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23年流行、消費・娯楽に新風TikTokで買い物、旅行復活

ベトナム市場調査のAsia Plus(アジアプラス、東京都世田谷区)とNNAは、2023年のベトナムの流行やヒット商品の「トレンド番付」をまとめた。東の横綱には、オンラインショッピングに娯楽性を持ち込み急速に普及した中国系動画投稿アプリTikTok(ティックトック)の通販機能「TikTokショップ」を、西の横綱にはコロナ禍の収束を受けた「旅行需要の復活」を選んだ。今年前半の猛暑や9月に首都ハノイで発生したアパート火災など世相を反映したキーワードや商品、Kポップなど韓流コンテンツ関連が上位に並んだ。
TikTokショップは22年にベトナムでサービスを開始後、人口の半分に相当する5,000万人のTikTokユーザーに急速に普及した。TikTok動画の娯楽性や事業者側が支払う運営手数料が低額なことが評価され、電子商取引(EC)プラットフォームの取引額シェアで16%とショッピーに次ぐ2位に台頭した。
南部ホーチミン市に住む24歳の女性は毎月のようにTikTokショップで衣類や化粧品を買う。「ショッピーなどと比べて割引が充実している」と気に入っている。
3年におよんだコロナ禍の収束で旅行需要は国内、海外を問わず回復した。国内ではフーコック島(南部キエンザン省)などの定番の行き先に加えて、少数民族の素朴な生活が残る北部山岳地帯のハザン省などが新たな観光地として注目を高めた。所得の向上に伴うニーズの多様化を受けて、グランピングや日常のストレスからのいやしをテーマにした「ウエルネスツーリズム」も広がった。
■発電機、電力不足で品薄に
東の大関には年前半の記録的な猛暑や北部での電力不足による停電への対策商品を選んだ。景気の低迷で家電が販売不振に陥る中で、エアコンは飛ぶように売れた。6月に北部各地で計画停電が導入されると、「エアコン難民」が冷房が効いたショッピングモールに殺到した。家庭用発電機やバッテリー型扇風機、小型バッテリーの需要が急拡大し、売り切れが相次いだ。
西の大関はKポップの女性アイドルグループ「ブラックピンク」。7月に開催したハノイでのコンサートは2日間で7万人を動員。国内外から駆け付けるファンでハノイ行きの航空券や周辺のホテルの価格が跳ね上がった。2日間の市の観光収入は総額6,300 億ドン (約2,584万米ドル、37億円)に上り、韓流人気の高さを見せつけた。

23年はTikTokショップが急速に普及した。写真はライブコマース(ライブ配信型インターネット通販)の実演の様子=8月、ホーチミン市

■「ビン・タクシー」、大都市を席巻

ビンファストのEVを使った「グリーンSMタクシー」が急速に普及した=4月、ハノイ

東の関脇は複合企業ビングループの関連会社が手がける電気自動車(EV)タクシー。グループ傘下の国産車メーカー、ビンファストのEVを使ったタクシー事業は4月にハノイで事業を開始すると、瞬く間にサービスエリアを拡大。バイクタクシーや宅配バイク事業にも乗り出し、主要都市をトレードマークの水色の車両が席巻した。
シェア自転車の利用も広まった。地場IT企業チーナム・グループが21年末にホーチミン市を皮切りに開始した自転車シェアサービス「TNGO」は、コロナ禍で高まった健康志向を捉え、ハノイなど6省市に展開した。これまでに130万人余りが利用登録している。
■ドラゴンフルーツ即席麺が話題に
食のトレンドからは韓国発祥の「10ウォンパン」を東の小結に選んだ。10ウォン玉の形をしたチーズ入りのパンケーキがベトナムに上陸すると、韓流好きの若者の間で話題となり、販売店には行列ができた。
「塩コーヒー」は西の小結。中部トゥアティエンフエ省フエの飲み物だが、TikTok動画がきっかけで、塩で苦みを抑えた新感覚のコーヒーとして爆発的に広がった。ベトナム独自の新たな食文化としては、ドラゴンフルーツを練り込んだピンク色のインスタントラーメンも注目を集めた。

