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グリーン水素振興へ投資優遇既存法を活用、28年生産視野

フィリピン・エネルギー省は水素産業の振興へ投資優遇措置を設けると発表した。製造過程で二酸化炭素(CO2)を実質排出しないグリーン水素をはじめ、幅広い種類の水素開発を対象にする。現時点では高コストで実用性は低いが、既存の法律などを活用して企業の負担を減らし投資誘致につなげる。2028年に生産や貯蔵の実現を目指す。

英シェルがカナダで設置した水素ステーション(同社提供)

水素は発電に限らず、自動車の燃料や製鉄など幅広い用途がある。特に再生可能エネルギーで発電した電力を使用してつくるグリーン水素は、次世代エネルギーとして先進国を中心に企業が開発に動いている。
エネルギー省が3日発表した優遇措置では、発電施設などで使用するグリーン水素や派生品の製造と輸出入を主目的とする事業を、08年制定の再生可能エネルギー法の優遇措置の対象に含めるとした。所得税の免除や再エネ関連の機械・設備・材料に対する関税の免除、機械設備に対する特別不動産税率の適用を認める。
ほかにも純営業損失の繰り越しや所得税免除後の優遇法人税率を付与する。再エネ販売と購入に対する付加価値税(VAT、日本の消費税に相当)の免除、炭素クレジットの免税、国内の資本設備やサービスに対する税額控除も可能になる。
燃料電池を用いた運輸部門への水素導入に関連する事業は、電気自動車(EV)産業開発法の優遇措置を活用し、水素ステーションの完成施設の輸入に対して8年間の免税を認める。水素ステーション施設の製造・組み立て、部品・機材の輸入、設置・運営には、企業復興税優遇法(CREATE)の優遇措置を適用する。
原子力発電所に由来する水素や派生品に関連する事業には、エネルギー効率化・保全法に基づき所得税免除などを認める。水素インフラ関連の研究開発(R&D)には、企業復興税優遇法による優遇措置に基づいて付与する。
エネルギー省は、水素産業の振興に向けたロードマップ(行程表)も示した。28年までに政策に関する調査・開発、国家政策の枠組み策定、実用化に向けた官民による協力体制の構築を完了する。28年以降は水素産業のインフラ整備支援を通じ、生産、輸入、貯蔵、輸送、配送の開始を見込む。外資投資の誘致も本格化する。
水素の種類はエネルギー源に応じて分ける。自然の水素は「ホワイト」、再エネやバイオガス、バイオマス由来は「グリーン」、原子力による生成は「ピンク」などとした。一般的な製造過程である天然ガスを用いた水素は「グレー」とした。この製造過程で発生した二酸化炭素を回収してつくる水素を「ブルー」と定義した。
水素を活用しようとする企業もある。英石油大手シェル系のシェル・ピリピナス・コーポレーション(旧ピリピナス・シェル・ペトロリアム)は、マニラ首都圏近郊のバタンガス州で国内初の水素製造設備を建設する計画を明らかにした。

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