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全国電化、5年内達成へエネ省行程表、720億ペソ予算

フィリピン・エネルギー省は2028年までに全世帯を送電網に接続する計画のロードマップ(行程表)を示した。720億ペソ(約1,900億円)の予算が必要になると試算した。貧困層の削減や生活の底上げ、周辺地区の産業化により地域経済の発展につなげる。7,600を超える島で構成される島しょ国で電化が難しい地域があるため、官民で連携して目標達成を目指す。

政府は2028年までに全国の家庭に電力を届ける目標を掲げている=7月、ラグナ州

エネ省が27日発表した「国家完全電化ロードマップ2023—2032」によると、全国2,773万世帯の電化率は6月時点で91.1%だった。245万世帯が電力網に組み込まれていないが、28年の完全電化に向けては人口増などで368万世帯の電化が必要になると想定している。
地方別に見ると、マニラ首都圏がある北部ルソンは96.3%と全国平均よりも電化が進んでいる。一方、中部ビサヤは89.4%、南部ミンダナオは79.0%と遅れている。
電化に必要な費用は720億ペソと試算した。エネルギー省と傘下の国家電力管理庁(NEA)が計705億ペソ、民間事業者と地方自治体の事業者が計15億ペソを拠出する。
目標達成に向けては、一般家庭と同様の送電網接続や送電線の延伸による接続に注力する。農村部やへき地などで送電網への接続が難しい場合、集落が形成されている地区では小規模送電網の構築、世帯数が少ない地区には再生可能エネルギーや蓄電池を用いた独立型の電化を検討する。
接続方法の内訳は、一般的な電力網への接続の割合が62%と最も高い一方で、独立型が27%を占め、農村部やへき地に居住している世帯が多いことが分かる。送電線の延伸は10%、小規模送電網は1%にとどまる。
全世帯に電力を届けるには課題もある。政府や自治体の資金が不足し、運営・保守の費用が賄えないことや、送電線の延伸により管理が煩雑になり損失が生まれやすくなることがある。農村部やへき地では電化が難しい場所が多いほか、住民の定額収入がなく毎月の電気代が支払えないなどの問題も横たわる。
政府はこうした問題に対し、運営の見直しや補助金の支給、税金の免除などを解決策として検討していく。電化が進めばインターネットの接続や生活の利便性が高まるなど恩恵が大きく、電力インフラを整備することで地域経済の活性化につなげる。

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