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「対話型AI」への参入加速年内商用化も、市場争奪戦へ

対話型の人工知能(AI)「Chat(チャット)GPT」が世界で注目を集める中、関連技術で市場参入を狙う韓国企業が増えている。移動通信大手SKテレコム(SKT)やIT大手カカオなどは、チャットGPTの韓国語版に相当する新たなAIサービスを年内にも公開する。ポスコグループのポスコICTは、自社の業務自動化ソフトに対話型AIを連携させて品質強化に乗り出す。AIの普及を見越した新市場の争奪戦が過熱しそうだ。

SKTは、自社に整備するスパコン「タイタン」のGPUを従来の2倍に拡大(同社提供)

米オープンAIが開発したチャットGPTは、パソコンなどで質問を入力するとAIが対話形式で説得力のある文章を作成するシステムだ。
韓国では、2022年実施された大学修学能力試験(修能)の英語の問題をチャットGPTに解かせたところ、100点満点で82点とソウル市内にある高レベルの大学(in Seoul)も狙える高得点を記録した。AI技術の急速な向上への注目度が一段と高まっている。
■AIで先行するネイバーが本腰
SKTは、ユーザーと対話して成長するAI「A.(エードット)」に対話型を融合させる新サービスを今年中に開始する。写真や音声など複合的な情報を理解できる技術も導入する予定だ。オープンAIなどを筆頭に、国内外で先端技術を持つ企業との協業も模索していく。
対話AIサービスの開始に向けてSKTは、自社で整備する米スーパーコンピューター「タイタン」の画像処理半導体(GPU)を従来の2倍に増やした。大量のデータを使い、スパコンによる学習でAIの性能を高める環境を強化する構えだ。
カカオも、チャットGPTのような韓国語に特化した対話型のAIサービス「KoGPT」を年内にも公開する。カカオの洪銀沢(ホン・ウンテク)代表は10日、決算発表後のカンファレンスコール(電話会議)で「グローバル企業と同じ土俵で競争するより、韓国語に特化したAIモデルを活用して(特定の業種に特化した)バーティカルAIサービスに集中する」と強調。年内にサービスを発表し、韓国で圧倒的なシェアを持つ対話アプリを通じたAI市場の開拓を目指す。
ネイバーも新たな自動生成AI「サーチGPT」を今年上半期にも発表する。チャットGPTのように対話型ではないとみられるが、例えば「ノートパソコンを安く買える方法」といった漠然とした検索に対しても、AIを通じてこれまで以上に的確なアドバイスを可能にする。
ネイバーはまた、LINE(東京都新宿区)と2021年から「ハイパークローバ」と呼ぶAIを用いた言語モデルを商用化しており、商品PRや営業日報などの文章作成や議事録の要約などでの活用が進んでいる。韓国最大のポータルサイト上にあるデータを駆使したAIを生かし、地場検索市場で圧倒的な差をつける考えだ。
■ポスコはグローバル大手と連携へ
ITサービス大手のポスコICTは、データの可視化や定型作業を自動化するロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)に対話型AIの技術を導入する方向で検討に入った。韓国では、18年からの残業を制限する「週52時間勤務制」の施行を機に、社員が定型業務に費やす時間を削減できるRPAの普及が大手企業などで進んでいる。
ポスコICTは、対話型AIをRPAに採用することで、機能に慣れていない役員などの年配層の理解度もより深まるとみている。毎日経済新聞によると、同社はオープンAIではないグローバル企業と連携し、対話型AIを搭載したRPAの商用化を目指すようだ。
■サムスンはメモリー需要に期待
半導体大手は、チャットGPTの普及拡大による恩恵を見込んでいる。サムスン電子メモリー事業部のキム・ジェジュン副社長は1月末の決算発表後のカンファレンスコールで「自然言語ベースのインタラクティブAIサービスが将来のメモリー半導体需要に肯定的な影響を与えることを期待する」とコメント。具体的には、128ギガバイト級の高容量サーバー向けDRAMなどの供給が伸びると予想した。
SKハイニックスも1日のカンファレンスコールで、チャットGPTについて「言語モデルの拡張性やAIを一般化した大衆性という面で波及力がある」と評価するとともに、高性能・高容量メモリーにより対話型AIの恩恵を最大限に引き出す考えを示した。

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■AIで先行するネイバーが本腰
SKTは、ユーザーと対話して成長するAI「A.(エードット)」に対話型を融合させる新サービスを今年中に開始する。写真や音声など複合的な情報を理解できる技術も導入する予定だ。オープンAIなどを筆頭に、国内外で先端技術を持つ企業との協業も模索していく。
対話AIサービスの開始に向けてSKTは、自社で整備する米スーパーコンピューター「タイタン」の画像処理半導体(GPU)を従来の2倍に増やした。大量のデータを使い、スパコンによる学習でAIの性能を高める環境を強化する構えだ。
カカオも、チャットGPTのような韓国語に特化した対話型のAIサービス「KoGPT」を年内にも公開する。カカオの洪銀沢(ホン・ウンテク)代表は10日、決算発表後のカンファレンスコール(電話会議)で「グローバル企業と同じ土俵で競争するより、韓国語に特化したAIモデルを活用して(特定の業種に特化した)バーティカルAIサービスに集中する」と強調。年内にサービスを発表し、韓国で圧倒的なシェアを持つ対話アプリを通じたAI市場の開拓を目指す。
ネイバーも新たな自動生成AI「サーチGPT」を今年上半期にも発表する。チャットGPTのように対話型ではないとみられるが、例えば「ノートパソコンを安く買える方法」といった漠然とした検索に対しても、AIを通じてこれまで以上に的確なアドバイスを可能にする。
ネイバーはまた、LINE(東京都新宿区)と2021年から「ハイパークローバ」と呼ぶAIを用いた言語モデルを商用化しており、商品PRや営業日報などの文章作成や議事録の要約などでの活用が進んでいる。韓国最大のポータルサイト上にあるデータを駆使したAIを生かし、地場検索市場で圧倒的な差をつける考えだ。
■ポスコはグローバル大手と連携へ
ITサービス大手のポスコICTは、データの可視化や定型作業を自動化するロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)に対話型AIの技術を導入する方向で検討に入った。韓国では、18年からの残業を制限する「週52時間勤務制」の施行を機に、社員が定型業務に費やす時間を削減できるRPAの普及が大手企業などで進んでいる。
ポスコICTは、対話型AIをRPAに採用することで、機能に慣れていない役員などの年配層の理解度もより深まるとみている。毎日経済新聞によると、同社はオープンAIではないグローバル企業と連携し、対話型AIを搭載したRPAの商用化を目指すようだ。
■サムスンはメモリー需要に期待
半導体大手は、チャットGPTの普及拡大による恩恵を見込んでいる。サムスン電子メモリー事業部のキム・ジェジュン副社長は1月末の決算発表後のカンファレンスコールで「自然言語ベースのインタラクティブAIサービスが将来のメモリー半導体需要に肯定的な影響を与えることを期待する」とコメント。具体的には、128ギガバイト級の高容量サーバー向けDRAMなどの供給が伸びると予想した。
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