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香港に春節のにぎわい戻る飲食店が盛況、マカオは旅客殺到

香港は4年ぶりに、新型コロナウイルスへの不安と規制がほとんどない状態で春節(旧正月、今年は1月22日)を迎えた。連休(22~25日)中、飲食店は地元客で大盛況。各店の売り上げはコロナ前の9割超まで回復した。中国本土からの入境者も1日平均1万人以上に増え、九龍地区の繁華街・尖沙咀の高級ブランド店には入店待ちの行列が出現した。一方、マカオには延べ15万人余りが殺到。観光名所の多い旧市街の道路は観光客で埋め尽くされた。
香港の地上波テレビ局、電視広播(TVB)や明報など香港各紙によると、旧暦の大みそかに当たる21日の夜は域内の多くの飲食店が満席となった。飲食店には10人以上での予約が数多く入り、多くの市民が家族や親戚と連れだって、「団年飯」と呼ばれる大みそかの食事会に出かけた。
1卓に座れる人数や営業時間など、飲食店の営業が規制されずに春節が迎えられたのは2020年以来。その20年もコロナの足音が香港へ忍び寄り、不安の中での春節だった。
九龍・旺角の中華料理店を訪れた客からは「今年はみんなで1卓に座れてうれしい」といった声が聞かれた。香港と本土の間で8日に隔離なし往来が再開されたことから、両地に離れて暮らす家族が久しぶりに再会し、団年飯を楽しむ姿も見られたという。
飲食業界団体・香港餐飲聯業協会(HKFORT)の黄家和(サイモン・ウォン)会長は23日に官営メディアRTHKの番組に出演し「飲食業界の売上高はコロナ前の9割まで回復した」とコメント。1月は業界全体で100億HKドル(約1,670億円)を超える見通しだと語った。
残りの1割は、本土客を中心に観光客が戻れば回復する見込み。黄氏は「下半期(7~12月)には完全に正常化する」と予測した。
■本土客「爆買い」見られず
隔離なし往来が再開された8日以降、香港を訪れる本土からの旅行者は増え続けている。1日当たりの入境者数は18日に延べ1万人を超え、20日は1万4,892人に上った。19日(大みそかの2日前)から23日(年明け2日目)には、6万2,000人余りの本土客が香港に入境した。
明報によると、コロナ前には本土客の「ブランドもの爆買いスポット」として知られた尖沙咀の広東道沿いでは23日午後、複数の高級ブランド店の前に行列が見られた。ほとんどが本土からの旅行者で「3万~4万HKドル使った」と話す人も。ただ、行列は十数人程度だったほか買い物をせずに店を出る客も多く、春節の爆買い現象は戻らなかったようだ。
香港中文大学商学部アジア太平洋ビジネス研究所の李兆波(サイモン・リー)名誉研究員は◇長引くコロナ禍で本土の消費者の一部がぜいたく品もインターネットで買うようになった◇コロナ禍による経済低迷で本土客の消費力が当面は弱い◇日本やタイの免税店の方が香港より安いと考える本土客が増えた——ことなどが、香港での爆買いが戻らない原因だと分析している。
■マカオに1日7万人
香港の活気がまだ地元客中心なのに対し、マカオは域外からの観光客で大にぎわいとなった。23日の入境者数は、コロナ後で最多となる延べ7万1,678人を記録。本土からは3万9,394人、香港からも2万7,768人が訪れた。
21~23日には、前年の春節連休比3.2倍となる延べ15万4,273人がマカオの名所を観光。「マカオ歴史地区」として世界遺産にも登録される旧市街の道路は観光客で埋め尽くされ、マカオ日報によると路線バスやカジノ行きシャトルバスの乗り場には長蛇の列ができた。

マカオの旧市街は春節期間中、本土や香港からの観光客でごった返した(マカオ政府提供)
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九龍・旺角の中華料理店を訪れた客からは「今年はみんなで1卓に座れてうれしい」といった声が聞かれた。香港と本土の間で8日に隔離なし往来が再開されたことから、両地に離れて暮らす家族が久しぶりに再会し、団年飯を楽しむ姿も見られたという。
飲食業界団体・香港餐飲聯業協会(HKFORT)の黄家和(サイモン・ウォン)会長は23日に官営メディアRTHKの番組に出演し「飲食業界の売上高はコロナ前の9割まで回復した」とコメント。1月は業界全体で100億HKドル(約1,670億円)を超える見通しだと語った。
残りの1割は、本土客を中心に観光客が戻れば回復する見込み。黄氏は「下半期(7~12月)には完全に正常化する」と予測した。
■本土客「爆買い」見られず
隔離なし往来が再開された8日以降、香港を訪れる本土からの旅行者は増え続けている。1日当たりの入境者数は18日に延べ1万人を超え、20日は1万4,892人に上った。19日(大みそかの2日前)から23日(年明け2日目)には、6万2,000人余りの本土客が香港に入境した。
明報によると、コロナ前には本土客の「ブランドもの爆買いスポット」として知られた尖沙咀の広東道沿いでは23日午後、複数の高級ブランド店の前に行列が見られた。ほとんどが本土からの旅行者で「3万~4万HKドル使った」と話す人も。ただ、行列は十数人程度だったほか買い物をせずに店を出る客も多く、春節の爆買い現象は戻らなかったようだ。
香港中文大学商学部アジア太平洋ビジネス研究所の李兆波(サイモン・リー)名誉研究員は◇長引くコロナ禍で本土の消費者の一部がぜいたく品もインターネットで買うようになった◇コロナ禍による経済低迷で本土客の消費力が当面は弱い◇日本やタイの免税店の方が香港より安いと考える本土客が増えた——ことなどが、香港での爆買いが戻らない原因だと分析している。
■マカオに1日7万人
香港の活気がまだ地元客中心なのに対し、マカオは域外からの観光客で大にぎわいとなった。23日の入境者数は、コロナ後で最多となる延べ7万1,678人を記録。本土からは3万9,394人、香港からも2万7,768人が訪れた。
21~23日には、前年の春節連休比3.2倍となる延べ15万4,273人がマカオの名所を観光。「マカオ歴史地区」として世界遺産にも登録される旧市街の道路は観光客で埋め尽くされ、マカオ日報によると路線バスやカジノ行きシャトルバスの乗り場には長蛇の列ができた。
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