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【中国情報】ポストコロナの雇用管理

2020 年の新型コロナウイルスの突然の爆発、急速な蔓延、防疫措置の深化と常態化によって、多くの企業はこれまでにない経営危機に直面した。現在、国内の感染状況はすでにコントロールされ、局地的な発生の繰り返しを除き社会生活や生産活動は基本的に正常で安定している。しかしコロナの長期化による影響は根深く持続的である。労働関係の分野で最も顕著に反映しているのは雇用モデルの変化と発展で、例えば防疫措置の観点から柔軟な就業、従業員シェアなどの新型の就業モデルが生まれている。また、疫病の影響で経済低迷圧力が急増し、一部の企業では経営難でリストラや賃金引き下げ、破産閉鎖などの一連の問題が発生し、大量の労働紛争を引き起こし、労使関係の悪化につながっている。さらに「民法典」の実施と「個人情報保護法」の公布も企業の労働管理に影響を与えることは避けられない。これらの新しい状況と新しい問題は、労働者の雇用と管理に深刻な変革をもたらすと同時に、企業の人的資源管理に対してより高い要求と大きな挑戦を提示した。

一、 ポストコロナにおける雇用モデルの変化

突然の疫病は多くの労働密集型製造業とオフラインの実店舗の大規模な休業を余儀なくされ、特に飲食、娯楽などのサービス業はさらに厳しい冬に陥った。これに対し、マスクや消毒剤などの防疫物資生産企業や電子商取引、物流、外食プラットフォームなど、インターネット経由の新業態サービスの供給は追いつかず、労働者不足となっている。このような人的資源の供給不均衡は市場の自己調節を引き起こし、伝統的な労働関係に加えて労務派遣、業務アウトソーシングなどのほか、雇用シェア、柔軟な就業などの新型雇用モデルも生まれて急速に発展し、ポストコロナにおける雇用変革を加速させている。

防疫措置の常態化及びデジタル化、インテリジェント化の高度化などの変革傾向に適応し現在の経済形式及び全体市場環境の下で生存と発展を実現するために、企業の雇用形式は日増しに多様化・複雑化し、このような新しい変化と新しい構造に合致している。現在の雇用モデルの種類は百花斉放と言え、リモートワーク、シフト業務・勤務、在宅勤務、柔軟な就業、従業員シェア、プラットフォーム雇用など、標準労働関係に基づいて発展した特殊な対応もあれば、市場需要の多様性と不確実性に適応するために異化した非標準労働関係もある。また、現実に立脚して労働法体系の束縛を突破する非労働関係も現れ、全体の労働モデルは複雑な多変性、多元化、多次元の態勢を呈しており、以下の4 つに大まかにまとめることができる。

1、 B 2 C(一対一モデル):
標準雇用関係、すなわち労働契約法に基づいて直接雇用し、双方が労働関係を確立する全日制労働者。属性、安定性が強調され、このモデルは完全に労働法により調整され、法律の適用は比較的単一である。

2、 B 2 B 2 C/B 2 C(一対複数モデル):
非標準雇用、すなわち間接雇用モデル及び非全日制雇用、例えば労務派遣、非全日制時間労働、雇用シェアなど。単一雇用の制限を突破し、柔軟性が高く、主に労働法の調整を受けるが、民法、行政法などの他の法律規範にも関連する。

3、 S 2 B 2 C(プラットフォーム経済):
「プラットフォーム+個人」モデルは、雇用プラットフォームを通じて平等な業務請負協力関係を確立し、例えば業務アウトソーシング、雇用シェア、兼業配送、臨時カスタマーサービス、ネットのインフルエンサーなどである。このモデルはすでに労働法の範疇を完全に超え、労働モデルを商業モデルに進化させ、民法調整分野に属する。

4、 B 2 C/C 2 C/B 2 B(自雇):
フリーターまたは自営業者が個人の専門技能により企業に労務またはビジネスサービスを提供するモデルで、双方の主体は平等であり、商業協力関係を確立し、完全に民法の調整を受けていることを指す。

