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飲食店の使い捨てプラ全廃25年に実現へ、一部は年内に

飲食店が提供する使い捨てプラスチックを全廃するための条例改正案を、香港政府が立法会(議会)に提出した。対象となるのは容器やスプーン、フォーク、ストローなど。議会での承認が速やかに得られれば、年内にまず店内での提供を禁止し、2025年の全廃を目指す。ホテルの無料アメニティーなどをプラスチックフリーにし、「オキソ(酸化型)分解性プラスチック」を使った製品の製造を禁止することも改正案に盛り込んだ。

テイクアウト用の容器や食器は大部分がプラ製。紙や木を使った環境配慮型容器を使う飲食店は少数派だ(NNA撮影)

政府は15日、関連する条例の改正案を立法会に提出した。2段階に分けて◇発泡スチロール製容器◇ストロー◇マドラー◇カトラリー(フォーク、スプーン、ナイフ)◇皿◇カップとふた◇容器とふた——の消費者向け販売と、飲食店での提供を全廃する計画だ。
第1段階ではまず、発泡スチロール製容器とストロー、マドラー、カトラリー、皿の販売と、飲食店の店内・テイクアウトでの提供を禁止する。カップとふた、容器とふたは店内提供だけが禁止だが、第2段階ではテイクアウトでの提供と消費者への販売も禁止する。
■当初の計画を前倒し
政府は21年に同計画の意見公募(パブリックコメント)を行った。当時は25年前後の第1段階実施を提案していたが、より早い段階で実施可能との意見が多かったことから、議会で順調に可決されれば計画を前倒ししたい考えだ。
今回の草案では、立法会の審議を通過してから6カ月後に第1段階を実施すると表明した。ストローやマドラー、カトラリーなどは紙製、木製などの代替製品の市場が成熟し、普及もしていることが理由。最短で今年第4四半期(10~12月)に実施となる。
第2段階のプラ容器やカップ、ふたについては「代替できる非プラ製品のサプライヤー数に限りがある」ことから、25年からの実施を暫定目標に設定。非プラ製品または再利用可能な代替製品の普及度合いと価格に応じて、正式な実施時期を決めると説明している。
政府は昨年11月、代替製品の利用促進に向けて、非プラ製品のサプライヤーや製品の情報を提供するウェブサイト「緑色餐具(グリーン・テーブルウエア)」<https://www.greentableware.hk>を立ち上げている。
■アメニティーなどもプラ禁止に
政府は条例改正案に、一部生活雑貨やホテルのアメニティーなどでプラ製の販売・無料提供を禁止する計画も盛り込んだ。
第1段階で販売・無料提供が禁止となるプラを使った生活雑貨は◇綿棒◇バルーンスティック(風船用の棒)◇スティックバルーン(応援棒)◇蛍光スティック◇パーティーハット◇ケーキの装飾品◇傘袋◇フードピック◇つまようじ——と、オキソ分解性プラ製品。
無料提供が禁止されるアメニティーなどでは、宣伝・広告用途のプラ包装ティッシュペーパーと、ホテルの衛生用品が対象となる。衛生用品には◇柄がプラスチックの歯ブラシ◇プラ包装の歯磨き粉◇プラ容器に入ったシャンプーやボディーソープ、ボディーローションなど◇プラ製のシャワーキャップ、かみそり、爪やすり、くし——が含まれる。客室内でプラボトル入りの水を無料提供することもできなくなる。
第2段階ではプラ製のテーブルクロス、非医療用透明手袋、デンタルフロスなどが販売・無料提供禁止となるほか、耳栓の無料提供が禁止される。
政府はこのほか、第1段階でオキソ分解性プラ製品の製造も禁止する。オキソ分解性プラは非常に小さな粒子に分解され、マイクロプラスチックによる環境汚染の原因になるリスクが高いことが分かっている。
香港は大量のプラ製品を埋め立て処理しており、政府はマイクロプラスチックによる海洋環境や人体への影響に対する危機感を強めている。政府によると、21年に香港の埋め立て地に廃棄されたプラごみの量は1日平均約2,300トン。08年比で約37%も増加した。
プラごみが都市固形廃棄物に占める割合は21年時点で21%、プラ製食器(カトラリー含む)がプラごみ全体に占める割合は10%となっている。

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第1段階ではまず、発泡スチロール製容器とストロー、マドラー、カトラリー、皿の販売と、飲食店の店内・テイクアウトでの提供を禁止する。カップとふた、容器とふたは店内提供だけが禁止だが、第2段階ではテイクアウトでの提供と消費者への販売も禁止する。
■当初の計画を前倒し
政府は21年に同計画の意見公募(パブリックコメント)を行った。当時は25年前後の第1段階実施を提案していたが、より早い段階で実施可能との意見が多かったことから、議会で順調に可決されれば計画を前倒ししたい考えだ。
今回の草案では、立法会の審議を通過してから6カ月後に第1段階を実施すると表明した。ストローやマドラー、カトラリーなどは紙製、木製などの代替製品の市場が成熟し、普及もしていることが理由。最短で今年第4四半期(10~12月)に実施となる。
第2段階のプラ容器やカップ、ふたについては「代替できる非プラ製品のサプライヤー数に限りがある」ことから、25年からの実施を暫定目標に設定。非プラ製品または再利用可能な代替製品の普及度合いと価格に応じて、正式な実施時期を決めると説明している。
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■アメニティーなどもプラ禁止に
政府は条例改正案に、一部生活雑貨やホテルのアメニティーなどでプラ製の販売・無料提供を禁止する計画も盛り込んだ。
第1段階で販売・無料提供が禁止となるプラを使った生活雑貨は◇綿棒◇バルーンスティック(風船用の棒)◇スティックバルーン(応援棒)◇蛍光スティック◇パーティーハット◇ケーキの装飾品◇傘袋◇フードピック◇つまようじ——と、オキソ分解性プラ製品。
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