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クラーク新都市にIT交通ゼンモブ、環境車両17台で試験

スマート交通サービスの企画・開発などを手がけるゼンモブ(東京都目黒区)は10日、フィリピンのマニラ首都圏北方のタルラック州で開発されている新都市「ニュー・クラーク・シティー(NCC)」と周辺地区でIT管理の交通網構築へ実証試験を始めた。環境型車両17台を導入し、2025年6月まで試験を続ける見通し。移動手段が限られている対象地域内の交通網の最適化につなげる。

実証試験の式典でテープカットするゼンモブの田中社長(右から2人目)ら=10日、タルラック州(NNA撮影)

クラーク新都市を管轄する基地転換開発公社(BCDA)、電動トライシクル(eトライク)の運行を手がける地場企業MCメトロ・トランスポート・オペレーションとの提携で進める。実証試験に先立ち、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの支援で調査を進めてきた。
実証試験では、電気自動車(EV)を中心に環境型のバスを17台導入する。うち1台は国内初の自動運転式となる。クラーク新都市の主要施設やクラーク自由港、クラーク国際空港、商業施設といった場所を結ぶ南北約30キロメートルが対象区間となる。
クラーク新都市で10日に開催した式典で、ゼンモブの田中清生社長は「車社会よりも快適な都市づくりを実現したい」と意気込んだ。基地転換開発公社のジセラ・カラロ副社長は「効率的な交通網が整備されれば、クラーク内の市民生活は大きく変わるだろう」と期待を示した。
運行体制の効率化に向けては、ゼンモブが交通システムの運行状況を管理する自社製のソフトウエアを活用する。需要が高い経路や時間帯に合わせて運行本数を調整するほか、各車両の間隔を均一に保つ機能で自動運転の安全を確保する。
まずは周辺住民や就労者をターゲットに据える。乗客は同社製のアプリを通じて運賃を電子決済できるほか、バスの位置情報や運行本数を確認できる。企業を顧客に従業員の送迎バスの運行も見据える。
クラーク新都市と周辺地区は、首都マニラから車で約3時間の地域でパンパンガ州とタルラック州にまたがる。公共交通網が整備されておらず、移動手段は主に自家用車やバイクに限られている。
ゼンモブは19年に設立された。クラーク事業の提携先MCメトロとはマニラ首都圏で電動トライシクルの運行管理を手がけた。フィリピンのほか、ブルネイやモザンビーク、カナダで環境配慮型の交通システムに関する調査事業を進めている。

実証試験に導入される自動運転式の小型バス=10日、タルラック州(NNA撮影)
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