以上の4 つのパターンのうち、第1 の従来型の標準的な雇用関係を除いて、他の雇用パターンを柔軟な雇用または社会的な雇用と呼ぶことができる。簡単に言えば、新しい情勢の下で企業と労働者の関係は直接雇用から間接雇用に発展し、固定雇用から柔軟雇用への転換(組織と人材のモデル変革による「社内創業」、「労働報酬」から「経営所得」「配当」への転換などを含む)が見られる。労働者の雇用者や組織への依存度の強い伝統的な労働関係に比べ、新型雇用モデルは主に「民法典」などの法律法規を適用し、双方の主体はより平等・独立的で、企業の自由度やリスク抵抗能力を高め、労務コストを軽減することができる。また、人的資源の相互補完を通じて社内の人材効果を高め、環境の変化に迅速に適応し、コスト削減と効率向上の目標を実現することができる。

二、 新型雇用モデルの課題

コロナは新型雇用モデルの発展を推進したが、柔軟な雇用モデルが徐々に普及し企業の未来の雇用傾向と方向性を示しているが、同時に、普及の初期段階にあり、実務上以下のような多くの課題がある。

1) 関連法律法規、関連制度等は改善され雇用政策体系が健全化される必要がある。政策面から見ると、国からは柔軟な就業、非全日制就業を支持し、新しい就業形態を発展させる旨の意見書・通知が発布されているが、実務レベルの法律が規範化されなければならない。例えば、柔軟な就業者の概念の定義が不明確、社会保障の不備、労災賠償責任の認定に明確な根拠が欠けているなどである。

2) 業務分配方式、報酬制度、管理規範などの雇用モデルはより柔軟性があり、伝統的な人事管理は新しい課題に対応しにくい。例えば、労働力の質、仕事の積極性、仕事の秘密保持度などの面で制御できない要素がある。また、新型の雇用モデルでは、従業員の帰属感に欠け、相応のインセンティブ制度がなければ安定性が弱く流失率が高い可能性がある。

3) 企業の労働規範性は向上しなければならない。柔軟な労働者の合法的権益保障をさらに強化しなければならない。柔軟な労働者と企業には雇用関係が存在せず、伝統的な労働関係の性質とは全く異なり、同一労働者は複数の企業やプラットフォームと関係を確立する可能性があり、その従属関係は定義しにくく、主体間の法律関係は複雑で多様であり、労働者の責任性の質が明確に定義できないため、柔軟な労働者の合法的権益が保障されない。

三、 ポストコロナの企業の労働管理の提案

ポストコロナにおいて企業は労働モデルの変革による変化を避けることができない以上、自ら積極的な措置を取って、新しい情勢の下で労働管理に対する規範化の要求に適応しなければならない。

1、 規則制度を健全化・整備し、労働管理の基礎を最適化する。

疫病の間、多くの企業は労働管理面に問題と弊害があることが発覚し、規則制度が不十分なために社内の労働調整や人事決定に問題が発生し、労働紛争を引き起こしたケースが多い。規則制度は企業の「内部憲法」であり、企業が経営権と雇用管理の自主権を体現するものである。内容・手続きが合法的な規則制度は良性の労働管理目的を実現することができ、紛争の防止と解消の有利な武器にもなる。従い企業は雇用モデルに合致する内部規則制度を制定し、完備しなければならない。制定主体、規則同容、改訂プログラム及び公示プログラムの合法性だけでなく、企業が置かれている業界の特徴、自身の状況などと結びつけて合理性と操作中の寛大さを考慮しなければならない。合法的で有効な規則制度を通じて、企業内部の「法律があり、規則があり、従うことができる」ことを実現し、調和のとれた制度環境を作り出し、制度面から雇用リスクを回避し、労使関係の調和と安定を促進する。

