インドネシア中央銀行は23日、前日から2日間開いた月例理事会(金融政策決定会合)の決定に基づき、政策金利の7日物リバースレポ金利を0.25ポイント引き上げて3.75%にすると発表した。利上げは2018年11月以来3年9カ月ぶり。中銀は燃料価格高騰に伴うインフレの予防措置だと説明。専門家は、インフレ対策には年内にさらなる利上げの可能性もあると指摘した。[2382046_1.jpg]
市場金利の実質的な下限である「翌日物預金ファシリティー金利(FASBI)」も3.00%に、市中銀行が中銀から資金を借り入れる際の「貸出ファシリティー金利」も4.50%にそれぞれ0.25ポイント引き上げた。
中銀のペリー総裁は18日の会見で、当面の間は政策金利を引き上げる必要はないとの考えを明らかにしていたが、一転して引き上げとなった。
中銀は声明で、補助金対象外の燃料や価格変動の大きい食品価格の高騰によるインフレ進行を予防し、通貨ルピアの安定化を図るためと説明した。
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インドネシアみずほ銀行の田中義久副社長はNNAに対し、市場参加者の間では今回も利上げを見送るとの見方が優勢だった中、大方の予想に反した利上げだったと述べた。予想外の利上げを受け、為替市場ではルピア買いが進んだと指摘。ただし、サプライズによる短期的なものと思われると述べ、継続性には疑問が残るとの見方を示した。
中期的なルピアの対米ドル相場の行方を占う上では、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ幅に対しインドネシア中銀はどこまで利上げを進めていくかがポイントになると説明した。
経済改革センター(CORE)のピーター・アブドゥラ研究調査部長はNNAに対し、中銀は政府が補助金対象の燃料価格を引き上げると予測し、物価高騰を防ぐために、先に利上げに踏み切ったとの見方を示した。中銀の利上げは、今後、政府が補助金対象燃料の価格を引き上げるのではとの予測をより強く裏付けるものになると指摘した。
インドネシアみずほ銀行の田中氏は、燃料の値上げが実施された場合、インフレ圧力がさらに強まり、大幅な利上げを余儀なくされる可能性が高くなると予測した。
これまで個人消費とエネルギー価格上昇による輸出に支えられ、相対的に安定していたインドネシア経済と金融市場も不安定になる可能性が高まるとの見通しを示した。
経済改革センターのピーター氏も、実際に補助金燃料価格が引き上げられた場合、今回の利上げでは物価高騰を抑えることができず、インフレ率は6%以上、あるいは8~10%になるとの見通しを示した。この場合、市民の購買力は勢いを失い、国内総生産(GDP)成長率の目標達成は困難になると述べた。
■年内に4.25%まで利上げも
経済金融開発研究所(INDEF)のエコノミスト、エコ・リスティヤント氏は、今後もインフレ進行に伴い、金利の引き上げが検討されると述べた。年内に2~3回、中銀が利上げを行い、政策金利は4.25%まで引き上げられるとの見通しを示した。
■経済成長への影響は楽観的?
一方で中銀は、通年のGDP成長率は中銀予測の4.5~5.3%を上回るとの見通しを示し、前回の月例理事会後の中銀予測を下回るとの見通しから楽観的な姿勢を示した。
経済金融開発研究所エコ氏は、利上げ幅が0.25ポイントにとどまるため社会への影響は少ないと述べた。堅調に国内経済が回復していることもあり、貸付成長率も10%を維持するとの見通しを示した。中銀によると、7月の貸付成長率は前年比10.71%だった。
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中銀は声明で、補助金対象外の燃料や価格変動の大きい食品価格の高騰によるインフレ進行を予防し、通貨ルピアの安定化を図るためと説明した。
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中期的なルピアの対米ドル相場の行方を占う上では、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ幅に対しインドネシア中銀はどこまで利上げを進めていくかがポイントになると説明した。
経済改革センター(CORE)のピーター・アブドゥラ研究調査部長はNNAに対し、中銀は政府が補助金対象の燃料価格を引き上げると予測し、物価高騰を防ぐために、先に利上げに踏み切ったとの見方を示した。中銀の利上げは、今後、政府が補助金対象燃料の価格を引き上げるのではとの予測をより強く裏付けるものになると指摘した。
インドネシアみずほ銀行の田中氏は、燃料の値上げが実施された場合、インフレ圧力がさらに強まり、大幅な利上げを余儀なくされる可能性が高くなると予測した。
これまで個人消費とエネルギー価格上昇による輸出に支えられ、相対的に安定していたインドネシア経済と金融市場も不安定になる可能性が高まるとの見通しを示した。
経済改革センターのピーター氏も、実際に補助金燃料価格が引き上げられた場合、今回の利上げでは物価高騰を抑えることができず、インフレ率は6%以上、あるいは8~10%になるとの見通しを示した。この場合、市民の購買力は勢いを失い、国内総生産(GDP)成長率の目標達成は困難になると述べた。
■年内に4.25%まで利上げも
経済金融開発研究所(INDEF)のエコノミスト、エコ・リスティヤント氏は、今後もインフレ進行に伴い、金利の引き上げが検討されると述べた。年内に2~3回、中銀が利上げを行い、政策金利は4.25%まで引き上げられるとの見通しを示した。
■経済成長への影響は楽観的?
一方で中銀は、通年のGDP成長率は中銀予測の4.5~5.3%を上回るとの見通しを示し、前回の月例理事会後の中銀予測を下回るとの見通しから楽観的な姿勢を示した。
経済金融開発研究所エコ氏は、利上げ幅が0.25ポイントにとどまるため社会への影響は少ないと述べた。堅調に国内経済が回復していることもあり、貸付成長率も10%を維持するとの見通しを示した。中銀によると、7月の貸付成長率は前年比10.71%だった。"
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