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米シェブロンが撤退、事業権益を全て譲渡

米石油大手シェブロンが、ミャンマーで手がけていた天然ガスの開発事業から撤退した。同国最大のガス田であるヤダナ鉱区の全保有権益を手放したもので、フランスのトタルエナジーズ(旧トタル)に続く石油メジャーの撤退となった。シェブロンの権益は同じく同鉱区の権益を持つタイとミャンマーの2社に譲渡され、新たな体制で採掘が行われることになるが、軍事政権が抵抗勢力の攻勢で弱体化する中、先行きは見通せない。

米シェブロンはヤダナ・ガス田の権益41.1%をタイのPTTEPなどに譲渡した(PTTEP公式サイトより)

シェブロンの撤退は、同社と同様にヤダナ鉱区の権益を持つタイ国営PTT傘下の探鉱・開発会社PTTエクスプロレーション・アンド・プロダクション(PTTEP)が5日に発表した。シェブロンが4月1日で撤退し、同社子会社ユノカル・ミャンマー・オフショアが保有していた全権益41.1%を、PTTEPなどに譲渡するという内容だった。
譲渡手続きは5日に完了しており、PTTEPのヤダナ鉱区への権益は62.96%に拡大したという。売却額をはじめとする譲渡契約の詳細は明らかになっていない。
ロイター通信によると、シェブロンは同鉱区の権益をミャンマー国軍が統制するエネルギー省傘下のミャンマー石油ガス公社(MOGE)にも譲渡した。同公社は、国軍の資金源になっているとして国際社会から批判を受けている。
ヤダナ鉱区を巡っては、事業収益が国軍に流れているとして人権団体などが非難。これを受けてトタルエナジーズが2022年1月に撤退すると表明し、同年7月に撤退を完了したと発表した。
シェブロンも同年1月に撤退を検討すると発表。当初は、カナダのMTIエナジーに権益を売却することで同社と合意した。その後、同国の市民団体などが「事業取得でカナダ企業がミャンマー国軍の戦争犯罪に加担する」として、MTIエナジーによる権益買収に反対する嘆願書をカナダ政府に提出していた。
人権団体「ジャスティス・フォー・ミャンマー(JFM)」は8日、同団体の交流サイト(SNS)上でシェブロンの撤退に言及。同社が人権に関する努力義務の透明化と事業によって生じた被害者への救済を、責任を持って果たすよう求めた。
同鉱区で産出された天然ガスは7割がタイに輸出されているとされるが、その量は2023年に入って急減している。タイの同鉱区からの輸入量は、同国のエネルギー省エネルギー政策事務局(EPPO)によれば、23年1~11月の1日当たりで前年同期比33.6%減の2億8,900万立方フィートだった。

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ヤダナ鉱区を巡っては、事業収益が国軍に流れているとして人権団体などが非難。これを受けてトタルエナジーズが2022年1月に撤退すると表明し、同年7月に撤退を完了したと発表した。
シェブロンも同年1月に撤退を検討すると発表。当初は、カナダのMTIエナジーに権益を売却することで同社と合意した。その後、同国の市民団体などが「事業取得でカナダ企業がミャンマー国軍の戦争犯罪に加担する」として、MTIエナジーによる権益買収に反対する嘆願書をカナダ政府に提出していた。
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