2、 労働者の雇用を規範化し、人事コンプライアンス管理システムを構築する。

労働者の雇用を規範化することは企業の人的資源管理の最も基本的な要求であり、企業は法律意識、リスク意識、責任意識を強化し、異なる雇用形式に対して分類化、精細化管理を行い、雇用管理の規範化レベルを高め、制度の合法化、プログラムのコンプライアンスを確実に行い、労働紛争の発生を避けなければならない。同時に、企業は労働人事コンプライアンスシステムをさらに確立し、違反リスクを防ぎ、雇用行為を規範化し、さらに企業の安定した経営運営を効果的に促進しなければならない。

3、 雇用契約の管理を強化し、雇用リスクを効果的に低減する。

司法の実践の中で、企業が契約を正しく締結していないために不利な結果を負うケースはしばしば見られる。例えば、ある家政サービス類アプリの従業員と雇用単位の間で「仲介サービス協定」を締結したが、最終裁判所はこの協定が実質的に双方の労働関係と権利義務を明確にし、書面労働契約の性質を持っており、実際の履行過程も双方の間に強い従属関係があることを体現していると判断し、双方が労働関係を成立したと認定した。企業は労働契約法の下で関連義務を負わなければならない。あるいはアウトソーシング協定の締結が不適切で「偽装請負」とされ、雇用単位が連帯責任を負わなければならなくなった事例もある。標準雇用モデルでも他の新型雇用モデルでも、企業は契約管理を重視しなければならない。労働関係の確立を通じて労働者を使用する場合、直ちに書面労働契約を締結し、労務派遣または非全日制労働を適用する場合、法に基づいて労務派遣契約または非全日制労働契約を締結し、従業員の賃金報酬、労働安全、休憩休暇、社会保険などの労働基準保護に関する措置を厳格かつ全面的に実行しなければならない。非労働関係の労働者に対しても、書面による協議を締結し、各方面の主体の権利と義務を明確にしなければならない。同時に、各種協議の規範性に注意し、協議内容が不適切であるか、表現が不明確であるため、各種の雇用モデル認定の混同を回避しなければならない。

4、 雇用モデルを変更し、雇用コストを削減する。

企業は実際の状況に基づいて、雇用モデルを設計することができ、伝統的な標準労働関係の基礎の上で、合理的に複数の雇用方式を導入することができ、例えば労務派遣、業務アウトソーシング、非全日制雇用、シェア従業員、プラットフォーム雇用など、企業の自由度と革新力を増加させ、リスク抵抗能力を高め、組織体系を最適化してコストを下げることができ、企業の持続可能な発展を促進する。しかし一方で、会社は雇用モデルの調整が一蹴できないことに注意し、階層的に分類し、徐々に推進しなければならない。
また、広東省は2021 年4 月から企業が柔軟な労働者のために労災保険を購入することを許可し、柔軟な労働者モデルの下で職業傷害保障メカニズムの空白を埋めた。

5、 協議メカニズムを確立し、労働紛争のリスクを低減する。

従業員グループの利益に関する調整、変更などに関し、企業は法律の規定に合致した上で、従業員代表、労働組合などの企業民主管理プラットフォームを十分に利用して協議と疎通を行うことができる。
例えば、関連規定に基づき、法に基づいて従業員に告知プログラムを履行しなければならない場合は、内部システムのプッシュメール、微信グループ、速達郵送などの複数ルートを通じて書面で告知しなければならない。法に基づいて従業員と協議しなければならない場合、労働組合、従業員大会、部門宣伝などの方式を通じて協議手順を履行し、従業員が署名して確認した書面文書を取得し、後続の労働紛争リスクを避けることができる。

6、 その他の措置

企業は日常の仕事の中で従業員と管理層のコミュニケーションを強化し、従業員の合理化提案を奨励し、従業員に自分が尊重され、価値を認められていると感じさせなければならない。同時に、新規定・新政策が企業の雇用管理に与える影響に注目し、法規政策に基づいて企業の雇用管理制度、体系などに対して絶えず整備し、法規レベルと就業環境、雇用体制などの面での変化と需要に適応しなければならない。また、企業は定期的に従業員に対して企業文化と法律法規面の育成教育を行い、企業の理性的な管理イメージの向上を促進することを提案する。

