中国中小企業の景況感を示す中国中小企業発展指数(SMEDI)が上向きつつある。2023年第3四半期(7~9月)のSMEDIは前四半期から上昇し、過去2年で2番目に高い水準。SMEDIを構成する各指数も上昇が目立った。直近で相次ぐ政府の経済刺激・支援策が中小の景況感改善につながった。
SMEDIは全国の中小企業3,000社に対する調査結果を指数化したもの。経済団体の中国中小企業協会が毎月公表しており、四半期ごとの数値も発表している。下限が0、上限が200で、100を超えると好況、下回ると不況とみなされる。近年は100を下回る状況が常態化している。
23年第3四半期のSMEDIは89.2。前四半期から0.2ポイント上がった。上昇は2四半期ぶり。直近2年では23年第1四半期(1~3月)の89.3に次ぐ高い水準だった。
今年初頭は昨年末の新型コロナウイルス対策の撤廃を受けて景況感が上向き、2月は近年のピークとなる89.6まで上昇したが、3月以降はじりじりと下がる流れにあった。
第3四半期の地域別のSMEDIは東部(90.0)、中部(90.4)、西部(87.9)、東北(81.0)の全地域が上昇。東部は前四半期から0.9ポイント上がり、その他地域の上昇幅は0.1~0.2ポイントだった。
協会が9月末の生産・営業稼働率を聞いたところ、「フル稼働」は調査対象企業の41.1%を占め、比率は6月末から4.25ポイント上昇。「75%以上」は13.25%で、0.45ポイント下落した。「50%以上75%未満」は19.5%となり、1.95ポイント下がった。「生産できていない」は8.3%。
■工業の上昇幅最大
第3四半期の業種別指数は8業種のうち4業種が上昇した。
「工業」(89.4)は0.4ポイント上がり、上昇幅は業種別で最大。「交通・運輸」(84.2)は0.2ポイント上昇し、「情報伝達・ソフトウエア」(88.5)と「ホテル・飲食」(82.9)はともに0.1ポイント上がって、前四半期の下落から上昇に転じた。
一方、「不動産」(92.7)と「建設」(90.2)、「卸売り・小売り」(88.7)はいずれも0.1ポイント下落。不動産と建設は住宅市場の不振が影響したと考えられ、建設は上昇から下落に転換した。「社会サービス」(89.0)は横ばいだった。
好況を示す節目の100を超えた業種はなかった。
■見通し改善続く
第3四半期のSMEDIのサブ指数は、8項目のうち実質5項目が上がった。節目の100を上回ったのは実質3項目。
企業家のマクロ経済への見方を表す「マクロ経済指数」(98.9)は前四半期から0.5ポイント上昇。上昇幅は項目別で最大を記録した。政府による一連の経済政策とリスク対応策が将来の見通し改善につながった。企業の総合的な経営状況を示す「総合経営指数」(97.3)も0.2ポイント上昇した。
受注や販売状況を反映する「市場指数」(81.0)は0.3ポイント上がった。政策効果が上昇の背景にあり、調査対象の8業種のうち、5業種は国内受注が拡大し、4業種は販売量が増えた。
固定資産投資や研究開発(R&D)支出から算出する「投入指数」(83.3)は0.4ポイント上昇。5業種の関連支出が増えた。民間投資を促す政策措置の投入を追い風に、投資意欲を高める企業が増加した。
生産コストの状況を表す「コスト指数」(112.8)は0.1ポイント下落した。コスト指数は100未満がコスト改善、100を超えるとコスト悪化を表し、第3四半期は小幅に改善したことになる。ただ国内外での需要拡大を受けてコモディティーなどの原材料価格は上昇。政府の税・費用減免措置はプラス材料だが、原材料値上がりに伴い企業がコスト面で圧力を受ける状況が続いている。
■利益状況の低迷継続
一方、資金繰り状況を表す「資金指数」(100.8)は0.3ポイント下落。中小企業協会は「政府は中小企業への金融支援策を強めているものの、融資構造の問題などから中小企業の資金調達環境は依然厳しい」と指摘し、中小企業の資金状況が逼迫(ひっぱく)していることを明らかにした。7業種は運転資金の状況が悪化。5業種は売掛金が増えた。
企業の利益状況を示す「利益指数」(74.3)は横ばいを記録。過去の数値と比べても低水準にある。需要不足や物価の低迷、コスト高などが悪材料。赤字に転落する企業が増え、4業種の利益水準が下がった。
