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【リオープニング】空の往来、下半期に活性化日韓はコロナ前の7割水準に回復

今年下半期に入り、韓国とアジア各国・地域間の空の往来が急速に活性化している。韓国が8月から日本人向けの査証なし(ノービザ)入国を認め、日本政府が10月に外国人観光客のノービザ入国を再開したことで、日韓路線の需要は急増。航空各社はこれに合わせて、運航便数の拡大と路線再開を本格化させ、運航便数基準では新型コロナウイルス禍以前の7割近くまで回復した。東南アジアの旅客需要も増えており、来年はさらなる航空業界の活性化が期待される。【清水岳志】

仁川空港で離陸を待つ済州航空の旅客機=韓国、2022年10月19日(NNA撮影)

韓国国土交通省・航空情報ポータルの航空統計によると、今年1~11月に日韓路線を利用した旅客数は141万828人だった。このうち、7月以降の旅客数は90.7%に当たる127万9,712人。さらに、日本がノービザでの外国人観光客の受け入れを再開した10月以降は96万2,177人で、68.2%に上った。
これには、両国政府の段階的な入国制限の緩和に合わせて、航空各社が20年3月に中断していた日韓路線の再開を本格化したことにある。
6月末にビジネス客も多く利用する羽田—ソウル・金浦路線が再開されたのを皮切りに、フルサービスキャリア(FSC)の大韓航空や格安航空会社(LCC)の済州航空、ジンエアーなどが、仁川空港と日本の主要空港を結ぶ路線を再開してきた。
6月時点では計823便だった日韓間の運航便数は、8月になると倍近い計1,527便に急増。その後も各社が路線拡大や運航便数の追加を相次いで発表し、11月には計4,556便まで増加した。これは、コロナ禍前の19年11月(計6,699便)の68.0%の水準だ。
■運航拡大に旅行者は「歓迎」
旅行者はまた、運行再開だけでなく、運航本数の拡大も歓迎している。8~9月の運航再開当初は、多くの航空各社の運航スケジュールが1日1往復にとどまっていた。しかし急増する旅客需要を取り込むため、10月以降は主要空港を結ぶ路線が1日3往復程度まで増えた。
20日にソウル市の人気観光地である景福宮で出会った佐藤のぞみさん(20代・女性)はNNAに対し、「1日の運航便数が増えたので、韓国に到着する時間と日本へ帰国する時間の選択肢が増えたのがうれしい」とコメントした。
彼女は今年8月にも、韓国政府が実施した期間限定のノービザ特恵を利用して3泊4日の日程で韓国を訪れたそうだが、「まだ1日1便しか運航しておらず(韓国への)入国時間も午後遅くで、(韓国からの)出発は午前しかなかった。そのため、初日と最終日は移動だけで何もできなかった」と当時を振り返る。
地方都市を結ぶ路線も徐々に再開されている。エアソウルは11月23日にソウル・仁川—香川・高松路線の運航を2年8カ月ぶりに再開したほか、大韓航空は12月1日に仁川—沖縄・那覇路線の運航を再び始めた。釜山市に本拠を置くエアプサンは、11月30日に釜山・金海—札幌路線を、12月9日には金海—成田路線をそれぞれ再開。今後も、運航便数や路線の拡大が続く見通しだ。

■東南ア路線も利用客急増
日韓よりも一足早く防疫規制を緩和した東南アジアの旅客需要も回復している。航空情報ポータルによると、7~11月の旅客数(定期便・有料旅客のみ)はベトナムが1~6月の約7.1倍、タイが約6.1倍、シンガポールが約3倍と大きく伸びた。
とりわけ、韓国・ベトナム路線の利用客は7~11月に151万9,343人と、アジアの主要路線の中で最多だった。運航便数も1~6月が3,068便だったのに対し、7月以降は1万1,409便に急増。韓国に来るベトナム人が増えているだけでなく、ベトナムを訪れる韓国人観光客が大幅に増えたことが背景にあるようだ。
■路線再開は外資が先行
韓国と日本や東南アジアを結ぶ空の便復活が進むが、海外の航空会社に比べて韓国の航空会社の路線再開が遅れているという分析もある。
韓国国交省によると、今年1~11月の国際線旅客需要(定期便・有料旅客のみ)は計1,217万4,793人だったが、このうち40.3%(計490万8,540人)は海外の航空会社を利用した。コロナ禍以前の19年同期と比べると、海外航空会社のシェアは35.1%から4.9ポイント拡大している。
一方、韓国の航空会社のシェアは同期間に64.9%から59.7%まで下がった。特にLCCは、45.3%から21.9%にシェアを大きく落とした。韓国政府が国際線の運行便数の制限を緩和したのが6月以降と遅かったため、ベトジェット航空やフィリピン航空などの東南アジアの航空会社に後れを取ったとみられる。
ただ、10月以降に日本路線の再開が本格化し、年明け後には東南アジア路線の再開・増便を予定する航空会社も少なくない。韓国人の海外旅行意欲は旺盛なだけに、国内航空会社の急速な運航拡大も予想される。

