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路上カフェ、都市部で勢い低コスト武器に大手を追撃

ベトナムの大都市で、路上カフェ風のチェーン店が急成長している。代表格のGUTAやAHAカフェは価格の手頃さと入りやすさで店舗網を拡大しており、南部ホーチミン市や首都ハノイでは最大手のカフェチェーン「ハイランズ・コーヒー」を脅かす勢いだ。初期投資を抑えられる店舗形態に加え、フランチャイズ(加盟店)方式を取っていることも快進撃に寄与している。

ホーチミン市で約100店舗を展開するGUTA。店の入りやすさが特徴(GUTA提供)

ベトナム市場調査を手がけるアジアプラスなどの最近の調査によれば、GUTAの店舗数は96店で、主要チェーンの中で全国5位、AHAは73店で8位となった。業界トップ、ハイランズの550店近く、同2位チュングエンの約480店に比べるとまだ差は大きいが、ホーチミン市に限ればGUTAが3位、ハノイではAHAは2位に付け、大都市部での躍進が鮮明だ。
路上カフェ風の形態では、パッショやKAFAも二大都市で店舗網を広げている。
路上カフェはベトナム語で「カフェ・コック(ヒキガエル・カフェ)」とも呼ばれる。語源は諸説あるが、屋台のカフェでは歩道に並べたプラスチック製の腰かけに客がしゃがんでコーヒーを飲んでいたからと言われる。
最近の路上カフェチェーンは車道や歩道に面し、外壁を取り外して開放的な造りとし、店頭にイスを並べるなどして客が気軽に休憩を取れるようにしているのが特徴だ。
■GUTAは100店に
ホーチミン市を地盤とするGUTAは2016年に1号店をオープン。20年に約60店舗に達した後、新型コロナウイルスの感染拡大中も宅配サービスなどで成長し、系列のミルクティー店も合わせると100店を超えた。
強みは値ごろ感と立地のよさだ。GUTAのアイスコーヒーは2万ドン(約0.84米ドル、121円)から。ハイランズの3分の2、スターバックスの半分以下だ。ホーチミン市で働く30代の女性はオフィスビルに隣接したGUTAに毎日のように通う。「安いし便利。間口が広くて入りやすいのもいい」と話す。
ハノイを本拠とするAHAは、08年に1号店をオープン。地元メディアによれば18年時点では20店舗余りにとどまっていたが、現在は70店を超えており、交差点などの好立地に出店している。創業者のグエン・マイン・ハー氏はコーヒー生産からビジネスを始めただけに、味へのこだわりは強い。コーヒー豆は標高1,500メートル以上の冷涼な高原の農園から厳選しているが、コーヒーの店頭価格は3万ドンからと、ハイランズと同等に抑えている。
■フランチャイズで勢力拡大
カフェチェーンにとっても、新型コロナウイルスが広がり各地で店内飲食が禁止された20~21年は冬の時代だった。
業界トップのハイランズは21年、190億ドンを超える赤字に陥った。ホーチミン市の店舗では、入居するビルの家賃を約5カ月分、2万2,000米ドル(約318万4,000円)を滞納した上に賃貸契約の終了後も店の経営を続けようとしたとして家主から訴えられるトラブルにも見舞われた。ハイランズはフィリピンの外食最大手ジョリビー・フーズ(JFC)の傘下にあるため、資金力でコロナ禍を乗り切ったが、個人経営のカフェは2年間で多くが閉店に追い込まれた。

GUTAなどが厳しい事業環境の中で成長できたのは、フランチャイズ形式での店舗開拓に成功したことにあるようだ。GUTAは30平方メートル程度の小規模店からチェーンへの参加が可能で、開店費用は3億ドンほどとされる。一方でハイランズの場合、フランチャイズ店舗の面積は150平方メートル以上とされ、25億ドン以上の初期投資が必要になるようだ。開店費用が大きい上に、コロナ禍の規制で店内飲食が禁止されると、稼働できないスペースの家賃負担が重くのしかかる。
AHAもフランチャイズ展開に力を入れている。開店費用は16億~22億ドンとされ、ハイランズより抑えられている。順調に集客できれば開業から2年かからず投資回収が可能だという。
オフィス街などの立地に出店できれば、常連客をつかみやすいことも路上スタイルカフェの強みだ。ホーチミン市で15店舗を展開する「カフェ・チャット」を経営するグエン・ヒュー・ニャット氏によれば、路上スタイルのカフェはインスタ映えする内装をこらした若者向けカフェと異なり、時間がない社会人にとっての憩いの場として機能している。
同氏は「常連が占める割合が多くなり、経営は安定する」と話す。足元では賃料やコーヒー豆の仕入れ値が上昇しており、「料金に転嫁するわけにも行かない」のが今の悩みだという。