本稿は隆安弁護士事務所より提供されたレポートとなります。お問合せがありましたらお気軽に以下までご連絡ください。

北京市隆安(深セン)弁護士事務所
住所:深セン市福田区益田路6009 号新世界中心49 階
連絡先:方 君婷 弁護士
メール:jatty851@163.com
fangjunting@longanlaw.com
電話:0755‐23982691、189‐2937‐6018
HP:http://jap.longanlaw.com/


お問合せはこちら:
NAC Meinan (China) Holdings Ltd.
TEL: (+86) 755-8629-0501
URL: http://cn.nacglobal.net/
E-mail: hamada@nac-meinan.net

(2022 年1 月作成)

※各地の運用状況が異なる場合があります。実際の状況につきましては各所在地にて再度ご確認ください。
※本レポートにつきましては、有料顧問顧客様のみに送付させていただいており、本メール受取人様限りとさせて頂きます。
※このレポートはNAC 名南のお客様への情報提供サービスの一環であり、この情報のみで、人事・労務の判断、意思決定を行う事は避けてください。弊社はこの情報内容に基づく意思決定に対して一切の責任を負いません。
※レポートで触れている事実、解釈は全てレポート執筆時点のものになり、将来時点の事実、解釈を保証するものではありません。
※レポートにある主観的意見はあくまでも筆者個人の意見又は主観であり、所属する団体を代表するものではありません。
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※本レポートに掲載の内容の無断複製・転載を禁じます。

