自動販売機の直接運営を開始した(同社提供)

アイジュースは2016年創業。シンガポールでは現在、道路沿いやビルの一角などで約800台の自動販売機を稼働している。気軽に本格的な搾りたてのオレンジジュースが楽しめるため人気を博している。
現地での年間売上高は約3,000万Sドル(約32億8,300万円)。1杯2Sドルのオレンジジュースが1,500万杯売れている計算だ。
スマートジューサーの売りは1杯当たりオレンジ4個をその場で搾り、提供するだけではない。最大の特徴は独自のIoT(モノのインターネット)技術により、自動販売機の効率的な運営を行っていることにある。
全てのスマートジューサーは自社のクラウドシステムとつながっている。販売情報だけでなく温度管理やオレンジの残数といった稼働状況も随時把握することができ、こうしたデータを基に運用の効率性を向上させている。保守管理をする自社のオペレーターがいつ到着して、いつ離れたかといったところまでモニター可能なため、衛生面の管理も万全だ
IoT技術を活用する企業としての一面を支えているのが、自前の研究開発施設とソフトウエア開発技術だ。中国ではスマートジューサーの製造工場を持つ。
■日本で年内に300台稼働
日本には今年2月に進出した。埼玉県川越市に日本本社と倉庫を構え、都内にもオフィスを置いている。
4月に日本第1号機の運用を関東地区で開始して以来、64台が稼働している。9月には大阪にも倉庫を開設。従業員はシンガポール人、日本人、中国人で構成され、現時点で30人まで増えた。
海外展開する際、従来は現地の提携先とフランチャイズ方式で事業を展開するビジネスモデルを採用していたため、各国にオフィスを構える必要はなかった。ただ日本進出にあたり、初めてシンガポール国外で直接運営することを決めた。
日本法人アイジュース日本のギャビン・リー最高経営責任者(CEO)はNNAの取材に対し、「日本では『自販機文化』が定着しており、一人当たりの自動販売機数も世界で最も多く、市場が大きい」ことを直接運営の理由として挙げた。
他の自動販売機やコンビニなどとの競合については、「日本では『搾りたて』のジュースはあまり販売されておらず、そこに商機がある」との見解を示した。
スマートジューサーの稼働以来、評判は上々だ。カップ1杯で350円という価格はシンガポールよりも高いが、日本の方が米国やオーストラリア産オレンジの輸入や関税などにかかるコストが高いためという。
日本では年内に300カ所で稼働する予定だ。現在展開している関東・関西地域に加え、九州や東北、北海道などの地域への進出を計画している。当面の目標は「年間1,300万~1,500万杯を販売できるようにすること」(リーCEO)だ。
■香港、韓国、米国など視野に
シンガポールでは、スマートジューサーにスナックやペットボトルのジュースなど他の商品を販売する冷蔵棚を組み合わせた「アイジュース・スマートショップ」も運営。IoTを活用し、在庫や運用状況などをクラウドを通じて集中的に管理できるようにしている。日本では来年からの導入を検討している。
日本での直接運営を軌道に乗せた後は、その経験を生かして他の国・地域にも直接運営のビジネスモデルを横展開したい考えだ。香港、韓国、米国などが候補に挙がっているという。

シンガポール国内に設置されたアイジュースの「スマートショップ」=シンガポール中心部(NNA撮影)
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アイジュースは2016年創業。シンガポールでは現在、道路沿いやビルの一角などで約800台の自動販売機を稼働している。気軽に本格的な搾りたてのオレンジジュースが楽しめるため人気を博している。
現地での年間売上高は約3,000万Sドル(約32億8,300万円)。1杯2Sドルのオレンジジュースが1,500万杯売れている計算だ。
スマートジューサーの売りは1杯当たりオレンジ4個をその場で搾り、提供するだけではない。最大の特徴は独自のIoT(モノのインターネット)技術により、自動販売機の効率的な運営を行っていることにある。
全てのスマートジューサーは自社のクラウドシステムとつながっている。販売情報だけでなく温度管理やオレンジの残数といった稼働状況も随時把握することができ、こうしたデータを基に運用の効率性を向上させている。保守管理をする自社のオペレーターがいつ到着して、いつ離れたかといったところまでモニター可能なため、衛生面の管理も万全だ
IoT技術を活用する企業としての一面を支えているのが、自前の研究開発施設とソフトウエア開発技術だ。中国ではスマートジューサーの製造工場を持つ。
■日本で年内に300台稼働
日本には今年2月に進出した。埼玉県川越市に日本本社と倉庫を構え、都内にもオフィスを置いている。
4月に日本第1号機の運用を関東地区で開始して以来、64台が稼働している。9月には大阪にも倉庫を開設。従業員はシンガポール人、日本人、中国人で構成され、現時点で30人まで増えた。
海外展開する際、従来は現地の提携先とフランチャイズ方式で事業を展開するビジネスモデルを採用していたため、各国にオフィスを構える必要はなかった。ただ日本進出にあたり、初めてシンガポール国外で直接運営することを決めた。
日本法人アイジュース日本のギャビン・リー最高経営責任者(CEO)はNNAの取材に対し、「日本では『自販機文化』が定着しており、一人当たりの自動販売機数も世界で最も多く、市場が大きい」ことを直接運営の理由として挙げた。
他の自動販売機やコンビニなどとの競合については、「日本では『搾りたて』のジュースはあまり販売されておらず、そこに商機がある」との見解を示した。
スマートジューサーの稼働以来、評判は上々だ。カップ1杯で350円という価格はシンガポールよりも高いが、日本の方が米国やオーストラリア産オレンジの輸入や関税などにかかるコストが高いためという。
日本では年内に300カ所で稼働する予定だ。現在展開している関東・関西地域に加え、九州や東北、北海道などの地域への進出を計画している。当面の目標は「年間1,300万~1,500万杯を販売できるようにすること」(リーCEO)だ。
■香港、韓国、米国など視野に
シンガポールでは、スマートジューサーにスナックやペットボトルのジュースなど他の商品を販売する冷蔵棚を組み合わせた「アイジュース・スマートショップ」も運営。IoTを活用し、在庫や運用状況などをクラウドを通じて集中的に管理できるようにしている。日本では来年からの導入を検討している。
日本での直接運営を軌道に乗せた後は、その経験を生かして他の国・地域にも直接運営のビジネスモデルを横展開したい考えだ。香港、韓国、米国などが候補に挙がっているという。
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