農業ベンチャー企業のマイファーム(京都市)は5日、マレーシアでのドリアン栽培に向けて、同国の農園運営大手PLSプランテーションズと合弁事業契約を締結した。マイファームは2億1,000万リンギ(約63億7,300万円)を投じる予定。日本企業によるマレーシアのドリアン栽培への投資としては最大規模となる。
合弁事業契約に調印したマイファームの西辻代表(前列左から2人目)、石原北斗取締役(同1人目)ら=5日、クアラルンプール(NNA撮影)
マイファームとマレーシアの子会社ミレニアム・アグリカルチャー・テクノロジー(MAT)は、PLSプランテーションズが49%出資するPLS—LESBとの合弁会社アカル・バラット・ジャヤに出資する。合弁会社の時価総額は約4億2,900万リンギで、このうち2億1,000万リンギをマイファームとMATが出資する。1回目の出資は今年4月末までに完了する見通し。出資比率は、マイファームとMATが49%、PLS—LESBが51%となる。
合弁会社は、PLSプランテーションズがパハン州で運営する農園の1,000ヘクタールで最高品種の「ムサンキング(猫山王)」を中心にドリアンの栽培に乗り出す。
農業ベンチャー企業としてマイファームが培ってきた研究開発・技術力といったソフト面での強みと、PLSプランテーションズが持つドリアン農場での生産から流通に至るまでのハード面や一貫したバリューチェーン構築といった強みを掛け合わせながら、日本のスマート農業技術の導入や農業人材育成、技術交流などを進め、生産性や業務効率、ドリアンの品質向上を目指す。
生産したドリアンは、マレーシア国内で販売するほか、ドリアン需要が急速に拡大している中国を中心に、日本やアジア諸国など世界に輸出する計画。合弁会社は5日、PLSプランテーションズが70%間接出資するドゥライ・フルーツ・エンタープライズと販売契約を締結した。同社は、中国食品最大手の中糧集団(COFCO)とドリアンの独占販売契約を結んでいる。
マイファームの創業者、西辻一真代表は合弁事業契約の調印式でのスピーチで、「農業はマレーシアと日本にとって重要なセクターであり、新型コロナウイルス収束後の食料安全保障も課題となっている」とコメント。マレーシアと日本は長い友好と協力の歴史があり、今回の合弁事業は両国の関係深化につながるとの考えを示した。
報道陣からマレーシアでのドリアン栽培以外の農業事業への参入の計画について問われた西辻氏は、「まずはドリアンの栽培に専念していく」と回答。NNAに対して、「日本では冷凍ドリアンの潜在需要があるとみている」と話した。
■PLS、パーム油生産から転換
「果物の王様」といわれるドリアンは、品種改良や冷凍保存での輸送、貿易取引の規制緩和などを背景に、2019年以降、世界で貿易額が拡大している。特に中国で需要が急速に拡大しており、同国の輸入量は年30%増加している。
一方で、PLSプランテーションズのナジル・ラザク会長は「マレーシア原産のムサンキングは国内では有名だが、海外ではタイ原産だと思っている人がいるほど知名度は高くない」と指摘。中国やシンガポールといった主要市場以外にも輸出先を拡大させられる余地があるとの見方を示した。
ナジル氏は、現在、同社の売上高のうち8割をパーム油が占めていると説明。「パーム油の生産に依存し続けるわけにはいかない」と話し、向こう5~7年でドリアンやバナナ、パイナップルといった他の農作物の生産に転換し、パーム油の売上高構成比を2割まで引き下げる方針を示した。
PLSプランテーションズが手がける「ドリアン・ヒル」ブランドの商品=5日、クアラルンプール(NNA撮影)
<メモ>
マイファーム
2007年に西辻氏が設立。資本金1億円で、ツムラやマイナビ、welzo(ウェルゾ、旧ニチリウ永瀬)、DCMホールディングス、SBテクノロジーなど複数の企業が主要株主となっている。「自産自消」を理念に、耕作放棄地の再生および収益化、体験農園事業、農業教育事業、農産物の流通販売事業などを手がけている。
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合弁会社は、PLSプランテーションズがパハン州で運営する農園の1,000ヘクタールで最高品種の「ムサンキング(猫山王)」を中心にドリアンの栽培に乗り出す。
農業ベンチャー企業としてマイファームが培ってきた研究開発・技術力といったソフト面での強みと、PLSプランテーションズが持つドリアン農場での生産から流通に至るまでのハード面や一貫したバリューチェーン構築といった強みを掛け合わせながら、日本のスマート農業技術の導入や農業人材育成、技術交流などを進め、生産性や業務効率、ドリアンの品質向上を目指す。
生産したドリアンは、マレーシア国内で販売するほか、ドリアン需要が急速に拡大している中国を中心に、日本やアジア諸国など世界に輸出する計画。合弁会社は5日、PLSプランテーションズが70%間接出資するドゥライ・フルーツ・エンタープライズと販売契約を締結した。同社は、中国食品最大手の中糧集団(COFCO)とドリアンの独占販売契約を結んでいる。
マイファームの創業者、西辻一真代表は合弁事業契約の調印式でのスピーチで、「農業はマレーシアと日本にとって重要なセクターであり、新型コロナウイルス収束後の食料安全保障も課題となっている」とコメント。マレーシアと日本は長い友好と協力の歴史があり、今回の合弁事業は両国の関係深化につながるとの考えを示した。
報道陣からマレーシアでのドリアン栽培以外の農業事業への参入の計画について問われた西辻氏は、「まずはドリアンの栽培に専念していく」と回答。NNAに対して、「日本では冷凍ドリアンの潜在需要があるとみている」と話した。
■PLS、パーム油生産から転換
「果物の王様」といわれるドリアンは、品種改良や冷凍保存での輸送、貿易取引の規制緩和などを背景に、2019年以降、世界で貿易額が拡大している。特に中国で需要が急速に拡大しており、同国の輸入量は年30%増加している。
一方で、PLSプランテーションズのナジル・ラザク会長は「マレーシア原産のムサンキングは国内では有名だが、海外ではタイ原産だと思っている人がいるほど知名度は高くない」と指摘。中国やシンガポールといった主要市場以外にも輸出先を拡大させられる余地があるとの見方を示した。
ナジル氏は、現在、同社の売上高のうち8割をパーム油が占めていると説明。「パーム油の生産に依存し続けるわけにはいかない」と話し、向こう5~7年でドリアンやバナナ、パイナップルといった他の農作物の生産に転換し、パーム油の売上高構成比を2割まで引き下げる方針を示した。
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マイファーム
2007年に西辻氏が設立。資本金1億円で、ツムラやマイナビ、welzo(ウェルゾ、旧ニチリウ永瀬)、DCMホールディングス、SBテクノロジーなど複数の企業が主要株主となっている。「自産自消」を理念に、耕作放棄地の再生および収益化、体験農園事業、農業教育事業、農産物の流通販売事業などを手がけている。"
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