「明日は大きなセレモニーがあるね」。21日夜、知人のインド人がほほ笑んだ。翌日はテレビも新聞もその話題で一色。自宅周辺は音楽や花火の大きな音が夜まで響いた。
北部アヨドヤで22日、ヒンズー教寺院「ラム・マンディル」の落成式が開かれた。寺院の建設地は元々、イスラム王朝ムガール帝国時代の16世紀から続くモスク(イスラム礼拝所)があった場所だ。1992年、ヒンズー至上主義団体が「かつてはヒンズー教寺院があった」としてモスクを破壊。その後、ヒンズーとイスラムの両教徒間で千人以上が死亡する暴動に発展した。
最高裁は2019年、モスク跡地をヒンズー教徒側に引き渡す判決を下したものの、22日は「ここまでやるか」と思うほどの祝福ぶりに少々困惑した。経済成長など明るい話題が多いインドだが、宗教対立は国が混乱するリスクの一つ。国民の度量が試される。(鈴)
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