タイの自動車展示・販売会「第39回タイ国際モーターエキスポ2022」が1日に開幕した。2030年までに国内で生産される自動車の50%を電気自動車(EV)に移行させる目標を掲げるなど、タイ政府によるEVシフトに向けた政策がより鮮明になる中、その主導権をめぐって各完成車メーカーが動きを加速している。特に中国メーカーによる積極的なアピールが目立つ。一方で、タイの新車市場でシェア9割以上を占める日本メーカーはEV普及に向けた環境整備の行方を探っている印象だ。
長城汽車タイランドによるプレゼンテーション。各中国メーカーはEV訴求へより積極的な姿勢を示している=11月30日、タイ・ノンタブリ県(NNA撮影)
主要な完成車メーカーが一堂に会した「第39回タイ国際モーターエキスポ2022」が1日に開幕した。11月30日に行われたメディア向けのプレ公開では、EVシフトに乗じてタイ市場での存在感を高めたい中国メーカーの積極的な攻勢が目立った。
今回が初めての出展となった中国の新エネルギー車(NEV)大手、比亜迪(BYD)は、タイの販売会社のレバー・オートモーティブとともに、小型スポーツタイプ多目的車(SUV)のEV「ATTO3(アットスリー、中国名:元プラス)」やEVセダン「SEAL」などをアピールしている。11月に販売を開始したATTO3は、価格を109万9,900~119万9,900バーツ(約429万~468万円)に抑え、スペックと価格が消費者の需要に合っている上、車体と電池の8年(16万キロメートル)保証、8年間の無料修理・メンテナンスなどのアフターサービスが受け、好調なすべり出しとなっているという。BYDは9月、タイの東部ラヨーン県に組立工場の建設計画を公表。24年からATTO3などを生産する方針を明らかにしている。
中国の自動車メーカー、長城汽車(GWM)のタイ法人、長城汽車タイランドは、EV「欧拉(ORA)グランドキャット」と、オフロード車「坦克(タンク)500HEV」を発表した。長城汽車タイランドは先月、EV「ORA・グッドキャットGT」とSUV「哈弗(ハーバル)」のプラグインハイブリッド車(PHV)「ハーバルH6プラグインハイブリッド」の納車を開始。EVモデルのラインアップを拡充し、タイのEV市場で地歩を固めようとしている。
タイ市場でいち早くEVを投入した上海汽車集団(SAICモーター)とタイの大手財閥チャロン・ポカパン(CP)グループの合弁会社SAICモーター・CP(上汽正大)傘下で「MG(名爵)」ブランド車を販売するMGセールス(タイランド)は、新モデルのEVハッチバック「MG4エレクトリック」を発表。EVバッテリーの保護と居住性向上のために開発したEV専用のプラットフォーム「SAICネブラ・テクノロジー」を初採用した。1回の充電の航続距離は最長425キロメートル。価格も86万9,000~96万9,000バーツに抑えている。
また、タイで24年に組み立て生産を開始する方針を明らかにしている浙江合衆新能源汽車(合衆汽車)のタイ法人ナタオート(タイランド)のブースでは、スポーツタイプのEV「NETA S」などが来場者の目を引いていた。
ナタオート(タイランド)が出展しているスポーツタイプのEV「NETA S」=11月30日(NNA撮影)
■トヨタ、「EV市場でも強いリーダーシップ」
EV投入で積極的な攻勢をみせる中国メーカーに比べて、日本メーカーは一歩引いた印象だ。新車市場でシェアトップを占めるタイ国トヨタ自動車(TMT)は、「タイのEV普及でも強いリーダーシップを発揮する」と強調。11月9日には中型SUVの電気自動車(EV)「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」を発売した、消費者の期待も大きく、10日午後8時までに3,356台の予約があり、受け付けを締め切った。予約の再開については現状では未定としている。今回のイベントでは、bZ4Xも出展しているものの、最も目立つステージ上でアピールしたのは、1600ccガソリンターボ・エンジンを搭載した4輪駆動スポーツ・モデル「GRカローラ」だった。
