NNAが実施したアジア現地社員の給与動向調査で、フィリピンに進出している日系企業の2023年の昇給率予測が平均4.9%となり、22年予測の4.3%から拡大することが分かった。政府が全国で最低賃金を約3年ぶりに引き上げたことや、国内のインフレが進行していることが判断材料となる。昇給を「実施する」は73%に増えた。
調査は22年8月29日~10月3日に実施した。有効回答社数は116社だった。内訳は製造業が56社、非製造業が60社。地域別ではマニラ首都圏が55社と最も多く、工業団地が集積する首都圏近郊のラグナ州が20社、カビテ州が16社などと続いた。22年昇給率の実績は5.6%と予測を大幅に上回った。
23年に昇給を「実施する」と回答した企業は85社に上り、全体の73.3%を占めた。「未定」は28社、「実施しない」は3社にとどまった。23年の予測昇給率(有効回答数812件)を見ると、最も多かったのは「4.1~5.0%」の291件だった。
業種別に見ると、「運搬・倉庫」が17.5%と最大だった一方、建設・不動産は3.3%と最も低かった。回答のあった13業種のうち8業種で昇給率が前年予測から上がった。
昇給の判断材料(複数回答、有効回答社数60社)では「本人の成績」が69社と最も多く、「消費者物価指数・インフレ率」が51社と続いた。
フィリピン政府は22年3月、首都圏で実施していた新型コロナウイルス対策の外出・移動制限を最も緩い水準に引き下げ、その後に全国の制限措置も段階的に緩めた。経済活動が正常化に向かったことで人手不足となり、雇用の確保が難しくなった。政府が22年6月に全国で約3年ぶりに最低賃金を引き上げたことも企業の賃上げ圧力となる。
22年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻が長期化した上、米金融当局が大幅利上げを続けたことでペソ安が一時深刻化し、物価高も進行した。22年通年の消費者物価指数(CPI)の上昇率は平均で5.8%と前年の3.9%から上がり、企業が昇給を考慮する上で例年よりも重要な判断材料となった。
賞与については「支給する」が75社と、全体の64.7%を占めた。「未定」は29社、「支給しない」は12社だった。支給月数は「0.6~1.0カ月」が最多だった。
人件費の上昇を「感じる」と答えた日系企業は106社と91.4%を占めた。人件費の許容限度については、「現在の水準の1.2倍」が50社と最も多く、「現在の水準」が35社などと続いた。
※給与動向調査の詳細データはNNAアジアビジネスデータバンク(www.nna.jp/corp_contents/service/statistics/、有料)に収録されています。
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23年に昇給を「実施する」と回答した企業は85社に上り、全体の73.3%を占めた。「未定」は28社、「実施しない」は3社にとどまった。23年の予測昇給率(有効回答数812件)を見ると、最も多かったのは「4.1~5.0%」の291件だった。
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昇給の判断材料(複数回答、有効回答社数60社)では「本人の成績」が69社と最も多く、「消費者物価指数・インフレ率」が51社と続いた。
フィリピン政府は22年3月、首都圏で実施していた新型コロナウイルス対策の外出・移動制限を最も緩い水準に引き下げ、その後に全国の制限措置も段階的に緩めた。経済活動が正常化に向かったことで人手不足となり、雇用の確保が難しくなった。政府が22年6月に全国で約3年ぶりに最低賃金を引き上げたことも企業の賃上げ圧力となる。
22年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻が長期化した上、米金融当局が大幅利上げを続けたことでペソ安が一時深刻化し、物価高も進行した。22年通年の消費者物価指数(CPI)の上昇率は平均で5.8%と前年の3.9%から上がり、企業が昇給を考慮する上で例年よりも重要な判断材料となった。
賞与については「支給する」が75社と、全体の64.7%を占めた。「未定」は29社、「支給しない」は12社だった。支給月数は「0.6~1.0カ月」が最多だった。
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