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タイに廃プラ容器自動回収機ガラス瓶にも対応、国内初

タイのスタートアップ、サステインテックが使用済み容器の自動回収機「サーキュラーワン」の試作品を開発した。アルミニウム缶やペットボトルだけでなく、タイでは初めてガラス瓶の回収にも対応できるという。サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現に向け、回収した容器は再利用する。来年第1四半期(1~3月)の商業生産開始を目指す。【Sangkawin Apiwut】

サステインテックが開発した自動回収機「サーキュラーワン」。写真はチラワットCEO(同社提供)

「サーキュラーワン」は虹色のステッカーが貼られているため、遠くからでも目立つ。サステインテックのチラワット最高経営責任者(CEO)によると、虹色には「inclusive(みんな一緒に)」という意味があり、ステッカーには「世代や年齢、性別を問わず誰でも循環型経済の実現に貢献できる」という思いを込めたという。

利用者は「サーキュラーワン」の挿入口に使用済み容器を入れるだけ。回収した容器は再利用するため、ひび割れなどの欠陥があれば、サーキュラーワンに搭載された人工知能(AI)機能が検知して分類する。中国IT大手の騰訊控股(テンセント)のクラウド事業部門テンセントクラウドがAIで協力した。

チラワットCEOによると、欠陥のない使用済みガラス瓶の回収に対応できる自動回収機は「サーキュラーワン」が国内では初めてだという。「サーキュラーワン」1台の収容能力はガラス瓶が最大170本、アルミニウム缶・ペットボトルが250本。チラワットCEOは「試作品としては満足のいくレベル」と胸を張る。

■来年に商業生産

「サーキュラーワン」の商業生産は、早ければ来年第1四半期(1~3月)にも始まる見通し。サステインテックはOEM(相手先ブランドによる生産)やレンタルのほか、安価で販売して製品のメンテナンスや運搬、使用済み容器の回収を引き受ける代わりに顧客と収益を折半するビジネスモデルの構築も検討している。すでに大手飲料メーカーやコンドミニアム、ショッピングモール、学校、コンビニエンスストア、住宅デベロッパーなどが「サーキュラーワン」の設置に強い関心を寄せているという。

顧客の中にはすでに使用済みペットボトルの回収を独自で始めている事業者も含まれていると予想される。「アルミニウム缶だけ回収したい」などの要望があれば、「サーキュラーワン」の機能を増やしたり、減らしたりして対応していく考えだ。

■インセンティブを提供\nサステインテックは協力者にはインセンティブ(誘因)を提供する。利用者が使用済み容器の投函(とうかん)後に、「サーキュラーワン」のモニター画面上でデジタルトークンかポイントを選択できるようにした。「サーキュラーワン」がコンビニやショッピングモールに設置されている場合、デジタルトークンやポイントを店内で使えるようにする案も出ている。普段は環境保護への関心の低い人々に対して日々の行動に変化を促したい考えだ。

サステインテックはテンセントのクラウドサービスを活用し、「サーキュラーワン」を通じたデータの収集にも力を入れる。利用者の行動分析などにつなげ、使用済み容器の分類をさらに細かくするなど「サーキュラーワン」による廃棄物管理の向上を目指す。

■海洋ごみのトップがペットボトル

タイ天然資源・環境省の海洋・沿岸資源局によると、2020年に回収された海洋ごみのうち、ペットボトルは全体の22%を占めて種類別のトップだった。ガラス瓶は10.96%と3位。アルミ缶は6位で7.46%を占めた。海洋ごみの4割が「サーキュラーワン」による回収対象となる。同局によると海洋ごみの8割は陸から運ばれてきたものであり、そのほとんどは家庭で発生しているという。

チラワットCEOは収益の見通しについては「現段階では予測は困難」としながら、「まずは、低価格であったとしてもタイ国内に『サーキュラーワン』を普及させていくのが当面の目標」と説明した。

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「サーキュラーワン」は虹色のステッカーが貼られているため、遠くからでも目立つ。サステインテックのチラワット最高経営責任者(CEO)によると、虹色には「inclusive(みんな一緒に)」という意味があり、ステッカーには「世代や年齢、性別を問わず誰でも循環型経済の実現に貢献できる」という思いを込めたという。

利用者は「サーキュラーワン」の挿入口に使用済み容器を入れるだけ。回収した容器は再利用するため、ひび割れなどの欠陥があれば、サーキュラーワンに搭載された人工知能(AI)機能が検知して分類する。中国IT大手の騰訊控股(テンセント)のクラウド事業部門テンセントクラウドがAIで協力した。

チラワットCEOによると、欠陥のない使用済みガラス瓶の回収に対応できる自動回収機は「サーキュラーワン」が国内では初めてだという。「サーキュラーワン」1台の収容能力はガラス瓶が最大170本、アルミニウム缶・ペットボトルが250本。チラワットCEOは「試作品としては満足のいくレベル」と胸を張る。

■来年に商業生産

「サーキュラーワン」の商業生産は、早ければ来年第1四半期(1~3月)にも始まる見通し。サステインテックはOEM(相手先ブランドによる生産)やレンタルのほか、安価で販売して製品のメンテナンスや運搬、使用済み容器の回収を引き受ける代わりに顧客と収益を折半するビジネスモデルの構築も検討している。すでに大手飲料メーカーやコンドミニアム、ショッピングモール、学校、コンビニエンスストア、住宅デベロッパーなどが「サーキュラーワン」の設置に強い関心を寄せているという。

顧客の中にはすでに使用済みペットボトルの回収を独自で始めている事業者も含まれていると予想される。「アルミニウム缶だけ回収したい」などの要望があれば、「サーキュラーワン」の機能を増やしたり、減らしたりして対応していく考えだ。

■インセンティブを提供\nサステインテックは協力者にはインセンティブ(誘因)を提供する。利用者が使用済み容器の投函(とうかん)後に、「サーキュラーワン」のモニター画面上でデジタルトークンかポイントを選択できるようにした。「サーキュラーワン」がコンビニやショッピングモールに設置されている場合、デジタルトークンやポイントを店内で使えるようにする案も出ている。普段は環境保護への関心の低い人々に対して日々の行動に変化を促したい考えだ。

サステインテックはテンセントのクラウドサービスを活用し、「サーキュラーワン」を通じたデータの収集にも力を入れる。利用者の行動分析などにつなげ、使用済み容器の分類をさらに細かくするなど「サーキュラーワン」による廃棄物管理の向上を目指す。

■海洋ごみのトップがペットボトル

タイ天然資源・環境省の海洋・沿岸資源局によると、2020年に回収された海洋ごみのうち、ペットボトルは全体の22%を占めて種類別のトップだった。ガラス瓶は10.96%と3位。アルミ缶は6位で7.46%を占めた。海洋ごみの4割が「サーキュラーワン」による回収対象となる。同局によると海洋ごみの8割は陸から運ばれてきたものであり、そのほとんどは家庭で発生しているという。

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