ホンダのタイ法人、ホンダオートモービル(タイランド)は、SUVのEVのコンセプトカーを公開している。プレゼンテーションに立った高倉記行社長兼最高経営責任者(CEO)は、「開発中のわれわれのコンセプトカーは、タイ政府のEV補助金制度の考え方と一致するとともに、タイの消費者の需要を満たすものだ」と強調した。
ホンダオートモービル(タイランド)はSUVのEVのコンセプトカーを公開している=11月30日(NNA撮影)
三菱自動車のタイ法人ミツビシ・モーターズ・タイランド(MMTh)は、SUVのプラグインハイブリッド車(PHV)「アウトランダーPHEV」を訴求。小糸栄偉知社長兼CEOは、充電設備が十分に普及していないタイの現状では、ハイブリッド車が最適解との考えを改めて強調した。
一方、スズキのタイ法人、スズキ・モーター・タイランドは、多目的車(MPV)の新型ハイブリッド車(HV)「エルティガハイブリッド」を発表。排気量1500ccのエンジンに、独自の「スマートハイブリッド技術」を組み合わせることで、環境負荷の低減とさまざまなライフスタイルに適合する柔軟性を実現すると訴えている。
スズキ・モーター・タイランドは多目的車(MPV)の新型ハイブリッド車「エルティガハイブリッド」の投入を発表した=11月30日(NNA撮影)
タイ進出から今年が70年目のタイ日産自動車(NMT)は、独自のハイブリッド技術「e—POWER(イーパワー)」を搭載したSUV「キックス」など4モデルの「70周年記念モデル」をアピール。登壇した関口勲社長はイノベーションを通じたタイ社会の発展に貢献することを強調していた。
マツダセールス(タイランド)は、グレーを基調とした内外装を採用し、各車種のスポーティーさと優雅さを際立たせた特別仕様車「カーボン・エディション」の小型SUV「マツダCX—30」などを前面に押し出している。
■期間中の成約台数3.7万台見込み
第39回タイ国際モーターエキスポ2022は、今月12日までバンコク北郊ノンタブリ県の展示会場「インパクト」で開催されている。自動車メーカー35社、バイクメーカー17社が出展。イベント主催者は、期間中の成約台数を3万7,000台と予想し、昨年の3万6,000台を上回ることを期待している。
いすゞ自動車のタイ販売会社トリペッチいすゞセールスは、地元紙に対し「一般的に大きな選挙のある年は、消費者心理が改善し、新車の販売台数が上向くことが多い」と説明。タイでは来年5月に下院総選挙が予定されていることから、タイの景気回復と合わせ、来年の新車市場の追い風になることに期待を示した。
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今回が初めての出展となった中国の新エネルギー車(NEV)大手、比亜迪(BYD)は、タイの販売会社のレバー・オートモーティブとともに、小型スポーツタイプ多目的車(SUV)のEV「ATTO3(アットスリー、中国名:元プラス)」やEVセダン「SEAL」などをアピールしている。11月に販売を開始したATTO3は、価格を109万9,900~119万9,900バーツ(約429万~468万円)に抑え、スペックと価格が消費者の需要に合っている上、車体と電池の8年(16万キロメートル)保証、8年間の無料修理・メンテナンスなどのアフターサービスが受け、好調なすべり出しとなっているという。BYDは9月、タイの東部ラヨーン県に組立工場の建設計画を公表。24年からATTO3などを生産する方針を明らかにしている。
中国の自動車メーカー、長城汽車(GWM)のタイ法人、長城汽車タイランドは、EV「欧拉(ORA)グランドキャット」と、オフロード車「坦克(タンク)500HEV」を発表した。長城汽車タイランドは先月、EV「ORA・グッドキャットGT」とSUV「哈弗(ハーバル)」のプラグインハイブリッド車(PHV)「ハーバルH6プラグインハイブリッド」の納車を開始。EVモデルのラインアップを拡充し、タイのEV市場で地歩を固めようとしている。
