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潜在成長性高い域内市場に期待フジテック、インフラ整備需要狙う

エレベーター・エスカレーター大手フジテックの東南アジアとインドの統括会社であるフジテック・シンガポールは、管轄地域での潜在的な市場の成長性に期待している。シンガポールやマレーシアでは大型プロジェクトが進行中で、今後は成長が著しいインドなどを中心に市場拡大を見込む。今年創立50周年を迎えたのを機に、今後50年に向けてデジタル技術を活用したサービスなどを強化しながらインフラ整備需要の取り込みを狙う。【清水美雪】

「インド、インドネシア、ベトナムを中心に市場拡大が期待できる」と話すフジテック・シンガポールのウィリアム・ウォン社長(同社提供)

フジテック・シンガポールは1972年設立。フジテック・グループでは3カ国目の海外法人だ。東南アジアとインドで展開する8カ国を「南アジア」地域とし、シンガポールを中核拠点と位置付けている。
東南アジアでは世界市場向けの標準型エレベーター「ゼクシア(ZEXIA、機械室あり)」や「レクシア(REXIA、機械室なし)」、省エネ効果の高いエスカレーター「GS8000NX」などを展開している。
域内のビルでは、エレベーターの行き先階登録システムも普及してきた。同システムでは利用者があらかじめ目的階を登録すると、複数のエレベーターの中から乗車する号機を自動的に割り当てて運行を効率化する。
新型コロナウイルス禍の影響を受けているが、現在は複数の大型プロジェクトが進行中だ。マレーシア・ペナン州で進められている複合開発事業「ザ・ライトシティー・ペナン」では、ホテルやオフィスビルにエレベーター・エスカレーター計142台を納入する。
シンガポールの金融街の高層複合ビル「ワン・ラッフルズ・プレイス」では、エレベーター計19台の改修プロジェクトが進行中で、2023年に完成する予定だ。フジテックは同ビルが1986年にアジアで最も高い建物として完成した際、高速エレベーターを納入した。今回の改修プロジェクトでは、分速420メートルのエレベーター6台を同480メートルに高速化する。
■インド市場に最も期待
フジテック・シンガポールの管轄地域では今後、全ての国でさらなる市場拡大を見込んでいる。特に成長が期待できるのはインド、インドネシア、ベトナムの3カ国だ。
フジテック・シンガポールのウィリアム・ウォン社長はNNAに対し、「この3カ国は人口規模が大きく、飛躍的に経済が発展しており、潜在的な市場の成長性が特に高い。今後数年で住宅やインフラの整備需要の拡大が見込まれる」と期待を示した。最も成長の潜在性が高いのはインドだという。
フジテックは今年8月、現地法人フジテック・インドを通じて、インドの同業エクスプレス・リフツの株式100%を取得すると発表した。同国の西部に工場を持つエクスプレスの買収で、南部チェンナイ近郊の自社工場と合わせ、現地での生産能力を強化する。
インドを含む南アジアでは中期経営計画「Vision24」の下、次世代標準機種の開発・拡販を進めることも掲げている。専用アプリやデジタルプラットフォームを活用しながら、商品・サービスのデジタル化を進めたい考えだ。
顧客の要望に迅速に対応できる能力を高めるための人材育成にも力を入れている。2019年にはシンガポールにショールームと研修施設を兼ねた「エクスペリエンスセンター・シンガポール」を開設。南アジアでのエンジニアの育成強化やサービス品質の向上を図っている。
■シンガポール、改修需要見込む
シンガポールでは今年創立50周年を迎えたのを記念し、9月初旬に記念式典を開催。シム・アン上級国務相(外務・国家開発担当)をはじめ約750人が出席した。同国ではこれまで、公営住宅(HDBフラット)向けに累計で約2万台を納入するなど多くの実績がある。
過去50年で現地のエレベーターやエスカレーター関連技術が進歩する中、旧式の制御システムからマイクロプロセッサーやデジタル技術などを使った最新型へと納入商品は大きく変化。保守・管理サービスも遠隔監視システムを活用したより効率性、信頼性の高いソリューションへと移行している。
ウォン社長は「(シンガポールでは)保守サービスを通じて顧客と長期的な関係を築いていることが強みだ。既存のエレベーターの改修需要の拡大を見込んでいる」と語った。
フジテック・シンガポールはデジタル技術を活用したサービス展開に注力しながら、今後50年に向けて同社がテリトリーとする南アジア地域で都市機能の向上を支援していく意向だ。

