ベトナム運輸省は、2030年までの運輸部門の二酸化炭素(CO2)の排出削減計画をこのほど発表し、同年までに走行する自動車の総数の30%、バイクの22%を電動車両とする目標を盛り込んだ。車両の品質・環境基準の改正や電気自動車(EV)などへの優遇策の策定、充電インフラの整備などを進め、30年時点で運輸部門全体で1,061万トン相当の排出抑制を目指す。
運輸省は30年までの温室効果ガス削減計画を策定した=23年6月、ハノイ
運輸省は9月30日付で公布・施行した決定1191号(1191/QD—BGTVT)で、運輸部門の排出削減計画を示した。30年時点で走行する自動車の電動化率は30%、バイクは22%とした。
目標達成のため、自動車およびバイクの国家基準の改正を進める。現行の「自動車の品質技術安全基準と環境保護に関する国家基準(QCVN09:2015)」はEVについて基準を設定していない。運輸省はEVやハイブリッド車(HV)、水素自動車を含めた同基準の草案を6月に公開している。
環境配慮型のエコカーの分類についての通達制定や、電動車両の優遇措置、サービスエリアでの充電設備の設置や従来燃料の車両から電動車両への乗り換え促進策制定、バイクの排ガス検査制度の整備なども進める。
決定1191号は電動バスの利用率を30年時点で30%と設定。全国省市の人民委員会が電動バス導入の普及計画を定めることなどを盛り込んだ。従来型燃料の自動車・バイクの燃費規制の強化、バスや鉄道を含む公共交通機関の利用促進、トラックの積載能力の強化なども盛り込んだ。
■30年までに5.9%抑制目指す
決定1191号は、30年までの運輸部門のCO2排出削減の「無条件目標(自助努力)」として、排出削減対策を実施しなかった場合と比べて5.9%、4,562万トン相当を掲げている。30年単年の削減目標は1,061万トン。
運輸部門の目標は、22年11月に政府が国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)事務局に提出した温室効果ガス排出削減目標(NDC)の改訂版に基づいている。NDCは、国際公約である50年時点でのカーボンニュートラル(炭素中立)に向けて、30年までの無条件目標は対策を実施しなかった場合と比較して15.8%、1億4,630万トン相当の削減に設定した。「条件付き目標(国際支援あり)」では追加で27.7%、2億5,740万トン相当、合計43.5%の排出削減を目指す。
■ハイブリッド車への優遇が焦点に
50年の炭素中立を見据えて、自動車・バイク各社は環境対応を進めている。バイク最大手のホンダ・ベトナム(HVN)は来春、ベトナム国内で電動バイクの本格販売を開始する。
自動車の電動化ではビンファストがEV販売で先行しており、中国EVメーカーの比亜迪(BYD)が今年に入りベトナムに進出するなどEV市場が活性化している。
日系メーカーは充電設備が不要なHVの販売拡大に注力しているが、HVはEVと異なり特別消費税(SCT)と登録料の軽減対象に含まれていない。ホンダなどはベトナム自動車工業会(VAMA)を通じてHVもエコカー優遇の対象に入れるよう働きかけている。
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目標達成のため、自動車およびバイクの国家基準の改正を進める。現行の「自動車の品質技術安全基準と環境保護に関する国家基準(QCVN09:2015)」はEVについて基準を設定していない。運輸省はEVやハイブリッド車(HV)、水素自動車を含めた同基準の草案を6月に公開している。
環境配慮型のエコカーの分類についての通達制定や、電動車両の優遇措置、サービスエリアでの充電設備の設置や従来燃料の車両から電動車両への乗り換え促進策制定、バイクの排ガス検査制度の整備なども進める。
決定1191号は電動バスの利用率を30年時点で30%と設定。全国省市の人民委員会が電動バス導入の普及計画を定めることなどを盛り込んだ。従来型燃料の自動車・バイクの燃費規制の強化、バスや鉄道を含む公共交通機関の利用促進、トラックの積載能力の強化なども盛り込んだ。
■30年までに5.9%抑制目指す
決定1191号は、30年までの運輸部門のCO2排出削減の「無条件目標(自助努力)」として、排出削減対策を実施しなかった場合と比べて5.9%、4,562万トン相当を掲げている。30年単年の削減目標は1,061万トン。
運輸部門の目標は、22年11月に政府が国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)事務局に提出した温室効果ガス排出削減目標(NDC)の改訂版に基づいている。NDCは、国際公約である50年時点でのカーボンニュートラル(炭素中立)に向けて、30年までの無条件目標は対策を実施しなかった場合と比較して15.8%、1億4,630万トン相当の削減に設定した。「条件付き目標(国際支援あり)」では追加で27.7%、2億5,740万トン相当、合計43.5%の排出削減を目指す。
■ハイブリッド車への優遇が焦点に
50年の炭素中立を見据えて、自動車・バイク各社は環境対応を進めている。バイク最大手のホンダ・ベトナム(HVN)は来春、ベトナム国内で電動バイクの本格販売を開始する。
自動車の電動化ではビンファストがEV販売で先行しており、中国EVメーカーの比亜迪(BYD)が今年に入りベトナムに進出するなどEV市場が活性化している。
日系メーカーは充電設備が不要なHVの販売拡大に注力しているが、HVはEVと異なり特別消費税(SCT)と登録料の軽減対象に含まれていない。ホンダなどはベトナム自動車工業会(VAMA)を通じてHVもエコカー優遇の対象に入れるよう働きかけている。"
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