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一、 ポストコロナにおける雇用モデルの変化
突然の疫病は多くの労働密集型製造業とオフラインの実店舗の大規模な休業を余儀なくされ、特に飲食、娯楽などのサービス業はさらに厳しい冬に陥った。これに対し、マスクや消毒剤などの防疫物資生産企業や電子商取引、物流、外食プラットフォームなど、インターネット経由の新業態サービスの供給は追いつかず、労働者不足となっている。このような人的資源の供給不均衡は市場の自己調節を引き起こし、伝統的な労働関係に加えて労務派遣、業務アウトソーシングなどのほか、雇用シェア、柔軟な就業などの新型雇用モデルも生まれて急速に発展し、ポストコロナにおける雇用変革を加速させている。 防疫措置の常態化及びデジタル化、インテリジェント化の高度化などの変革傾向に適応し現在の経済形式及び全体市場環境の下で生存と発展を実現するために、企業の雇用形式は日増しに多様化・複雑化し、このような新しい変化と新しい構造に合致している。現在の雇用モデルの種類は百花斉放と言え、リモートワーク、シフト業務・勤務、在宅勤務、柔軟な就業、従業員シェア、プラットフォーム雇用など、標準労働関係に基づいて発展した特殊な対応もあれば、市場需要の多様性と不確実性に適応するために異化した非標準労働関係もある。また、現実に立脚して労働法体系の束縛を突破する非労働関係も現れ、全体の労働モデルは複雑な多変性、多元化、多次元の態勢を呈しており、以下の4 つに大まかにまとめることができる。 1、 B 2 C(一対一モデル): 標準雇用関係、すなわち労働契約法に基づいて直接雇用し、双方が労働関係を確立する全日制労働者。属性、安定性が強調され、このモデルは完全に労働法により調整され、法律の適用は比較的単一である。 2、 B 2 B 2 C/B 2 C(一対複数モデル): 非標準雇用、すなわち間接雇用モデル及び非全日制雇用、例えば労務派遣、非全日制時間労働、雇用シェアなど。単一雇用の制限を突破し、柔軟性が高く、主に労働法の調整を受けるが、民法、行政法などの他の法律規範にも関連する。 3、 S 2 B 2 C(プラットフォーム経済): 「プラットフォーム+個人」モデルは、雇用プラットフォームを通じて平等な業務請負協力関係を確立し、例えば業務アウトソーシング、雇用シェア、兼業配送、臨時カスタマーサービス、ネットのインフルエンサーなどである。このモデルはすでに労働法の範疇を完全に超え、労働モデルを商業モデルに進化させ、民法調整分野に属する。 4、 B 2 C/C 2 C/B 2 B(自雇): フリーターまたは自営業者が個人の専門技能により企業に労務またはビジネスサービスを提供するモデルで、双方の主体は平等であり、商業協力関係を確立し、完全に民法の調整を受けていることを指す。 以上の4 つのパターンのうち、第1 の従来型の標準的な雇用関係を除いて、他の雇用パターンを柔軟な雇用または社会的な雇用と呼ぶことができる。簡単に言えば、新しい情勢の下で企業と労働者の関係は直接雇用から間接雇用に発展し、固定雇用から柔軟雇用への転換(組織と人材のモデル変革による「社内創業」、「労働報酬」から「経営所得」「配当」への転換などを含む)が見られる。労働者の雇用者や組織への依存度の強い伝統的な労働関係に比べ、新型雇用モデルは主に「民法典」などの法律法規を適用し、双方の主体はより平等・独立的で、企業の自由度やリスク抵抗能力を高め、労務コストを軽減することができる。また、人的資源の相互補完を通じて社内の人材効果を高め、環境の変化に迅速に適応し、コスト削減と効率向上の目標を実現することができる。
二、 新型雇用モデルの課題
コロナは新型雇用モデルの発展を推進したが、柔軟な雇用モデルが徐々に普及し企業の未来の雇用傾向と方向性を示しているが、同時に、普及の初期段階にあり、実務上以下のような多くの課題がある。 1) 関連法律法規、関連制度等は改善され雇用政策体系が健全化される必要がある。政策面から見ると、国からは柔軟な就業、非全日制就業を支持し、新しい就業形態を発展させる旨の意見書・通知が発布されているが、実務レベルの法律が規範化されなければならない。例えば、柔軟な就業者の概念の定義が不明確、社会保障の不備、労災賠償責任の認定に明確な根拠が欠けているなどである。 2) 業務分配方式、報酬制度、管理規範などの雇用モデルはより柔軟性があり、伝統的な人事管理は新しい課題に対応しにくい。例えば、労働力の質、仕事の積極性、仕事の秘密保持度などの面で制御できない要素がある。また、新型の雇用モデルでは、従業員の帰属感に欠け、相応のインセンティブ制度がなければ安定性が弱く流失率が高い可能性がある。 3) 企業の労働規範性は向上しなければならない。柔軟な労働者の合法的権益保障をさらに強化しなければならない。柔軟な労働者と企業には雇用関係が存在せず、伝統的な労働関係の性質とは全く異なり、同一労働者は複数の企業やプラットフォームと関係を確立する可能性があり、その従属関係は定義しにくく、主体間の法律関係は複雑で多様であり、労働者の責任性の質が明確に定義できないため、柔軟な労働者の合法的権益が保障されない。
