タイでコンビニエンスストア「ローソン108」を展開するサハ・ローソンは、年内にタイで200店舗目を開業する計画だ。2012年に設立されたサハ・ローソンは昨年、黒字転換を達成。「日本」をキーワードにした商品開発やサービスを武器に、今後は首都バンコクの周辺に加え、東部など地方でも出店強化を検討していく。
9月にオープンしたローソン108「ユナイテッド・センター店」=11月4日、タイ・バンコク(NNA撮影)
サハ・ローソンは、日本のコンビニエンスストア大手ローソンとタイの消費財大手サハグループの合弁会社。出資比率はローソンが49%、サハが50%。13年に3店舗を同時にオープンした。9月末時点で、タイのバンコクを中心に198店舗を展開している。オフィスやコンドミニアム(分譲マンション)のほか、高架鉄道(BTS)や都市高速鉄道(MRT)の駅構内にキオスク型の店舗を約30店構える。全体の3割がフランチャイズ(FC)展開となる。
タイ商務省商業開発局(DBD)によると、サハ・ローソンの23年の純利益は880万バーツ(約3,960万円)。前年の600万バーツの損失から黒字に転じた。売上高は前年比約1割増の28億バーツだった。
サハ・ローソンの品川公彦マネジング・ディレクターは、「バンコク都市部を中心にターゲットを絞り、『日本』をキーワードに商品開発や品ぞろえ、接客、クリーンな店舗運営を心がけてきたことで、少しずつ認知度を上げてくることができた」とコメントした。タイ進出から着実に事業を展開し、11年目で200店舗体制を達成する予定。
■コンビニ店舗数は2万店
ドイツ系調査会社スタティスタによると、23年のタイのコンビニ店舗数は約2万店だった。このうち、大手財閥チャロン・ポカパン(CP)グループ傘下のCPオールが展開するコンビニエンスストア「セブン—イレブン」は1万4,545店舗とシェア72.4%で一強状態。2位以下は、CPグループ傘下の小型スーパーマーケット「ロータス・ゴー・フレッシュ」で2,050店舗、大手財閥TCCグループ傘下のコンビニエンスストア「ミニビッグC」が1,548店舗で続いている。
サハ・ローソンでは日本らしさを強みに、進出初期からおでんや一手間かけた揚げ物などを提供するとともに、オフィス街の店舗では需要が見込めるカフェの併設や食品の品ぞろえを充実させるなど、出店地選びや事業展開を戦略的に進めてきた。
タイでは景気や内需が停滞しているといわれているものの、品川氏は、「現在のタイ経済の中で、当社は生活に寄り添った食品や消費財を取り扱っているため、大きな影響は受けていない」と話す。コロナ禍においても、特にコンドミニアムに入居した店舗では、巣ごもり需要の追い風で打撃を受けなかったという。
■地方のガソリンスタンドに直営店
サハ・ローソンは9月、タイ政府製油大手バンチャークが運営する東部ラヨーン県の給油所に直営店を設置した。品川氏は、「給油所には人気のタイスキ店『ティーノイ』が併設されており、集客力が高く収益が見込めると判断し出店に至った」と話す。
首都圏内のガソリンスタンドでは、バンチャークのほかカルテックスなどでも直営店を展開しているが、地方での出店は初。FC店も含めて地方での展開はラヨーン県までとなっている。品川氏は「バンコク都市部を中心に出店していくが、今後はシラチャーエリアなど、ローソン108を支持してくれる消費者が比較的多いエリアで、出店していく計画だ」と意気込みを語った。
■Lチキの売り上げは予想の7倍
サハ・ローソンは同じく9月、店内調理品や、日系食品の品ぞろえを強化した新コンセプトの店舗をバンコク中心部の商業施設「ユナイテッド・センター・シーロム」にオープンした。店舗面積は195平方メートル。店内調理品では日本のローソンと同じレシピで作ったフライドチキン「Lチキ」や本格的なおにぎりをタイで初めて発売した。
ユナイテッド・センター店では店内調理品の品ぞろえを拡充したと語る品川氏=4日、タイ・バンコク(NNA撮影)
品川氏は、「Lチキは非常に好評で、販売目標の7倍の売れ行き。来店者数も通常店舗の3倍となった。おにぎりも日本で辛子めんたいこの製造販売を手がけるやまやコミュニケーションズのめんたいこを使った商品の反響が大きい」と喜びの声を上げた。