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これには、両国政府の段階的な入国制限の緩和に合わせて、航空各社が20年3月に中断していた日韓路線の再開を本格化したことにある。
6月末にビジネス客も多く利用する羽田—ソウル・金浦路線が再開されたのを皮切りに、フルサービスキャリア(FSC)の大韓航空や格安航空会社(LCC)の済州航空、ジンエアーなどが、仁川空港と日本の主要空港を結ぶ路線を再開してきた。
6月時点では計823便だった日韓間の運航便数は、8月になると倍近い計1,527便に急増。その後も各社が路線拡大や運航便数の追加を相次いで発表し、11月には計4,556便まで増加した。これは、コロナ禍前の19年11月(計6,699便)の68.0%の水準だ。
■運航拡大に旅行者は「歓迎」
旅行者はまた、運行再開だけでなく、運航本数の拡大も歓迎している。8~9月の運航再開当初は、多くの航空各社の運航スケジュールが1日1往復にとどまっていた。しかし急増する旅客需要を取り込むため、10月以降は主要空港を結ぶ路線が1日3往復程度まで増えた。
20日にソウル市の人気観光地である景福宮で出会った佐藤のぞみさん(20代・女性)はNNAに対し、「1日の運航便数が増えたので、韓国に到着する時間と日本へ帰国する時間の選択肢が増えたのがうれしい」とコメントした。
彼女は今年8月にも、韓国政府が実施した期間限定のノービザ特恵を利用して3泊4日の日程で韓国を訪れたそうだが、「まだ1日1便しか運航しておらず(韓国への)入国時間も午後遅くで、(韓国からの)出発は午前しかなかった。そのため、初日と最終日は移動だけで何もできなかった」と当時を振り返る。
地方都市を結ぶ路線も徐々に再開されている。エアソウルは11月23日にソウル・仁川—香川・高松路線の運航を2年8カ月ぶりに再開したほか、大韓航空は12月1日に仁川—沖縄・那覇路線の運航を再び始めた。釜山市に本拠を置くエアプサンは、11月30日に釜山・金海—札幌路線を、12月9日には金海—成田路線をそれぞれ再開。今後も、運航便数や路線の拡大が続く見通しだ。

■東南ア路線も利用客急増
日韓よりも一足早く防疫規制を緩和した東南アジアの旅客需要も回復している。航空情報ポータルによると、7~11月の旅客数(定期便・有料旅客のみ)はベトナムが1~6月の約7.1倍、タイが約6.1倍、シンガポールが約3倍と大きく伸びた。
とりわけ、韓国・ベトナム路線の利用客は7~11月に151万9,343人と、アジアの主要路線の中で最多だった。運航便数も1~6月が3,068便だったのに対し、7月以降は1万1,409便に急増。韓国に来るベトナム人が増えているだけでなく、ベトナムを訪れる韓国人観光客が大幅に増えたことが背景にあるようだ。
■路線再開は外資が先行
韓国と日本や東南アジアを結ぶ空の便復活が進むが、海外の航空会社に比べて韓国の航空会社の路線再開が遅れているという分析もある。
韓国国交省によると、今年1~11月の国際線旅客需要(定期便・有料旅客のみ)は計1,217万4,793人だったが、このうち40.3%(計490万8,540人)は海外の航空会社を利用した。コロナ禍以前の19年同期と比べると、海外航空会社のシェアは35.1%から4.9ポイント拡大している。
一方、韓国の航空会社のシェアは同期間に64.9%から59.7%まで下がった。特にLCCは、45.3%から21.9%にシェアを大きく落とした。韓国政府が国際線の運行便数の制限を緩和したのが6月以降と遅かったため、ベトジェット航空やフィリピン航空などの東南アジアの航空会社に後れを取ったとみられる。
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