三、 ポストコロナの企業の労働管理の提案
ポストコロナにおいて企業は労働モデルの変革による変化を避けることができない以上、自ら積極的な措置を取って、新しい情勢の下で労働管理に対する規範化の要求に適応しなければならない。 1、 規則制度を健全化・整備し、労働管理の基礎を最適化する。 疫病の間、多くの企業は労働管理面に問題と弊害があることが発覚し、規則制度が不十分なために社内の労働調整や人事決定に問題が発生し、労働紛争を引き起こしたケースが多い。規則制度は企業の「内部憲法」であり、企業が経営権と雇用管理の自主権を体現するものである。内容・手続きが合法的な規則制度は良性の労働管理目的を実現することができ、紛争の防止と解消の有利な武器にもなる。従い企業は雇用モデルに合致する内部規則制度を制定し、完備しなければならない。制定主体、規則同容、改訂プログラム及び公示プログラムの合法性だけでなく、企業が置かれている業界の特徴、自身の状況などと結びつけて合理性と操作中の寛大さを考慮しなければならない。合法的で有効な規則制度を通じて、企業内部の「法律があり、規則があり、従うことができる」ことを実現し、調和のとれた制度環境を作り出し、制度面から雇用リスクを回避し、労使関係の調和と安定を促進する。 2、 労働者の雇用を規範化し、人事コンプライアンス管理システムを構築する。 労働者の雇用を規範化することは企業の人的資源管理の最も基本的な要求であり、企業は法律意識、リスク意識、責任意識を強化し、異なる雇用形式に対して分類化、精細化管理を行い、雇用管理の規範化レベルを高め、制度の合法化、プログラムのコンプライアンスを確実に行い、労働紛争の発生を避けなければならない。同時に、企業は労働人事コンプライアンスシステムをさらに確立し、違反リスクを防ぎ、雇用行為を規範化し、さらに企業の安定した経営運営を効果的に促進しなければならない。 3、 雇用契約の管理を強化し、雇用リスクを効果的に低減する。 司法の実践の中で、企業が契約を正しく締結していないために不利な結果を負うケースはしばしば見られる。例えば、ある家政サービス類アプリの従業員と雇用単位の間で「仲介サービス協定」を締結したが、最終裁判所はこの協定が実質的に双方の労働関係と権利義務を明確にし、書面労働契約の性質を持っており、実際の履行過程も双方の間に強い従属関係があることを体現していると判断し、双方が労働関係を成立したと認定した。企業は労働契約法の下で関連義務を負わなければならない。あるいはアウトソーシング協定の締結が不適切で「偽装請負」とされ、雇用単位が連帯責任を負わなければならなくなった事例もある。標準雇用モデルでも他の新型雇用モデルでも、企業は契約管理を重視しなければならない。労働関係の確立を通じて労働者を使用する場合、直ちに書面労働契約を締結し、労務派遣または非全日制労働を適用する場合、法に基づいて労務派遣契約または非全日制労働契約を締結し、従業員の賃金報酬、労働安全、休憩休暇、社会保険などの労働基準保護に関する措置を厳格かつ全面的に実行しなければならない。非労働関係の労働者に対しても、書面による協議を締結し、各方面の主体の権利と義務を明確にしなければならない。同時に、各種協議の規範性に注意し、協議内容が不適切であるか、表現が不明確であるため、各種の雇用モデル認定の混同を回避しなければならない。 4、 雇用モデルを変更し、雇用コストを削減する。 企業は実際の状況に基づいて、雇用モデルを設計することができ、伝統的な標準労働関係の基礎の上で、合理的に複数の雇用方式を導入することができ、例えば労務派遣、業務アウトソーシング、非全日制雇用、シェア従業員、プラットフォーム雇用など、企業の自由度と革新力を増加させ、リスク抵抗能力を高め、組織体系を最適化してコストを下げることができ、企業の持続可能な発展を促進する。しかし一方で、会社は雇用モデルの調整が一蹴できないことに注意し、階層的に分類し、徐々に推進しなければならない。 また、広東省は2021 年4 月から企業が柔軟な労働者のために労災保険を購入することを許可し、柔軟な労働者モデルの下で職業傷害保障メカニズムの空白を埋めた。 5、 協議メカニズムを確立し、労働紛争のリスクを低減する。 従業員グループの利益に関する調整、変更などに関し、企業は法律の規定に合致した上で、従業員代表、労働組合などの企業民主管理プラットフォームを十分に利用して協議と疎通を行うことができる。 例えば、関連規定に基づき、法に基づいて従業員に告知プログラムを履行しなければならない場合は、内部システムのプッシュメール、微信グループ、速達郵送などの複数ルートを通じて書面で告知しなければならない。法に基づいて従業員と協議しなければならない場合、労働組合、従業員大会、部門宣伝などの方式を通じて協議手順を履行し、従業員が署名して確認した書面文書を取得し、後続の労働紛争リスクを避けることができる。 6、 その他の措置 企業は日常の仕事の中で従業員と管理層のコミュニケーションを強化し、従業員の合理化提案を奨励し、従業員に自分が尊重され、価値を認められていると感じさせなければならない。