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女性役員比率が過去最高24%上場100社、25年目標に向け順調

シンガポールの上場企業上位100社の女性役員比率は、2023年12月時点で23.7%となった。13年の7.5%から10年で3倍の水準に拡大し、過去最高を更新。アジアではマレーシアに続いて2番目の高水準となり、世界平均を上回った。シンガポール政府が掲げる25年までに25%の目標も達成できる見込みだ。

シンガポールの上場企業上位100社の女性役員比率は2023年に23.7%となった=3日、シンガポール中心部(NNA撮影)

社会・家庭発展省傘下の役員会多様化評議会(CBD)の調査によると、シンガポール取引所(SGX)に上場する時価総額上位100社の23年12月の女性役員比率は、22年12月から2.0ポイント上昇し、23.7%となった。
評議会が女性役員比率を比較した12カ国・地域のうち、最も高かったのはノルウェーで、24年3月時点の上場全232社の平均で43.9%だった。シンガポールの23.7%は、アジアではマレーシア(30.7%)を下回ったが、インド、香港、日本、中国を上回り、世界平均の23.3%を超える水準となった。
シンガポールの上場企業を業種別にみると、テクノロジーが34%で最高。これに基礎材料と工業がそれぞれ27%で続いた。不動産と公益はともに24%だった。
評議会は14年に前身組織が発足し、19年に役員会多様化評議会として再編。上場上位100社の女性役員比率を「20年までに20%、25年までに25%、30年までに30%」に引き上げる目標を掲げている。23年に女性役員比率が25%超の企業は48社となり、22年の39社から9社増え、過去最高水準となった。
SGX上場企業に加え、行政機関や公益法人の女性上級幹部・女性役員比率も前年から増加し、過去最高を更新した。
行政機関の女性上級幹部比率は32.7%となり、前年から1.3ポイント上昇。18年からは9.4ポイント増加した。人材開発省の47%を筆頭に、保健省の42%、情報通信省の39%と、3省では上級幹部の3分の1以上を女性が占めている。
公益法人の寄付金の収益で上位100社の女性役員比率は31.0%と前年から1.7ポイント上昇。公益法人全体でも33.8%といずれも3割を超えた。
SGX上場企業全体をみると、女性役員比率は16.1%と上位100社の平均よりも低い水準だったが、前年からは1.4ポイント上昇した。
マサゴス・ズルキフリ社会・家庭発展相は声明で、「全般的に取締役会への女性の参加が進んでいることは、性別に多様性のある取締役会を持つことの重要性に対する認識が高まっていることを反映している」と説明した。

■引き続き努力必要
SGXでは22年1月から、社外取締役の任期を9年に制限するルールが適用された。「性別」「スキル」「経験」などの観点から取締役会の構成の多様性に関する方針の開示も企業に義務付けられた。
評議会によると、SGX上場の上位100社で、23年に初めて役員になった人の割合は全体の66%を占め、22年の47%から19ポイント増加した。
上場上位100社のうち12社が女性役員比率を40~60%にするという男女の公平性を示す組織のジェンダーバランスの目標を達成。女性取締役が取締役会議長や監査・指名・報酬委員会の委員長職を務める割合は17%となり、18年の9%から大幅に上昇した。
役員が男性のみで構成されている取締役会の比率は、上場上位100社で11%となり13年の51%から過去10年で大幅に低下。上場企業全体では38%で、13年の57%から低下した。公益法人上位100社の同割合は4%、行政機関ではゼロとなった。
評議会は報告書で、人工知能(AI)の進化に伴うテクノロジーの転換や、世界各国の政治的な不確実性、ESG(環境・社会・企業統治)、温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「ネットゼロ」といった持続可能な取り組みの必要性により、リーダーシップに多様性を求める声はかつてないほど強くなっていると指摘。男女平等を達成するためには、さらなる前進が必要であることを強調した。
評議会の共同議長であるミルドレッド・タン氏は、「女性と男性が協力し、問題解決に向けて多様な視点とアプローチをもたらすことで相乗効果が得られ、組織のパフォーマンスが向上する」と言及。取締役会の多様性の進展を維持するためには、一貫した多大な努力が必要であるとの見解を示した。

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シンガポールの上場企業を業種別にみると、テクノロジーが34%で最高。これに基礎材料と工業がそれぞれ27%で続いた。不動産と公益はともに24%だった。
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SGX上場企業に加え、行政機関や公益法人の女性上級幹部・女性役員比率も前年から増加し、過去最高を更新した。
行政機関の女性上級幹部比率は32.7%となり、前年から1.3ポイント上昇。18年からは9.4ポイント増加した。人材開発省の47%を筆頭に、保健省の42%、情報通信省の39%と、3省では上級幹部の3分の1以上を女性が占めている。
公益法人の寄付金の収益で上位100社の女性役員比率は31.0%と前年から1.7ポイント上昇。公益法人全体でも33.8%といずれも3割を超えた。
SGX上場企業全体をみると、女性役員比率は16.1%と上位100社の平均よりも低い水準だったが、前年からは1.4ポイント上昇した。
マサゴス・ズルキフリ社会・家庭発展相は声明で、「全般的に取締役会への女性の参加が進んでいることは、性別に多様性のある取締役会を持つことの重要性に対する認識が高まっていることを反映している」と説明した。

■引き続き努力必要
SGXでは22年1月から、社外取締役の任期を9年に制限するルールが適用された。「性別」「スキル」「経験」などの観点から取締役会の構成の多様性に関する方針の開示も企業に義務付けられた。
評議会によると、SGX上場の上位100社で、23年に初めて役員になった人の割合は全体の66%を占め、22年の47%から19ポイント増加した。
上場上位100社のうち12社が女性役員比率を40~60%にするという男女の公平性を示す組織のジェンダーバランスの目標を達成。女性取締役が取締役会議長や監査・指名・報酬委員会の委員長職を務める割合は17%となり、18年の9%から大幅に上昇した。
役員が男性のみで構成されている取締役会の比率は、上場上位100社で11%となり13年の51%から過去10年で大幅に低下。上場企業全体では38%で、13年の57%から低下した。公益法人上位100社の同割合は4%、行政機関ではゼロとなった。
評議会は報告書で、人工知能(AI)の進化に伴うテクノロジーの転換や、世界各国の政治的な不確実性、ESG(環境・社会・企業統治)、温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「ネットゼロ」といった持続可能な取り組みの必要性により、リーダーシップに多様性を求める声はかつてないほど強くなっていると指摘。男女平等を達成するためには、さらなる前進が必要であることを強調した。
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