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【日本の税務】「国外財産調書制度」とは?

第308回
白井さん:みらい先生、お久しぶりです。実は今年の10月をもって5年にわたるベトナム子会社への赴任が終了します。赴任中は世界的な新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあったので、いつ日本本社に戻れるか不安でしたが、ようやく帰国となりました。
みらい:随分と久しぶりですね、お元気でしたか?赴任されてからあっという間に5年もたったのですね。問題なく帰国できそうで何よりです。
白井さん:はい、本当に良かったです。ところで今日は帰国に際してのご相談があって伺いました。赴任期間中にベトナムの証券会社を通じて株式を購入したのですが、この株式の配当金を受け取った場合の申告方法を教えていただけますか?
みらい:わかりました。日本の証券会社の特定口座を利用している場合には申告の必要はないですが、海外の証券会社の口座を利用している場合、給与所得以外の所得の合計が20万円を超える場合には翌年の3月15日までに確定申告が必要です。海外で源泉徴収されているため日本での申告は不要、と誤解しやすいので、配当された時期にかかわらず、20万円を超える場合には注意してください。ちなみに保有している株式の時価はどの位ですか?
白井さん:日本円に換算すると5,000万円位になると思います。
みらい:それであれば確定申告と合わせて「国外財産調書」の提出が必要になりそうです。「国外財産調書」とは、その年の12月31日に合計5,000万円超の国外財産を保有している場合、翌年の6月30日までに所轄の税務署に提出が義務付けられている書類のことです。なお、提出が必要となる方は日本の居住者の方に限定されています。白井さんは今までは非居住者でしたが、10月の帰国後は居住者となりますので、国外財産の価額次第で提出が必要になります。
白井さん:わかりました。ところで「国外財産調書」には何を記載すればよろしいのでしょうか?
みらい:国外財産の種類、数量、価額、所在等を記載する必要があります。価額は12月31日時点における時価または時価に準ずる見積価額と定められています。また、価額が外貨で表示されている財産は外国為替の売買相場によって円換算した後の金額をもって5,000万円を超えているかを判定することになります。また、この調書を提出する際には、国外財産の区分ごとの合計額を記載した「国外財産調書合計表」の作成・添付が必要です。
白井さん:なるほど、年末時点の時価を基に提出の有無を判断すれば良いのですね。よくわかりました。
みらい:なお、国外財産に関する所得税や相続税の申告漏れが万が一生じた場合、調書を提出していれば過少申告加算税または無申告加算税が5%軽減されるという特典がありますが、未提出の場合には反対に5%加算されるという罰則があります。有価証券の銘柄を記載していない等の記載上の不備を理由に加算された事例もあるのでご注意ください。さらに、正当な理由がなく提出しない場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる可能性もあります。
白井さん:かなり厳しい罰則ですね。くれぐれも提出漏れが無いように気をつけたいと思います。本日はどうもありがとうございました。
筆者:みらいコンサルティンググループ/提供:NNA(先行連載)

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白井さん:みらい先生、お久しぶりです。実は今年の10月をもって5年にわたるベトナム子会社への赴任が終了します。赴任中は世界的な新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあったので、いつ日本本社に戻れるか不安でしたが、ようやく帰国となりました。
みらい:随分と久しぶりですね、お元気でしたか?赴任されてからあっという間に5年もたったのですね。問題なく帰国できそうで何よりです。
白井さん:はい、本当に良かったです。ところで今日は帰国に際してのご相談があって伺いました。赴任期間中にベトナムの証券会社を通じて株式を購入したのですが、この株式の配当金を受け取った場合の申告方法を教えていただけますか?
みらい:わかりました。日本の証券会社の特定口座を利用している場合には申告の必要はないですが、海外の証券会社の口座を利用している場合、給与所得以外の所得の合計が20万円を超える場合には翌年の3月15日までに確定申告が必要です。海外で源泉徴収されているため日本での申告は不要、と誤解しやすいので、配当された時期にかかわらず、20万円を超える場合には注意してください。ちなみに保有している株式の時価はどの位ですか?
白井さん:日本円に換算すると5,000万円位になると思います。
みらい:それであれば確定申告と合わせて「国外財産調書」の提出が必要になりそうです。「国外財産調書」とは、その年の12月31日に合計5,000万円超の国外財産を保有している場合、翌年の6月30日までに所轄の税務署に提出が義務付けられている書類のことです。なお、提出が必要となる方は日本の居住者の方に限定されています。白井さんは今までは非居住者でしたが、10月の帰国後は居住者となりますので、国外財産の価額次第で提出が必要になります。
白井さん:わかりました。ところで「国外財産調書」には何を記載すればよろしいのでしょうか?
みらい:国外財産の種類、数量、価額、所在等を記載する必要があります。価額は12月31日時点における時価または時価に準ずる見積価額と定められています。また、価額が外貨で表示されている財産は外国為替の売買相場によって円換算した後の金額をもって5,000万円を超えているかを判定することになります。また、この調書を提出する際には、国外財産の区分ごとの合計額を記載した「国外財産調書合計表」の作成・添付が必要です。
白井さん:なるほど、年末時点の時価を基に提出の有無を判断すれば良いのですね。よくわかりました。
みらい:なお、国外財産に関する所得税や相続税の申告漏れが万が一生じた場合、調書を提出していれば過少申告加算税または無申告加算税が5%軽減されるという特典がありますが、未提出の場合には反対に5%加算されるという罰則があります。有価証券の銘柄を記載していない等の記載上の不備を理由に加算された事例もあるのでご注意ください。さらに、正当な理由がなく提出しない場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる可能性もあります。
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