上海、深セン、北京の3証券取引所に上場する企業の2024年6月中間期決算がほぼ出そろい、全体の99%に当たる5,340社の合計純利益は前年同期比で1.9%減、売上高は1.4%減だった。内需不振や不動産市況悪化など複数の要素が打撃となった。ただ政策支援などを背景に、同期の後半は改善傾向が表れた。
上場企業が所属する団体、中国上市公司協会が8月31日までに発表された決算をまとめた。24年6月末時点の上場企業数は計5,374社。
上場企業全体の純利益は3兆1,300億元(約64兆3,000億円)、売上高は34兆8,900億元だった。前年同期の発表値からはそれぞれ1.9%減、1.4%減となる。金融業を除く実業の企業群による純利益は4.9%減の1兆7,400億元、売上高は0.4%減の30兆3,500億元。
時価総額の大きい企業が集まる上海証券取引所の上場企業の合計純利益は1.4%減の2兆3,600億元、売上高は横ばいの24兆9,400億元だった。
内需不振とそれに伴う製品価格の下落が幅広い業種の業績に響いた。資本市場の低迷を背景とした金融資産の公正価値変動に伴う損失計上、投資先企業からの投資収益減少なども痛手となった。
24年6月中間期は、全体の78%に当たる4,141社が黒字。前年同期から約100社減った。増収は3,032社で、前年同期からほぼ横ばい。
上場企業のうち民間企業は24年6月中間期に3.3%増収。中央企業(中央政府管轄の国有企業)は0.1%増収で、純利益は3.1%増だった。
ただ業績が改善する流れにあることも見て取れる。上場企業の第1四半期(1~3月)決算の純利益は1兆5,400億元、売上高は16兆9,000億元。第2四半期(4~6月)決算は純利益が前四半期比2.8%増の1兆5,800億元、売上高が6.4%増の17兆9,900億元となった。各種の経済政策が第2四半期の企業業績を押し上げたとみられる。
■セクターごとに明暗
24年6月中間期はセクターごとに明暗が分かれた。全19セクターのうち、9セクターは売上高が増え、8セクターは純利益が増加した。前年同期は増収が13セクター、増益は10セクターだった。
好調だったのは自動車で、売上高は前年同期から8%増え、純利益は20%以上増加した。「新エネルギー車(NEV、電気自動車=EV、プラグインハイブリッド車=PHVが主体)」市場の成長が業界の追い風となった。ただ企業ごとの業績のばらつきが目立ち、電動車に強い大手が伸び、内燃機関車(ICEV)に従来強く、合弁事業に依存する企業は落ち込みが目立った。
旅行者数の増加を追い風に観光関連も伸びた。ホテル・飲食の純利益は38.0%増、観光は13.6%増、交通・運輸は9.8%増。市況が回復しているコンシューマーエレクトロニクスは23.8%の増益となった。コンピューティング施設の建設需要が高まる中でコンピューター・通信・その他電子設備製造は11.6%の増益。再生可能エネルギーや家電、紡織・服飾などの業種も純利益が伸びたという。
一方、銀行は不振。金利低下のあおりを受けた形で、6大国有商業銀行のうち、5行は売上高に相当する経常収益と純利益が減少。第一財経日報(電子版)などによると、上場全体の42行で見ても、経常収益は2%減り、16行がマイナスを記録した。34行の純利ざやが縮小した。不動産向け貸し出しが減っていることも悪材料で、19行のうち14行の関連貸し出しは減少した。
資本市場の低迷を受けて、証券業界も伸び悩み。業績悪化などに伴い、人員削減に動く企業も多く、上場証券会社50社の6月末時点の従業員数は前年末から7,000人近く減った。
不動産業界は依然住宅市況悪化に苦しみ、減益や赤字計上の企業が目立った。航空業界は売り上げが伸びて純損失を前年同期から大幅に圧縮したものの、国際線の回復の遅れなどが響いた。
製造業も全体で見れば純利益が落ち込んだ。
海外市場が国内市場の不振を穴埋めしている現状も浮き彫りになった。上場企業全体の海外事業の売り上げは12.8%増の3兆8,300億元。海外事業が売上高全体に占める比率は11.0%で、前年同期から約1.4ポイント上がった。製造業は11.6%増え、再生可能エネルギーやNEV、動力電池、バイオ医薬などが伸びを下支えした。
■R&Dに15兆円以上投入
上場企業の研究開発(R&D)費用は増加が続いた。
上場企業による24年6月中間期のR&D費用は前年同期比1.3%増の7,500億元となった。日本円ベースで約15兆4,000億円を投じたことになる。
売上高に対するR&D費用の比率は2.15%で、前年同期から0.06ポイント拡大。このうち上海証券取引所のハイテク・イノベーション関連市場「科創板(スター・マーケット)」の上場企業は計780億元以上を投じ、売上高に対する比率は11.6%と市場別で群を抜いて高かった。深セン証券取引所の新興企業市場「創業板」の比率は5.0%だった。
売上高に対するR&D費用の比率が10%を超えたのは943社。NEV大手の比亜迪(BYD)や建設大手の中国建築、通信大手の中国移動(チャイナ・モバイル)、通信機器大手の中興通訊(ZTE)はいずれも100億元を突破した。
1,263社が今年上半期(1~6月)に自社株買いを実施した。総額は809億元。
24年第1四半期決算または中間期決算の現金配当を発表した企業は8月末までに677社で、前年同期から約500社増加。中でも480社余りは直近5年の四半期または中間期ベースで初めて配当を払うことになる。政府が企業に期中配当を求めていることが背景にある。
■時価総額が1割超縮小
8月末時点の上場企業数は、上海市場が2,268社、深セン市場が2,839社、北京市場が251社の計5,358社。前年同月末から81社増えた。
全社を合わせた時価総額(非流通株含む)は8月30日終値時点で約70兆3,704億元。前年同月末(約81兆1,216億元)から約13%減少した。
中国A株(人民元建て普通株式)市場で今年新規株式公開(IPO)を実施した企業は8月末までに59社。昨年7月以降にIPOの引き締めを図る動きが広がり、前年同期の173社から大幅に減少した。上場廃止は47社だった。
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24年6月中間期は、全体の78%に当たる4,141社が黒字。前年同期から約100社減った。増収は3,032社で、前年同期からほぼ横ばい。
上場企業のうち民間企業は24年6月中間期に3.3%増収。中央企業(中央政府管轄の国有企業)は0.1%増収で、純利益は3.1%増だった。
ただ業績が改善する流れにあることも見て取れる。上場企業の第1四半期(1~3月)決算の純利益は1兆5,400億元、売上高は16兆9,000億元。第2四半期(4~6月)決算は純利益が前四半期比2.8%増の1兆5,800億元、売上高が6.4%増の17兆9,900億元となった。各種の経済政策が第2四半期の企業業績を押し上げたとみられる。
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24年6月中間期はセクターごとに明暗が分かれた。全19セクターのうち、9セクターは売上高が増え、8セクターは純利益が増加した。前年同期は増収が13セクター、増益は10セクターだった。
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一方、銀行は不振。金利低下のあおりを受けた形で、6大国有商業銀行のうち、5行は売上高に相当する経常収益と純利益が減少。第一財経日報(電子版)などによると、上場全体の42行で見ても、経常収益は2%減り、16行がマイナスを記録した。34行の純利ざやが縮小した。不動産向け貸し出しが減っていることも悪材料で、19行のうち14行の関連貸し出しは減少した。
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