シンガポールの食品・飲料メーカー、フード・エンパイア・ホールディングスが中央アジア事業に力を入れている。約30年前に進出し、インスタントコーヒーの旗艦ブランド「マックコーヒー」のシェアは7割超に上る。現地でインスタントコーヒーの需要をいち早くつかむとともに、都心部を中心に小売店で販売攻勢をかけたことがシェア拡大に寄与した。電子商取引(EC)など販売チャンネルの整備が進んでいることも追い風となっている。【清水美雪】
フード・エンパイア・ホールディングスが中央アジアで販売している旗艦ブランドのコーヒーミックス「マックコーヒー」(同社提供)
フード・エンパイアは1982年、フューチャー・エンタープライジズの社名で創業。当初は東欧や旧ソ連圏向けにパソコンや関連機器を販売していたが、90年代初めに食品事業に軸足を移し、中央アジアで最も大きい国であるカザフスタンでコーヒーミックス(ミルクや砂糖などを混ぜて個包装したインスタントコーヒー)の販売を開始した。
現在は主力商品のコーヒーミックスを中心に中央アジアやロシア、ウクライナ、東南アジア、中国、中東など60カ国・地域で販売。マレーシア、インド、ベトナム、ロシアなど8カ所に生産工場を持つ。2020年にはシンガポール取引所(SGX)のメインボード(1部)に上場した。
中央アジアでは、1990年代半ばに旗艦ブランドのコーヒーミックス「マックコーヒー」を投入した。コーヒーとミルク、砂糖を混ぜたミックスパウダーを溶かして飲む「スリーインワン」タイプの商品で、現在はカザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタンで販売。中央アジアのインスタントコーヒー市場でのシェアは7割超で、展開する全ての国でシェアがトップとなった。中央アジア事業はグループ全体の売り上げの15%を占めている。
ロシアや中央アジアを含む旧ソ連諸国で構成する地域協力機構「独立国家共同体(CIS)」、ウクライナでもインスタントコーヒー市場のマーケットリーダーとなっている。シンガポール企業庁によると、マックコーヒーはロシア人の55%、ウクライナ人の50%が飲んだことがあるという。
中央アジアでは、コーヒー以外にスリーインワン・タイプの紅茶や焙煎したコーヒー豆、ホットチョコレート、スナック類などをも展開している。
■売り上げは過去5年で増加基調
フード・エンパイアの事業地域別の売り上げでは、中央アジアを含む「ウクライナ・カザフスタン・CIS部門(ロシアを除く)」が過去5年で増加基調にあり、特にカザフスタンとウズベキスタンが成長をけん引。23年度決算で同部門の売り上げが1億米ドル(約150億円)を超え、24年度決算では前期比13%増の1億2,470万米ドルに伸びた。
売り上げ全体に占める地域別の比率は、ロシアが30%、東南アジアが27%、ウクライナ・カザフスタン・CISが26%、南アジアが13%。東南アジア以外でロシアや中央アジアが重要市場となっている。
比較的早い時期から中央アジア地域に参入したことに加え、マックコーヒーの豊かな香りや味の良さが市場に受け入れられたことや、同地域で拡大傾向にあったインスタントコーヒーのニーズを取り込んだことがシェア拡大の背景にある。
フード・エンパイアの広報担当者はNNAに対し、「特に学生や就労者など忙しい人の需要を捉えた。経済成長に伴う中間層の増加、利便性が高いインスタントコーヒーの認知度向上、手ごろな価格帯が若者を中心に訴求力を強めたことが成功につながった」と述べた。
コーヒーが広く普及している都市部を中心に販売攻勢をかけ、現地の小売店やパートナー企業とのネットワーク強化を進めたことも成功に寄与した。都市部を中心にスーパーマーケットやコンビニエンスストア、ECといった小売業のインフラや販売チャンネルの整備が急速に進み、より多くの顧客層を取り込める環境が整ってきたことも追い風になっているという。
※「下」に続く。
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ロシアや中央アジアを含む旧ソ連諸国で構成する地域協力機構「独立国家共同体(CIS)」、ウクライナでもインスタントコーヒー市場のマーケットリーダーとなっている。シンガポール企業庁によると、マックコーヒーはロシア人の55%、ウクライナ人の50%が飲んだことがあるという。
中央アジアでは、コーヒー以外にスリーインワン・タイプの紅茶や焙煎したコーヒー豆、ホットチョコレート、スナック類などをも展開している。
■売り上げは過去5年で増加基調
フード・エンパイアの事業地域別の売り上げでは、中央アジアを含む「ウクライナ・カザフスタン・CIS部門(ロシアを除く)」が過去5年で増加基調にあり、特にカザフスタンとウズベキスタンが成長をけん引。23年度決算で同部門の売り上げが1億米ドル(約150億円)を超え、24年度決算では前期比13%増の1億2,470万米ドルに伸びた。
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