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新型コロナ流行の終息宣言13日に正常化、車内もマスク不要

シンガポール政府は9日、新型コロナウイルス流行の終息を宣言した。国内の感染状況が安定しているためで、13日から感染症警戒レベルを最も低い「グリーン」に引き下げ、季節性インフルエンザなどと同等の扱いとする。公共交通機関でのマスク着用義務や入国規制なども撤廃する。2020年1月に警戒レベルが引き上げられて以来、約3年ぶりの正常化となる。

13日から公共交通機関でのマスク着用義務が撤廃される=シンガポール中心部(NNA撮影)

政府は9日、現行の新型コロナ感染対策を廃止・縮小し、エンデミック(一定期間で繰り返される流行)期の新たなノーム(規範)を策定すると発表した。過去数カ月で国内の感染状況が落ち着いているほか、医療施設で新型コロナ患者の受け入れが通常業務を妨げるリスクが減ったことなどが背景にある。
感染症の警戒レベルは13日から、4段階(上になるほど高リスク)で上から3番目のイエローから最も低いグリーンに引き下げる。イエローは感染リスクはあるが感染しても大半の人にとっては症状が軽い状態。グリーンは感染の症状が軽いか、重くても人に感染することがほとんどない状態を指す。
政府は20年1月、新型コロナ感染拡大の恐れがあるとして警戒レベルをグリーンからイエローに引き上げた。同年2月にはさらに上から2番目のオレンジに変更し、03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)と同水準に設定。22年4月には、国内の感染対策を大幅に緩和する措置に伴い、オレンジからイエローに引き下げていた。
■医療機関は一部で着用継続
マスク関連の措置は段階的に緩和してきたが、公共交通機関や医療機関での着用義務は残していた。13日からは公共交通機関での着用義務を撤廃する。
医療機関では「患者と接触・対面する」「患者への治療を施す」場合に限り、引き続きマスク着用を義務付ける。医療機関には病院のほか、ポリクリニック(公営診療所)、民間クリニック、歯科医院、介護施設などが含まれる。
食品関連企業など業種によってマスク着用が求められる場合も、管轄する政府機関が引き続き着用を求める。民間企業には、職場の衛生管理や事業継続性を考慮して自主的にマスク着用の是非を判断してもらう。
保健省は声明で、「マスク着用は感染症対策に有効な手段であることから、特に高齢者や免疫不全疾患を持つ人には混雑した場所などで継続してもらいたい。呼吸器疾患といった新型コロナに似た症状がある人も同様だ」と説明した。
■陽性者などは責任ある行動を
呼吸器系疾患の症状が出たり、新型コロナの陽性反応が確認されたりした場合の措置では、3段階に分けていた従来の行動プロトコル(規定)を見直す。新たな規定では「高齢者や慢性疾患の患者で急性呼吸器感染症の症状がある人」「急性呼吸器感染症の重篤な症状が出た人」に対し、医師の診断を仰ぐよう求める。
急性呼吸器感染症の中程度の症状がある場合は、症状が改善するまで自宅療養してもらう。急性呼吸器感染症の症状がある人や、無症状でも検査で陽性反応が出た人が外出する場合は、マスクを着用して混雑した場所や人との接触を避けて行動することを求める。
従来は「プロトコル1(体調不良の人向け)」「プロトコル2(無症状だが陽性反応が出た人あるいは中程度の症状がある人向け)」「プロトコル3(感染者と濃厚接触した人向け)」に分けて行動を規定していた。
■感染再拡大に備え、状況注視
新型コロナウイルス関連の入国規制も基本的に撤廃する。ワクチン接種を完了していない人に対し、PCR検査の陰性証明の提示を求める措置は13日に廃止する。短期滞在するワクチン接種未完了者に義務付けている旅行保険への加入義務も撤廃する。
ただワクチン接種の有無によって入国要件を設定する枠組み「ワクチントラベルフレームワーク(VTF)」は存続させる。新たな感染拡大の脅威が迫った場合に入国規制を再度導入するためだ。
感染対策の閣僚級共同作業部会の共同議長を務めるローレンス・ウォン副首相兼財務相は9日の記者会見で、「足元で海外旅行者が増加している中でも、国内の感染状況は落ち着いている。ワクチン接種と感染の両方を経験した『ハイブリッド免疫』の人の割合も多い。こうした状況を鑑み、各種規制の廃止・縮小を決めた」と説明した。
ただ、今回発表した新たな規範が不変ではないことを強調。「将来の感染再拡大に備え、十分警戒する必要がある。今後も国内外の感染状況を注視していく」と付け加えた。

