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中国の経済回廊計画に打撃、北東部衝突で

ミャンマー北東部シャン州北部で少数民族武装勢力が国軍への攻撃を強めていることが、中国が計画する「中国・ミャンマー経済回廊(CMEC)」の投資案件への打撃となりそうだ。巨大経済圏構想「一帯一路」の一環として同計画関連で総額350億米ドル(約5兆3,000億円)の投資計画があるが、多くがシャン州北部に集中。中国政府は目立った反応を示していないが、情勢が深刻化すれば介入に動く可能性がある。
シンクタンク「ISPミャンマー」はこのほど発表した報告書で、シャン州北部にはCMEC関連の投資が4件あり、事業規模は合算で130億米ドルに上ると指摘。同地域ではCMECとは別に3案件が存在し、投資額は合算で39億米ドル以上。CMECによる23事業の総額と比べると、シャン州北部への投資は約5割となる。
両国の二つの主要玄関口付近(シャン州ムセ—雲南省瑞麗市、シャン州チンシュエホー—雲南省臨滄市)では「国境経済協力地区(BECZ)」を開発しようとするが、10月下旬からの衝突激化でミャンマー側の輸送路が封鎖されている。両玄関口は両国間の国境貿易の約9割を担い、影響が懸念されている。
中国はCMECの他、輸送ルート「国際陸海貿易新通道(ILSTC)」の開発計画や、中国とメコン川流域諸国の協力枠組み「瀾滄江—メコン川協力(LMC)」による事業なども進める方針。
今月12日には、国軍が支配していたクンロンが陥落した。漢民族系のコーカン族が多い国境沿いのコーカン自治区につながる要衝で、ミャンマー独立直後から1980年代後半までビルマ共産党(CPB)の脅威が続くも、国軍は同拠点を維持し続けてきた。
クンロンには、中国からミャンマーを経由してアンダマン海に注ぐ国際河川サルウィン川も流れる。中国とミャンマーは10年代前半、同地域における「クンロンダム」などと呼ばれる巨大ダム・水力発電所の建設で合意したが、環境汚染や治安などの問題で計画が遅れている。
国軍に一斉攻撃を仕掛けるのは、「兄弟同盟」を結ぶミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)、タアン民族解放軍(TNLA)、アラカン軍(AA)。アラカン軍と国軍は約1年間、西部ラカイン州で一時停戦を続けていたが、それも破られた。中国が狙うアンダマン海への輸送路開発にも悪影響を与えかねない。
ISPミャンマーは、いまのところ中国はミャンマー国内の武力衝突をある程度許容しているが、深刻化して首都ネピドー近くまで武力衝突が及べば、介入する可能性があるとしている。21年2月のクーデターで実権を掌握した国軍に対し、民主派による「挙国一致政府(NUG)」と民主派武装組織「国民防衛隊(PDF)」が激しく抵抗。中国は民主派勢力が西側陣営に傾斜し過ぎていると警戒しているという。

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