ベトナム商工省は4日、エルニーニョ現象などの異常気象でコメの輸出価格が上昇していることを受けて、全国の各省市政府と卸売業者などに来年の旧正月(テト)期までの供給計画を策定し、安定かつ適正価格での供給を維持するよう指示した。卸売業者が輸出向けの出荷を優先すれば、国内の需給が崩れ価格が高騰しかねないためだ。卸業者には一定の在庫確保と同時に、産地の集荷業者などから大量の買い付けなどをしないよう自粛を求めた。
世界的な異常気象による穀物不足は、ベトナムのコメ輸出に追い風となる一方、国内価格が高騰するジレンマに直面している(ベトナム農業・地方開発省の公式サイトから)
ドー・タン・ハイ次官が、コメの国内市場安定化を求める通達5102号(5102/BCT-TTTN)に署名し3日、各省市人民委員会宛てに発出した。
5日付のサイゴンザイフォンなどによれば、商工省がこの文書で求めたのは、卸売業者が規制に基づき一定の在庫水準を確保することと、計画的な輸出の拡大によって国内供給確保との均衡を図ることだ。卸売業者に対しては、集荷業者からの大量の買い付けを控え、一時的な需給バランスの悪化で価格が急騰することがないよう配慮を求めた。
■輸出価格、1週間で10%弱上昇
ベトナム食料協会(VFA)によると、ベトナムの5%破砕米の4日の輸出価格は1トン618米ドル(8万7,604円)で、前週末(7月28日)の563米ドルから9.8%上昇した。輸出価格の上昇に引きずられて国内の出荷価格も高値が続いており、7月20~27日の週の5%破砕米の価格は1キログラム当たり1万2,500ドンと、前週から5%上昇した。
商工省によれば、メコンデルタ産のコメ価格はすべての種類でおおむね、前週から1キログラム当たり100~300ドン、前月からは400~700ドン、前年同期からは400~1,600ドン上昇している。
昨年2月末にロシアがウクライナに侵攻したことを受けて、小麦輸出大国ウクライナからの出荷が落ち込むことが懸念され、世界的に穀物価格が上昇したことに加えて、エルニーニョ現象による干ばつへの不安から、インドに続き、ロシアやアラブ首長国連邦(UAE)が一時的な輸出禁止に踏み切ったことで、世界的に供給不足への懸念に拍車がかかった。
■インフレ再燃を回避
有数のコメ輸出国であるベトナムにとって、世界最大の輸出国であるインドがコメの輸出停止に踏み切ったことは、市場を奪う格好の好機になる一方、ジレンマも抱えている。
輸出価格の高騰が国内出荷価格に跳ね返り、最近は落ち着いているインフレ傾向に再び火が付けば、年後半の景気回復に期待をかける政府の目標の重しになりかねないためだ。
商工省と農業・地方開発省などは4日、メコンデルタ地域の中心の南部カントー市で、コメの輸出状況に関する会議を開き、今後は輸出管理を強化していく方針を確認した。
グエン・ホン・ジエン商工相は、「今の世界の状況をベトナム産米の輸出拡大につなげると同時に、国内価格を安定させ、食料安全保障を確保することが肝心だ」と述べ、輸出業者には一定の在庫水準の確保と、輸出1件1件について詳細な報告を求めた。
■1~7月の輸出額29.6%増
会議では、今年1~7月のコメの輸出は483万トン、25億8,000万米ドルで、量では前年同期比18.7%増、額で29.6%増となっていることが報告された。フィリピンなど東南アジアの伝統的な輸出国向けが大幅に伸びているほか、新たな市場である欧州向けも30%近く伸びた。高級白米やもち米など付加価値の高い品種の割合も増えているという。
農業・地方開発省は同会議で、世界的にコメの不足傾向が強まっていることを受けて、農業・地方開発省が今年の秋・冬収穫米の作付面積を5万ヘクタール増やし、輸出の拡大と国内供給確保の両立を図る方針を説明した。
同省のホアン・チュン次官は、「価格上昇とともに輸出を拡大できれば、農家と卸売業者両方の所得を底上げできる」と述べ、輸出市場の拡大と国内の食料安全保障の確保の両立を図る観点から、海外各国と国内の市場動向に目を配り、最善の供給計画を策定する方針だと説明した。
農業大手ロックチョイ・グループは、メコンデルタ地域でコメ農家の生産量、在庫などを厳密に管理し、どれだけの量を国内向けに確保し、どのタイミングで輸出契約を結ぶのが最適化を割り出し、二つの目的を両立させているという。
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■輸出価格、1週間で10%弱上昇
ベトナム食料協会(VFA)によると、ベトナムの5%破砕米の4日の輸出価格は1トン618米ドル(8万7,604円)で、前週末(7月28日)の563米ドルから9.8%上昇した。輸出価格の上昇に引きずられて国内の出荷価格も高値が続いており、7月20~27日の週の5%破砕米の価格は1キログラム当たり1万2,500ドンと、前週から5%上昇した。
商工省によれば、メコンデルタ産のコメ価格はすべての種類でおおむね、前週から1キログラム当たり100~300ドン、前月からは400~700ドン、前年同期からは400~1,600ドン上昇している。
昨年2月末にロシアがウクライナに侵攻したことを受けて、小麦輸出大国ウクライナからの出荷が落ち込むことが懸念され、世界的に穀物価格が上昇したことに加えて、エルニーニョ現象による干ばつへの不安から、インドに続き、ロシアやアラブ首長国連邦(UAE)が一時的な輸出禁止に踏み切ったことで、世界的に供給不足への懸念に拍車がかかった。
■インフレ再燃を回避
有数のコメ輸出国であるベトナムにとって、世界最大の輸出国であるインドがコメの輸出停止に踏み切ったことは、市場を奪う格好の好機になる一方、ジレンマも抱えている。
輸出価格の高騰が国内出荷価格に跳ね返り、最近は落ち着いているインフレ傾向に再び火が付けば、年後半の景気回復に期待をかける政府の目標の重しになりかねないためだ。
商工省と農業・地方開発省などは4日、メコンデルタ地域の中心の南部カントー市で、コメの輸出状況に関する会議を開き、今後は輸出管理を強化していく方針を確認した。
グエン・ホン・ジエン商工相は、「今の世界の状況をベトナム産米の輸出拡大につなげると同時に、国内価格を安定させ、食料安全保障を確保することが肝心だ」と述べ、輸出業者には一定の在庫水準の確保と、輸出1件1件について詳細な報告を求めた。
■1~7月の輸出額29.6%増
会議では、今年1~7月のコメの輸出は483万トン、25億8,000万米ドルで、量では前年同期比18.7%増、額で29.6%増となっていることが報告された。フィリピンなど東南アジアの伝統的な輸出国向けが大幅に伸びているほか、新たな市場である欧州向けも30%近く伸びた。高級白米やもち米など付加価値の高い品種の割合も増えているという。
農業・地方開発省は同会議で、世界的にコメの不足傾向が強まっていることを受けて、農業・地方開発省が今年の秋・冬収穫米の作付面積を5万ヘクタール増やし、輸出の拡大と国内供給確保の両立を図る方針を説明した。
同省のホアン・チュン次官は、「価格上昇とともに輸出を拡大できれば、農家と卸売業者両方の所得を底上げできる」と述べ、輸出市場の拡大と国内の食料安全保障の確保の両立を図る観点から、海外各国と国内の市場動向に目を配り、最善の供給計画を策定する方針だと説明した。
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