タイ市場でいち早くEVを投入した上海汽車集団(SAICモーター)とタイの大手財閥チャロン・ポカパン(CP)グループの合弁会社SAICモーター・CP(上汽正大)傘下で「MG(名爵)」ブランド車を販売するMGセールス(タイランド)は、新モデルのEVハッチバック「MG4エレクトリック」を発表。EVバッテリーの保護と居住性向上のために開発したEV専用のプラットフォーム「SAICネブラ・テクノロジー」を初採用した。1回の充電の航続距離は最長425キロメートル。価格も86万9,000~96万9,000バーツに抑えている。
また、タイで24年に組み立て生産を開始する方針を明らかにしている浙江合衆新能源汽車(合衆汽車)のタイ法人ナタオート(タイランド)のブースでは、スポーツタイプのEV「NETA S」などが来場者の目を引いていた。
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■トヨタ、「EV市場でも強いリーダーシップ」
EV投入で積極的な攻勢をみせる中国メーカーに比べて、日本メーカーは一歩引いた印象だ。新車市場でシェアトップを占めるタイ国トヨタ自動車(TMT)は、「タイのEV普及でも強いリーダーシップを発揮する」と強調。11月9日には中型SUVの電気自動車(EV)「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」を発売した、消費者の期待も大きく、10日午後8時までに3,356台の予約があり、受け付けを締め切った。予約の再開については現状では未定としている。今回のイベントでは、bZ4Xも出展しているものの、最も目立つステージ上でアピールしたのは、1600ccガソリンターボ・エンジンを搭載した4輪駆動スポーツ・モデル「GRカローラ」だった。
ホンダのタイ法人、ホンダオートモービル(タイランド)は、SUVのEVのコンセプトカーを公開している。プレゼンテーションに立った高倉記行社長兼最高経営責任者(CEO)は、「開発中のわれわれのコンセプトカーは、タイ政府のEV補助金制度の考え方と一致するとともに、タイの消費者の需要を満たすものだ」と強調した。
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一方、スズキのタイ法人、スズキ・モーター・タイランドは、多目的車(MPV)の新型ハイブリッド車(HV)「エルティガハイブリッド」を発表。排気量1500ccのエンジンに、独自の「スマートハイブリッド技術」を組み合わせることで、環境負荷の低減とさまざまなライフスタイルに適合する柔軟性を実現すると訴えている。[caption id="attachment_10483" align="aligncenter" width="620"]スズキ・モーター・タイランドは多目的車(MPV)の新型ハイブリッド車「エルティガハイブリッド」の投入を発表した=11月30日(NNA撮影)[/caption]
タイ進出から今年が70年目のタイ日産自動車(NMT)は、独自のハイブリッド技術「e—POWER(イーパワー)」を搭載したSUV「キックス」など4モデルの「70周年記念モデル」をアピール。登壇した関口勲社長はイノベーションを通じたタイ社会の発展に貢献することを強調していた。
マツダセールス(タイランド)は、グレーを基調とした内外装を採用し、各車種のスポーティーさと優雅さを際立たせた特別仕様車「カーボン・エディション」の小型SUV「マツダCX—30」などを前面に押し出している。
■期間中の成約台数3.7万台見込み
第39回タイ国際モーターエキスポ2022は、今月12日までバンコク北郊ノンタブリ県の展示会場「インパクト」で開催されている。自動車メーカー35社、バイクメーカー17社が出展。イベント主催者は、期間中の成約台数を3万7,000台と予想し、昨年の3万6,000台を上回ることを期待している。
いすゞ自動車のタイ販売会社トリペッチいすゞセールスは、地元紙に対し「一般的に大きな選挙のある年は、消費者心理が改善し、新車の販売台数が上向くことが多い」と説明。タイでは来年5月に下院総選挙が予定されていることから、タイの景気回復と合わせ、来年の新車市場の追い風になることに期待を示した。"
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