フジテック・シンガポールが展開する標準型エレベーター「ゼクシア」(フジテック提供)
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域内のビルでは、エレベーターの行き先階登録システムも普及してきた。同システムでは利用者があらかじめ目的階を登録すると、複数のエレベーターの中から乗車する号機を自動的に割り当てて運行を効率化する。
新型コロナウイルス禍の影響を受けているが、現在は複数の大型プロジェクトが進行中だ。マレーシア・ペナン州で進められている複合開発事業「ザ・ライトシティー・ペナン」では、ホテルやオフィスビルにエレベーター・エスカレーター計142台を納入する。
シンガポールの金融街の高層複合ビル「ワン・ラッフルズ・プレイス」では、エレベーター計19台の改修プロジェクトが進行中で、2023年に完成する予定だ。フジテックは同ビルが1986年にアジアで最も高い建物として完成した際、高速エレベーターを納入した。今回の改修プロジェクトでは、分速420メートルのエレベーター6台を同480メートルに高速化する。
■インド市場に最も期待
フジテック・シンガポールの管轄地域では今後、全ての国でさらなる市場拡大を見込んでいる。特に成長が期待できるのはインド、インドネシア、ベトナムの3カ国だ。
フジテック・シンガポールのウィリアム・ウォン社長はNNAに対し、「この3カ国は人口規模が大きく、飛躍的に経済が発展しており、潜在的な市場の成長性が特に高い。今後数年で住宅やインフラの整備需要の拡大が見込まれる」と期待を示した。最も成長の潜在性が高いのはインドだという。
フジテックは今年8月、現地法人フジテック・インドを通じて、インドの同業エクスプレス・リフツの株式100%を取得すると発表した。同国の西部に工場を持つエクスプレスの買収で、南部チェンナイ近郊の自社工場と合わせ、現地での生産能力を強化する。
インドを含む南アジアでは中期経営計画「Vision24」の下、次世代標準機種の開発・拡販を進めることも掲げている。専用アプリやデジタルプラットフォームを活用しながら、商品・サービスのデジタル化を進めたい考えだ。
顧客の要望に迅速に対応できる能力を高めるための人材育成にも力を入れている。2019年にはシンガポールにショールームと研修施設を兼ねた「エクスペリエンスセンター・シンガポール」を開設。南アジアでのエンジニアの育成強化やサービス品質の向上を図っている。
■シンガポール、改修需要見込む
シンガポールでは今年創立50周年を迎えたのを記念し、9月初旬に記念式典を開催。シム・アン上級国務相(外務・国家開発担当)をはじめ約750人が出席した。同国ではこれまで、公営住宅(HDBフラット)向けに累計で約2万台を納入するなど多くの実績がある。
過去50年で現地のエレベーターやエスカレーター関連技術が進歩する中、旧式の制御システムからマイクロプロセッサーやデジタル技術などを使った最新型へと納入商品は大きく変化。保守・管理サービスも遠隔監視システムを活用したより効率性、信頼性の高いソリューションへと移行している。
ウォン社長は「(シンガポールでは)保守サービスを通じて顧客と長期的な関係を築いていることが強みだ。既存のエレベーターの改修需要の拡大を見込んでいる」と語った。
フジテック・シンガポールはデジタル技術を活用したサービス展開に注力しながら、今後50年に向けて同社がテリトリーとする南アジア地域で都市機能の向上を支援していく意向だ。
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