新型コロナ感染対策を廃止・縮小する政策を説明するローレンス・ウォン副首相兼財務相(シンガポール情報通信省提供)
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政府は9日、現行の新型コロナ感染対策を廃止・縮小し、エンデミック(一定期間で繰り返される流行)期の新たなノーム(規範)を策定すると発表した。過去数カ月で国内の感染状況が落ち着いているほか、医療施設で新型コロナ患者の受け入れが通常業務を妨げるリスクが減ったことなどが背景にある。
感染症の警戒レベルは13日から、4段階(上になるほど高リスク)で上から3番目のイエローから最も低いグリーンに引き下げる。イエローは感染リスクはあるが感染しても大半の人にとっては症状が軽い状態。グリーンは感染の症状が軽いか、重くても人に感染することがほとんどない状態を指す。
政府は20年1月、新型コロナ感染拡大の恐れがあるとして警戒レベルをグリーンからイエローに引き上げた。同年2月にはさらに上から2番目のオレンジに変更し、03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)と同水準に設定。22年4月には、国内の感染対策を大幅に緩和する措置に伴い、オレンジからイエローに引き下げていた。
■医療機関は一部で着用継続
マスク関連の措置は段階的に緩和してきたが、公共交通機関や医療機関での着用義務は残していた。13日からは公共交通機関での着用義務を撤廃する。
医療機関では「患者と接触・対面する」「患者への治療を施す」場合に限り、引き続きマスク着用を義務付ける。医療機関には病院のほか、ポリクリニック(公営診療所)、民間クリニック、歯科医院、介護施設などが含まれる。
食品関連企業など業種によってマスク着用が求められる場合も、管轄する政府機関が引き続き着用を求める。民間企業には、職場の衛生管理や事業継続性を考慮して自主的にマスク着用の是非を判断してもらう。
保健省は声明で、「マスク着用は感染症対策に有効な手段であることから、特に高齢者や免疫不全疾患を持つ人には混雑した場所などで継続してもらいたい。呼吸器疾患といった新型コロナに似た症状がある人も同様だ」と説明した。
■陽性者などは責任ある行動を
呼吸器系疾患の症状が出たり、新型コロナの陽性反応が確認されたりした場合の措置では、3段階に分けていた従来の行動プロトコル(規定)を見直す。新たな規定では「高齢者や慢性疾患の患者で急性呼吸器感染症の症状がある人」「急性呼吸器感染症の重篤な症状が出た人」に対し、医師の診断を仰ぐよう求める。
急性呼吸器感染症の中程度の症状がある場合は、症状が改善するまで自宅療養してもらう。急性呼吸器感染症の症状がある人や、無症状でも検査で陽性反応が出た人が外出する場合は、マスクを着用して混雑した場所や人との接触を避けて行動することを求める。
従来は「プロトコル1(体調不良の人向け)」「プロトコル2(無症状だが陽性反応が出た人あるいは中程度の症状がある人向け)」「プロトコル3(感染者と濃厚接触した人向け)」に分けて行動を規定していた。
■感染再拡大に備え、状況注視
新型コロナウイルス関連の入国規制も基本的に撤廃する。ワクチン接種を完了していない人に対し、PCR検査の陰性証明の提示を求める措置は13日に廃止する。短期滞在するワクチン接種未完了者に義務付けている旅行保険への加入義務も撤廃する。
ただワクチン接種の有無によって入国要件を設定する枠組み「ワクチントラベルフレームワーク(VTF)」は存続させる。新たな感染拡大の脅威が迫った場合に入国規制を再度導入するためだ。
感染対策の閣僚級共同作業部会の共同議長を務めるローレンス・ウォン副首相兼財務相は9日の記者会見で、「足元で海外旅行者が増加している中でも、国内の感染状況は落ち着いている。ワクチン接種と感染の両方を経験した『ハイブリッド免疫』の人の割合も多い。こうした状況を鑑み、各種規制の廃止・縮小を決めた」と説明した。
ただ、今回発表した新たな規範が不変ではないことを強調。「将来の感染再拡大に備え、十分警戒する必要がある。今後も国内外の感染状況を注視していく」と付け加えた。
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