ハノイを中心に店舗網を拡大するAHAカフェ=9月24日、ハノイ
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路上カフェ風の形態では、パッショやKAFAも二大都市で店舗網を広げている。
路上カフェはベトナム語で「カフェ・コック(ヒキガエル・カフェ)」とも呼ばれる。語源は諸説あるが、屋台のカフェでは歩道に並べたプラスチック製の腰かけに客がしゃがんでコーヒーを飲んでいたからと言われる。
最近の路上カフェチェーンは車道や歩道に面し、外壁を取り外して開放的な造りとし、店頭にイスを並べるなどして客が気軽に休憩を取れるようにしているのが特徴だ。
■GUTAは100店に
ホーチミン市を地盤とするGUTAは2016年に1号店をオープン。20年に約60店舗に達した後、新型コロナウイルスの感染拡大中も宅配サービスなどで成長し、系列のミルクティー店も合わせると100店を超えた。
強みは値ごろ感と立地のよさだ。GUTAのアイスコーヒーは2万ドン(約0.84米ドル、121円)から。ハイランズの3分の2、スターバックスの半分以下だ。ホーチミン市で働く30代の女性はオフィスビルに隣接したGUTAに毎日のように通う。「安いし便利。間口が広くて入りやすいのもいい」と話す。
ハノイを本拠とするAHAは、08年に1号店をオープン。地元メディアによれば18年時点では20店舗余りにとどまっていたが、現在は70店を超えており、交差点などの好立地に出店している。創業者のグエン・マイン・ハー氏はコーヒー生産からビジネスを始めただけに、味へのこだわりは強い。コーヒー豆は標高1,500メートル以上の冷涼な高原の農園から厳選しているが、コーヒーの店頭価格は3万ドンからと、ハイランズと同等に抑えている。
■フランチャイズで勢力拡大
カフェチェーンにとっても、新型コロナウイルスが広がり各地で店内飲食が禁止された20~21年は冬の時代だった。
業界トップのハイランズは21年、190億ドンを超える赤字に陥った。ホーチミン市の店舗では、入居するビルの家賃を約5カ月分、2万2,000米ドル(約318万4,000円)を滞納した上に賃貸契約の終了後も店の経営を続けようとしたとして家主から訴えられるトラブルにも見舞われた。ハイランズはフィリピンの外食最大手ジョリビー・フーズ(JFC)の傘下にあるため、資金力でコロナ禍を乗り切ったが、個人経営のカフェは2年間で多くが閉店に追い込まれた。

GUTAなどが厳しい事業環境の中で成長できたのは、フランチャイズ形式での店舗開拓に成功したことにあるようだ。GUTAは30平方メートル程度の小規模店からチェーンへの参加が可能で、開店費用は3億ドンほどとされる。一方でハイランズの場合、フランチャイズ店舗の面積は150平方メートル以上とされ、25億ドン以上の初期投資が必要になるようだ。開店費用が大きい上に、コロナ禍の規制で店内飲食が禁止されると、稼働できないスペースの家賃負担が重くのしかかる。
AHAもフランチャイズ展開に力を入れている。開店費用は16億~22億ドンとされ、ハイランズより抑えられている。順調に集客できれば開業から2年かからず投資回収が可能だという。
オフィス街などの立地に出店できれば、常連客をつかみやすいことも路上スタイルカフェの強みだ。ホーチミン市で15店舗を展開する「カフェ・チャット」を経営するグエン・ヒュー・ニャット氏によれば、路上スタイルのカフェはインスタ映えする内装をこらした若者向けカフェと異なり、時間がない社会人にとっての憩いの場として機能している。
同氏は「常連が占める割合が多くなり、経営は安定する」と話す。足元では賃料やコーヒー豆の仕入れ値が上昇しており、「料金に転嫁するわけにも行かない」のが今の悩みだという。
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