同時に、新規定・新政策が企業の雇用管理に与える影響に注目し、法規政策に基づいて企業の雇用管理制度、体系などに対して絶えず整備し、法規レベルと就業環境、雇用体制などの面での変化と需要に適応しなければならない。また、企業は定期的に従業員に対して企業文化と法律法規面の育成教育を行い、企業の理性的な管理イメージの向上を促進することを提案する。 本稿は隆安弁護士事務所より提供されたレポートとなります。お問合せがありましたらお気軽に以下までご連絡ください。 北京市隆安(深セン)弁護士事務所 住所:深セン市福田区益田路6009 号新世界中心49 階 連絡先:方 君婷 弁護士 メール:jatty851@163.com fangjunting@longanlaw.com 電話:0755‐23982691、189‐2937‐6018 HP:http://jap.longanlaw.com/ お問合せはこちら: NAC Meinan (China) Holdings Ltd. TEL: (+86) 755-8629-0501 URL: http://cn.nacglobal.net/ E-mail: hamada@nac-meinan.net (2022 年1 月作成) ※各地の運用状況が異なる場合があります。実際の状況につきましては各所在地にて再度ご確認ください。 ※本レポートにつきましては、有料顧問顧客様のみに送付させていただいており、本メール受取人様限りとさせて頂きます。 ※このレポートはNAC 名南のお客様への情報提供サービスの一環であり、この情報のみで、人事・労務の判断、意思決定を行う事は避けてください。弊社はこの情報内容に基づく意思決定に対して一切の責任を負いません。 ※レポートで触れている事実、解釈は全てレポート執筆時点のものになり、将来時点の事実、解釈を保証するものではありません。 ※レポートにある主観的意見はあくまでも筆者個人の意見又は主観であり、所属する団体を代表するものではありません。 ※本レポートについての知的財産権その他一切の権利は、NAC 名南グループに帰属します。 ※本レポートに掲載の内容の無断複製・転載を禁じます。" ["post_title"]=> string(51) "【中国情報】ポストコロナの雇用管理" ["post_excerpt"]=> string(0) "" ["post_status"]=> string(7) "publish" ["comment_status"]=> string(4) "open" ["ping_status"]=> string(4) "open" ["post_password"]=> string(0) "" ["post_name"]=> string(153) "%e3%80%90%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e6%83%85%e5%a0%b1%e3%80%91%e3%83%9d%e3%82%b9%e3%83%88%e3%82%b3%e3%83%ad%e3%83%8a%e3%81%ae%e9%9b%87%e7%94%a8%e7%ae%a1%e7%90%86" ["to_ping"]=> string(0) "" ["pinged"]=> string(0) "" ["post_modified"]=> string(19) "2022-10-24 18:01:52" ["post_modified_gmt"]=> string(19) "2022-10-24 09:01:52" ["post_content_filtered"]=> string(0) "" ["post_parent"]=> int(0) ["guid"]=> string(35) "https://jobwire.nna.jp/blog/?p=4553" ["menu_order"]=> int(0) ["post_type"]=> string(4) "post" ["post_mime_type"]=> string(0) "" ["comment_count"]=> string(1) "0" ["filter"]=> string(3) "raw" }
NAC国際会計グループ
ナック コクサイ カイケイ グループNAC国際会計グループ
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NAC国際会計グループは、「日系中堅中小企業のグローバル化支援」をミッションとして、1999年香港で創業、その後、中国各地、シンガポール、ベトナム(ホーチミン、ハノイ)、タイ、インドネシア、インド、オーストラリアと拠点を拡大し、現在では、アジアの主要都市を広くカバーする国際会計事務所・コンサルティングファームです。2022年3月31日現在、海外26拠点と、日本の会計・コンサルティングファームとしては、最大級のネットワークを誇ります。
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