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プラボウォ氏が勝利宣言大統領選、得票率速報値は6割弱

5年に1度のインドネシア大統領選挙は14日投開票が行われた。複数の調査機関が伝えた得票率の速報値によると、3組で争った大統領選は、プラボウォ・スビアント氏(国防相、与党グリンドラ党党首)のペアの得票率が57~59%となり、投票1回目での当選をうかがっている。開票作業は午後9時時点でも続いており、公式結果は未確定だが、プラボウォ陣営は同日夜に勝利宣言をした。プラボウォ氏は、3選が憲法上禁止され今年10月で任期満了となるジョコ・ウィドド大統領の路線継承をアピールし選挙戦を展開してきた。
ジョコ氏の後任を選ぶ今回の大統領選は、3組の正副大統領候補ペアが出馬し、ジョコ政権の路線継承か変革かが主な争点となった。3組のペアは、◇プラボウォ氏とジョコ氏の長男ギブラン・ラカブミン氏(中ジャワ州スラカルタ=ソロ=市長)のペア◇アニス・バスウェダン氏(首都ジャカルタ特別州前知事)とムハイミン・イスカンダル氏(国民覚醒党=PKB=党首)のペア◇ガンジャル・プラノウォ氏(中ジャワ州前知事)とモハマド・マフッド氏(前調整相=政治・法務・治安担当)のペア——。
複数の調査機関が実施した、開票所のサンプル調査によると、プラボウォ氏の得票率は57~59%とリード。アニス氏が24~26%、ガンジャル氏が16~17%で続いた。中央選挙管理委員会(KPU)による正式結果の発表は約1カ月後になる見込み。
プラボウォ氏は14日夜、プラボウォ陣営を擁立した政党の党首をはじめ大勢の支持者で埋め尽くされたジャカルタ中心部の室内競技場「イストラ・スナヤン」で、ギブラン氏とともに勝利宣言をした。
プラボウォ氏は、各調査機関が1回で勝利するとの出口調査の集計結果を出したと強調。KPUの結果を待つとは言及したものの、「すべての国民のための大統領、副大統領になる」と演説した。「インドネシア国民自らが決め、国民が望む指導者が選ばれた」と述べ、民主主義は順調に進むと確信していると聴衆に訴えた。
ギブラン氏は「3カ月前には何者でもなかった若輩者の自分が高い支持を得られたのは、若い世代の人たちのおかげだ」と感謝を示し、今後は「(世界の経済大国トップ5入りを目指す2045年の)黄金の年」に向けた準備を若者とともに進めていきたいと強調した。
■対抗馬は選管の最終結果待ち
3つどもえの大統領選は、1回目の投票で50%以上の票を獲得するだけでなく、国内全38州のうち少なくとも20州以上で20%以上の票を得たペアが当選となる。要件を満たしたペアがなかった場合は、上位2組による決選投票が6月26日に行われる。
プラボウォ陣営は各調査機関の速報値で6割近くの得票を獲得しているものの、各州の得票率はまだ判明していない。決選投票が行われる場合、現時点ではプラボウォ氏のペアとアニス氏のペアが進む可能性が高いものの、アニス氏、ガンジャル氏はいずれも速報値について「KPUの最終集計結果を待とう」と述べるにとどまった。
有権者数が約2億481万人のインドネシア大統領選は「世界最大の直接選挙」と呼ばれる。大統領の直接選挙は04年の開始以降、今回が5回目。過去4回のうち3人以上の候補が出馬したのは2回で、決選投票に進んだのは一度だけ。

■路線継承掲げ、若者の支持も獲得
投票前の主要な世論調査では、プラボウォ氏がほかの2候補を大きくリードし、一部の調査では直近の支持率が50%台に到達していた。大統領候補としては、14年、19年に続いて3回目の出馬となったプラボウォ氏は、過去2回の選挙でいずれもジョコ氏に敗れた。今回は、国民的な人気の高いジョコ氏の政策を全面的に引き継ぐ方針を打ち出し、ギブラン氏を副大統領候補に据えるなどして、若者を中心に全世代から支持を集めてきた。ジョコ氏からも実質的な支援を受けた。
元国軍幹部で72歳のプラボウォ氏は、選挙戦でこれまでの「強い指導者」のイメージから、「『優しく穏やかでかわいらしい好々爺(こうこうや)』というソフトなイメージに路線転換した」(日本貿易振興機構=ジェトロ=アジア経済研究所の川村晃一氏)。交流サイト(SNS)上での若者からの好感度も高く、スハルト独裁政権の国軍幹部時代のプラボウォ氏を知らない若年層に受け入れられてきた。
選挙戦では、目玉政策に掲げた全学校の子ども向け給食の無償提供を訴えたほか、東カリマンタン州に整備中の新首都「ヌサンタラ」の開発継続、電気自動車(EV)用バッテリーの原料となるニッケルを含む鉱物資源の川下化などを主張した。
一方、36歳のギブラン氏は、総選挙法で規定する正副大統領の立候補年齢40歳以上を満たしていなかったが、昨年10月に憲法裁判所が同規定を満たしていない場合でも、現職の地方首長などは立候補可能との判決を下し出馬が可能となったことから、有権者から縁故主義批判も出ている。

