マレーシアでは、新型コロナウイルスの感染収束に伴い国内経済が回復基調にあり、労働需要も拡大している。マレーシア統計局によると、4月の失業率(速報値)は3.5%で、3カ月連続で横ばいとなった。国内のシンクタンクは、今後も失業率は緩やかに推移し、2023年通年では3.5%となり、22年の3.9%から改善すると予測している。
マレーシアの失業率は、20年第1四半期(1~3月)以前は3.3%前後で安定的に推移していた。しかし、コロナのパンデミック(世界的大流行)による国内外の経済低迷を背景に、20年5月には5.2%まで悪化し、その後も4%台後半にとどまっていた。
コロナの感染収束に伴い昨年4月に入国制限が撤廃されたことを契機に国内経済が回復し始め、労働需要が拡大。失業率は3%台に改善し、今年2~4月は3.5%を維持している。
マレーシア産業開発金融(MIDF)系シンクタンクのMIDFリサーチは、今月9日に公表した国内の労働市場の見通しで、23年の平均失業率の予測を従来通り3.5%に据え置くと発表した。依然としてコロナ流行前の水準(3.3%前後)を上回るが、国内経済の回復と外需の緩やかな拡大を背景に労働市場も回復し続けると予測している。
地場証券系シンクタンクのクナンガ・リサーチも12日、23年の平均失業率の予測を3.5%に据え置くと発表。観光業が活性化するにつれてサービス分野が回復し、労働需要も拡大していくと予測している。
マレーシア華人商工会議所(ACCCIM)傘下の社会経済研究センター(SERC)でエグゼクティブディレクターを務めるリー・ヘンギー氏は、NNAに対して、「ペナン州の一部の工場で人員削減の動きがあると聞いており、輸出も低迷しているが、今後大きな経済的打撃がなければ、失業率は今年末までにはコロナ流行前の水準まで回復するだろう」とコメント。ただ、コスト上昇に直面している企業は多く、採用活動にも影響が及ぶ可能性があると指摘した。
マレーシア中央銀行は今年3月、23年の失業率は3.5%とコロナ流行前の水準に近づくとの見通しを示した。
■ASEAN7カ国では中位
国際通貨基金(IMF)は、マレーシアの23年の失業率は3.6%と予測。24~28年は3.5%を維持していくと予測している。
IMFによると、22年のマレーシアの失業率は3.8%(マレーシア統計局の発表とは数値が異なる)で、東南アジア諸国連合(ASEAN)7カ国ではブルネイ(6.8%)、インドネシア(5.9%)、フィリピン(5.4%)に次ぎ中位となった。タイ(1.0%)、シンガポール(2.1%)、ベトナム(2.3%)を上回った。
社会経済研究センターのリー氏は、マレーシアの失業率がASEANで中位にあることについて、「雇用のミスマッチも一因となっている」と指摘する。マレーシアでは、地元人材はいわゆる「3K(危険、汚い、きつい)」職場を忌避する傾向にあり、外国人労働者に依存している一方で、熟練労働者となり得る人材が技能を必要としない職業に就いているケースも見られるという。
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マレーシア華人商工会議所(ACCCIM)傘下の社会経済研究センター(SERC)でエグゼクティブディレクターを務めるリー・ヘンギー氏は、NNAに対して、「ペナン州の一部の工場で人員削減の動きがあると聞いており、輸出も低迷しているが、今後大きな経済的打撃がなければ、失業率は今年末までにはコロナ流行前の水準まで回復するだろう」とコメント。ただ、コスト上昇に直面している企業は多く、採用活動にも影響が及ぶ可能性があると指摘した。
マレーシア中央銀行は今年3月、23年の失業率は3.5%とコロナ流行前の水準に近づくとの見通しを示した。
■ASEAN7カ国では中位
国際通貨基金(IMF)は、マレーシアの23年の失業率は3.6%と予測。24~28年は3.5%を維持していくと予測している。
IMFによると、22年のマレーシアの失業率は3.8%(マレーシア統計局の発表とは数値が異なる)で、東南アジア諸国連合(ASEAN)7カ国ではブルネイ(6.8%)、インドネシア(5.9%)、フィリピン(5.4%)に次ぎ中位となった。タイ(1.0%)、シンガポール(2.1%)、ベトナム(2.3%)を上回った。
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