若者の間で流行した「10ウォンパン」=12月、ハノイ

ずさんな防火体制で50人以上が死亡したハノイのアパート火災は、社会に衝撃を与えた。出火原因が充電中の電動バイクだったのではないかという誤ったうわさが広まると、駐輪場でのバイクの充電を禁止するアパートが相次いだ。火災後、縄ばしごや消火器などを買い求める集合住宅に住む市民が急増した。
韓流コンテンツはテレビ番組でも人気となった。「2 Ngay 1 Dem」は韓国の人気番組のベトナム版で、登場する人気タレントたちが1泊2日でさまざまな挑戦をするリアリティーショーとして支持を集めた。
■「若者文化、かつてないスピードで変化」
アジアプラスの黒川賢吾社長は23年のトレンドについて「気候変動への意識が高まり、EVタクシーなどサステナブルな交通手段に注目が集まった。また、韓流の影響が若者文化に随所で大きな影響を与えた」と解説。新興サービスのTikTokショップが市場を席巻するなど「今までにないスピードで購買行動が変化をした」と振り返った。
24年については「ベトナム経済の復活とともに、デジタルを中心に購買やサービスの多くの分野でさらなる変化が期待できる年となるのではないか」と予想している。
番付は、12月前半に18~44歳までの男女約300人を対象に行われた調査に基づいて作成した。調査結果の詳細は1月以降にアジアプラスのサイト<https://qandme.net/>で公開される。

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南部ホーチミン市に住む24歳の女性は毎月のようにTikTokショップで衣類や化粧品を買う。「ショッピーなどと比べて割引が充実している」と気に入っている。
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■発電機、電力不足で品薄に
東の大関には年前半の記録的な猛暑や北部での電力不足による停電への対策商品を選んだ。景気の低迷で家電が販売不振に陥る中で、エアコンは飛ぶように売れた。6月に北部各地で計画停電が導入されると、「エアコン難民」が冷房が効いたショッピングモールに殺到した。家庭用発電機やバッテリー型扇風機、小型バッテリーの需要が急拡大し、売り切れが相次いだ。
西の大関はKポップの女性アイドルグループ「ブラックピンク」。7月に開催したハノイでのコンサートは2日間で7万人を動員。国内外から駆け付けるファンでハノイ行きの航空券や周辺のホテルの価格が跳ね上がった。2日間の市の観光収入は総額6,300 億ドン (約2,584万米ドル、37億円)に上り、韓流人気の高さを見せつけた。
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東の関脇は複合企業ビングループの関連会社が手がける電気自動車(EV)タクシー。グループ傘下の国産車メーカー、ビンファストのEVを使ったタクシー事業は4月にハノイで事業を開始すると、瞬く間にサービスエリアを拡大。バイクタクシーや宅配バイク事業にも乗り出し、主要都市をトレードマークの水色の車両が席巻した。
シェア自転車の利用も広まった。地場IT企業チーナム・グループが21年末にホーチミン市を皮切りに開始した自転車シェアサービス「TNGO」は、コロナ禍で高まった健康志向を捉え、ハノイなど6省市に展開した。これまでに130万人余りが利用登録している。
■ドラゴンフルーツ即席麺が話題に
食のトレンドからは韓国発祥の「10ウォンパン」を東の小結に選んだ。10ウォン玉の形をしたチーズ入りのパンケーキがベトナムに上陸すると、韓流好きの若者の間で話題となり、販売店には行列ができた。
「塩コーヒー」は西の小結。中部トゥアティエンフエ省フエの飲み物だが、TikTok動画がきっかけで、塩で苦みを抑えた新感覚のコーヒーとして爆発的に広がった。ベトナム独自の新たな食文化としては、ドラゴンフルーツを練り込んだピンク色のインスタントラーメンも注目を集めた。[caption id="attachment_17386" align="aligncenter" width="620"]若者の間で流行した「10ウォンパン」=12月、ハノイ[/caption]
ずさんな防火体制で50人以上が死亡したハノイのアパート火災は、社会に衝撃を与えた。出火原因が充電中の電動バイクだったのではないかという誤ったうわさが広まると、駐輪場でのバイクの充電を禁止するアパートが相次いだ。火災後、縄ばしごや消火器などを買い求める集合住宅に住む市民が急増した。
韓流コンテンツはテレビ番組でも人気となった。「2 Ngay 1 Dem」は韓国の人気番組のベトナム版で、登場する人気タレントたちが1泊2日でさまざまな挑戦をするリアリティーショーとして支持を集めた。
■「若者文化、かつてないスピードで変化」
アジアプラスの黒川賢吾社長は23年のトレンドについて「気候変動への意識が高まり、EVタクシーなどサステナブルな交通手段に注目が集まった。また、韓流の影響が若者文化に随所で大きな影響を与えた」と解説。新興サービスのTikTokショップが市場を席巻するなど「今までにないスピードで購買行動が変化をした」と振り返った。
24年については「ベトナム経済の復活とともに、デジタルを中心に購買やサービスの多くの分野でさらなる変化が期待できる年となるのではないか」と予想している。
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