労働力の需給を反映する「労働力指数」(106.2)も横ばいだった。就業支援や社会保険料の減免などといった政府の措置が企業活動の活発化を促し、企業の人材需要を高めた。ただ労働力の供給は減少した。
中小企業協会は、「第3四半期の中国経済は回復に向かったが、直面する問題も多く、今後の経済成長を押し上げる基礎はまだ固まっていない」と指摘。中でも中小企業にはコスト上昇と利益低下、資金逼迫、売掛金の拡大などといった問題が出ていると説明し、経済政策に一層力を入れるべきだと呼びかけた。
■約7割がデジタル転換着手
中小企業協会が実施した中小企業の業務デジタル化に関する調査(454社対象)では、約7割が業務のデジタル化への転換に着手したと答えた。このうち7.3%は「主要業務のデジタル化を終えた」、62.1%は「一部業務をデジタル化した」とそれぞれ回答した。
一方、25.1%は「業務のデジタル化転換に向けた準備を進めている」、5.5%は「まだ業務のデジタル化に着手していない」と答えた。業務のデジタル化を阻害する要因としては、「資金」と「データ安全への懸念」が上位に並んだ。
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第3四半期の地域別のSMEDIは東部(90.0)、中部(90.4)、西部(87.9)、東北(81.0)の全地域が上昇。東部は前四半期から0.9ポイント上がり、その他地域の上昇幅は0.1~0.2ポイントだった。
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■工業の上昇幅最大
第3四半期の業種別指数は8業種のうち4業種が上昇した。
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好況を示す節目の100を超えた業種はなかった。
■見通し改善続く
第3四半期のSMEDIのサブ指数は、8項目のうち実質5項目が上がった。節目の100を上回ったのは実質3項目。
企業家のマクロ経済への見方を表す「マクロ経済指数」(98.9)は前四半期から0.5ポイント上昇。上昇幅は項目別で最大を記録した。政府による一連の経済政策とリスク対応策が将来の見通し改善につながった。企業の総合的な経営状況を示す「総合経営指数」(97.3)も0.2ポイント上昇した。
受注や販売状況を反映する「市場指数」(81.0)は0.3ポイント上がった。政策効果が上昇の背景にあり、調査対象の8業種のうち、5業種は国内受注が拡大し、4業種は販売量が増えた。
固定資産投資や研究開発(R&D)支出から算出する「投入指数」(83.3)は0.4ポイント上昇。5業種の関連支出が増えた。民間投資を促す政策措置の投入を追い風に、投資意欲を高める企業が増加した。
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■利益状況の低迷継続
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企業の利益状況を示す「利益指数」(74.3)は横ばいを記録。過去の数値と比べても低水準にある。需要不足や物価の低迷、コスト高などが悪材料。赤字に転落する企業が増え、4業種の利益水準が下がった。
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中小企業協会は、「第3四半期の中国経済は回復に向かったが、直面する問題も多く、今後の経済成長を押し上げる基礎はまだ固まっていない」と指摘。中でも中小企業にはコスト上昇と利益低下、資金逼迫、売掛金の拡大などといった問題が出ていると説明し、経済政策に一層力を入れるべきだと呼びかけた。
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中小企業協会が実施した中小企業の業務デジタル化に関する調査(454社対象)では、約7割が業務のデジタル化への転換に着手したと答えた。このうち7.3%は「主要業務のデジタル化を終えた」、62.1%は「一部業務をデジタル化した」とそれぞれ回答した。
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