■反ジョコ票狙うも差縮められず
調査機関の得票率の速報値で2位のアニス氏は、「ジョコ路線」からの変革を唱えてきた。政策的には、新首都への移転の見直しや、ジョコ政権下で成立した投資促進を目的とした「雇用創出法(オムニバス法)」の改正などを掲げてきた。アニス氏は、イスラム的に敬虔(けいけん)なイメージがあり、保守派イスラム教徒の受け皿にもなってきた。また、直近の主要地域別の世論調査で、プラボウォ氏が各地で先行する中、ジャカルタ特別州ではアニス氏がリードしていた。
一方、最大与党の闘争民主党(PDIP)が擁立したガンジャル氏は、得票率が3位に沈んでいる。当初は同党所属のジョコ大統領の後継と目されてきたが、ジョコ氏が実質的にプラボウォ氏を支援したことなどから、昨年10月末に立候補の届け出期間が終了して選挙戦の構図が固まった後から支持率が下がった。ジョコ氏の支持者層がプラボウォ氏に流れたためとみられており、プラボウォ氏との政策的な違いを打ち出せずに苦戦した。

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プラボウォ氏は14日夜、プラボウォ陣営を擁立した政党の党首をはじめ大勢の支持者で埋め尽くされたジャカルタ中心部の室内競技場「イストラ・スナヤン」で、ギブラン氏とともに勝利宣言をした。
プラボウォ氏は、各調査機関が1回で勝利するとの出口調査の集計結果を出したと強調。KPUの結果を待つとは言及したものの、「すべての国民のための大統領、副大統領になる」と演説した。「インドネシア国民自らが決め、国民が望む指導者が選ばれた」と述べ、民主主義は順調に進むと確信していると聴衆に訴えた。
ギブラン氏は「3カ月前には何者でもなかった若輩者の自分が高い支持を得られたのは、若い世代の人たちのおかげだ」と感謝を示し、今後は「(世界の経済大国トップ5入りを目指す2045年の)黄金の年」に向けた準備を若者とともに進めていきたいと強調した。
■対抗馬は選管の最終結果待ち
3つどもえの大統領選は、1回目の投票で50%以上の票を獲得するだけでなく、国内全38州のうち少なくとも20州以上で20%以上の票を得たペアが当選となる。要件を満たしたペアがなかった場合は、上位2組による決選投票が6月26日に行われる。
プラボウォ陣営は各調査機関の速報値で6割近くの得票を獲得しているものの、各州の得票率はまだ判明していない。決選投票が行われる場合、現時点ではプラボウォ氏のペアとアニス氏のペアが進む可能性が高いものの、アニス氏、ガンジャル氏はいずれも速報値について「KPUの最終集計結果を待とう」と述べるにとどまった。
有権者数が約2億481万人のインドネシア大統領選は「世界最大の直接選挙」と呼ばれる。大統領の直接選挙は04年の開始以降、今回が5回目。過去4回のうち3人以上の候補が出馬したのは2回で、決選投票に進んだのは一度だけ。

■路線継承掲げ、若者の支持も獲得
投票前の主要な世論調査では、プラボウォ氏がほかの2候補を大きくリードし、一部の調査では直近の支持率が50%台に到達していた。大統領候補としては、14年、19年に続いて3回目の出馬となったプラボウォ氏は、過去2回の選挙でいずれもジョコ氏に敗れた。今回は、国民的な人気の高いジョコ氏の政策を全面的に引き継ぐ方針を打ち出し、ギブラン氏を副大統領候補に据えるなどして、若者を中心に全世代から支持を集めてきた。ジョコ氏からも実質的な支援を受けた。
元国軍幹部で72歳のプラボウォ氏は、選挙戦でこれまでの「強い指導者」のイメージから、「『優しく穏やかでかわいらしい好々爺(こうこうや)』というソフトなイメージに路線転換した」(日本貿易振興機構=ジェトロ=アジア経済研究所の川村晃一氏)。交流サイト(SNS)上での若者からの好感度も高く、スハルト独裁政権の国軍幹部時代のプラボウォ氏を知らない若年層に受け入れられてきた。
選挙戦では、目玉政策に掲げた全学校の子ども向け給食の無償提供を訴えたほか、東カリマンタン州に整備中の新首都「ヌサンタラ」の開発継続、電気自動車(EV)用バッテリーの原料となるニッケルを含む鉱物資源の川下化などを主張した。
一方、36歳のギブラン氏は、総選挙法で規定する正副大統領の立候補年齢40歳以上を満たしていなかったが、昨年10月に憲法裁判所が同規定を満たしていない場合でも、現職の地方首長などは立候補可能との判決を下し出馬が可能となったことから、有権者から縁故主義批判も出ている。

■反ジョコ票狙うも差縮められず
調査機関の得票率の速報値で2位のアニス氏は、「ジョコ路線」からの変革を唱えてきた。政策的には、新首都への移転の見直しや、ジョコ政権下で成立した投資促進を目的とした「雇用創出法(オムニバス法)」の改正などを掲げてきた。アニス氏は、イスラム的に敬虔(けいけん)なイメージがあり、保守派イスラム教徒の受け皿にもなってきた。また、直近の主要地域別の世論調査で、プラボウォ氏が各地で先行する中、ジャカルタ特別州ではアニス氏がリードしていた。
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