オフィス街に位置する同店では、冷凍食品、アイス、菓子、即席麺などの日系食品のアイテム数は、通常の店舗に比べ4倍に拡大。弁当やサンドイッチなどの平置き型の店内調理品コーナーも確保した。
また、デジタル化の一環では顧客の要望に応え、セルフレジを2台導入したほか、デジタルサイネージ(電子看板)を採用した。さらに、レジカウンターではエリア内の従業員や観光客の需要を見込み、抹茶味や北海道牛乳を使用したジェラートコーナーを設置した。いずれもタイのローソンでは初となる。今後は、ユナイテッド・センター店で新しく発売した商品のニーズを検証し、将来的には同コンセプトを既存店舗にも導入していく考えだ。
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タイ商務省商業開発局(DBD)によると、サハ・ローソンの23年の純利益は880万バーツ(約3,960万円)。前年の600万バーツの損失から黒字に転じた。売上高は前年比約1割増の28億バーツだった。
サハ・ローソンの品川公彦マネジング・ディレクターは、「バンコク都市部を中心にターゲットを絞り、『日本』をキーワードに商品開発や品ぞろえ、接客、クリーンな店舗運営を心がけてきたことで、少しずつ認知度を上げてくることができた」とコメントした。タイ進出から着実に事業を展開し、11年目で200店舗体制を達成する予定。
■コンビニ店舗数は2万店
ドイツ系調査会社スタティスタによると、23年のタイのコンビニ店舗数は約2万店だった。このうち、大手財閥チャロン・ポカパン(CP)グループ傘下のCPオールが展開するコンビニエンスストア「セブン—イレブン」は1万4,545店舗とシェア72.4%で一強状態。2位以下は、CPグループ傘下の小型スーパーマーケット「ロータス・ゴー・フレッシュ」で2,050店舗、大手財閥TCCグループ傘下のコンビニエンスストア「ミニビッグC」が1,548店舗で続いている。
サハ・ローソンでは日本らしさを強みに、進出初期からおでんや一手間かけた揚げ物などを提供するとともに、オフィス街の店舗では需要が見込めるカフェの併設や食品の品ぞろえを充実させるなど、出店地選びや事業展開を戦略的に進めてきた。
タイでは景気や内需が停滞しているといわれているものの、品川氏は、「現在のタイ経済の中で、当社は生活に寄り添った食品や消費財を取り扱っているため、大きな影響は受けていない」と話す。コロナ禍においても、特にコンドミニアムに入居した店舗では、巣ごもり需要の追い風で打撃を受けなかったという。
■地方のガソリンスタンドに直営店
サハ・ローソンは9月、タイ政府製油大手バンチャークが運営する東部ラヨーン県の給油所に直営店を設置した。品川氏は、「給油所には人気のタイスキ店『ティーノイ』が併設されており、集客力が高く収益が見込めると判断し出店に至った」と話す。
首都圏内のガソリンスタンドでは、バンチャークのほかカルテックスなどでも直営店を展開しているが、地方での出店は初。FC店も含めて地方での展開はラヨーン県までとなっている。品川氏は「バンコク都市部を中心に出店していくが、今後はシラチャーエリアなど、ローソン108を支持してくれる消費者が比較的多いエリアで、出店していく計画だ」と意気込みを語った。
■Lチキの売り上げは予想の7倍
サハ・ローソンは同じく9月、店内調理品や、日系食品の品ぞろえを強化した新コンセプトの店舗をバンコク中心部の商業施設「ユナイテッド・センター・シーロム」にオープンした。店舗面積は195平方メートル。店内調理品では日本のローソンと同じレシピで作ったフライドチキン「Lチキ」や本格的なおにぎりをタイで初めて発売した。
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品川氏は、「Lチキは非常に好評で、販売目標の7倍の売れ行き。来店者数も通常店舗の3倍となった。おにぎりも日本で辛子めんたいこの製造販売を手がけるやまやコミュニケーションズのめんたいこを使った商品の反響が大きい」と喜びの声を上げた。
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