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転職活動が活発化の見通し働き方変化、バランスを最重視

マレーシアでは、新型コロナウイルス禍からの経済活動の再開に伴い雇用状況が改善する中、転職活動が活発化する見通しだ。英国の人材紹介会社が実施した調査によると、マレーシアのホワイトカラー人材の9割以上が転職に積極的な姿勢を示しているという。コロナ禍で働き方が一変したことで、以前にも増して「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」を重視する人が増えている。

マレーシアでは、ホワイトカラー人材の9割以上が転職に積極的な姿勢を示しているという。写真は昼時に会社員が行き交うクアラルンプール中心部=2日(NNA撮影)

英国の人材紹介会社マイケル・ペイジが1日発表した調査結果によると、調査対象となったマレーシアのホワイトカラー人材(1,453人)の52%が「現在、転職活動をしている」、12%が「6カ月以内に転職活動を始める予定」と回答。検討中の人も含めると、転職に前向きな人は全体の95%に上り、昨年の92%から増加した。
東南アジアでは転職に前向きな人が多く、インドネシアとベトナムも95%でマレーシアと並び、フィリピン(93%)、シンガポール(92%)、タイ(89%)の順で続いた。一方、日本は69%にとどまった。
人材紹介会社ネオキャリア(東京都新宿区)の現地法人リーラコーエンマレーシアの小池卓也ゼネラルマネジャーは、「IT業界や製造業を主軸としながら、今年に入ってからは内需産業の需要拡大を背景に、飲食業やサービス業でも転職希望者は増えている」と話す。また、専門性の高い分野の人材や語学が堪能な人材は、引き続き売り手市場にあるという。
コロナ禍で在宅勤務が導入されるなど働き方が一変したことにより、マレーシアでも仕事そのものよりワークライフバランスを重視する人が増えているとされる。「仕事での成功よりも自身の心の健康やワークライフバランスを優先する」と答えた人は全体の6割に上った。
仕事の満足度につながる要素(複数回答)として「ワークライフバランス」を選んだ人は全体の54%で最多となった。東南アジア主要6カ国では、フィリピン(55%)に次ぎ、シンガポール(48%)、タイ(同)、インドネシア(47%)、ベトナム(42%)を上回った。
マレーシアでは、子どもがいる人の56%、子どもがいない人の53%がそれぞれ「ワークライフバランス」を選んでおり、子どもの有無はあまり関係ないことも浮き彫りとなった。このほか仕事の満足度につながる要素としては、「給与」(48%)、「昇進」(42%)、「社内評価」(35%)、「働き方(在宅勤務やフレックスタイム制などの導入)に関する就業規則」(29%)が挙がった。

リーラコーエンマレーシアの小池氏は、「会社文化や働き方など魅力的な部分を伝えられている企業の方が求職者に人気が高い傾向にある」と指摘。「企業は人的資本経営を意識して継続的に給与や待遇を見直していく必要があるほか、いかに社員とエンゲージメント(会社に対する愛着心や貢献意欲)を高めていけるか、職場での関係性や働き方を含めて、優秀な人材がいかに納得して働ける環境があるかが重要となる」との見方を示す。
■22年の離職率28%
マイケル・ペイジによると、マレーシアのホワイトカラー人材の離職率は新型コロナ流行前の2019年の9%から、20年には12%、21年には17%に上昇し、22年には28%に達した。調査対象者の64%が転職活動中または6カ月以内に転職活動を開始する予定としていることから、23年の離職率はさらに上昇すると予想している。
同社によると、世界的に景気と人材の転職への関心は相関関係にあり、景気が悪いほど転職に関心を示す人が増える傾向にあるという。マレーシアでは景気悪化時に新たな職を探すとした人は72%に上り、東南アジア主要6カ国ではインドネシア(77%)に次ぎ、タイ(67%)、フィリピン(64%)、シンガポール(59%)、ベトナム(54%)を上回った。

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東南アジアでは転職に前向きな人が多く、インドネシアとベトナムも95%でマレーシアと並び、フィリピン(93%)、シンガポール(92%)、タイ(89%)の順で続いた。一方、日本は69%にとどまった。
人材紹介会社ネオキャリア(東京都新宿区)の現地法人リーラコーエンマレーシアの小池卓也ゼネラルマネジャーは、「IT業界や製造業を主軸としながら、今年に入ってからは内需産業の需要拡大を背景に、飲食業やサービス業でも転職希望者は増えている」と話す。また、専門性の高い分野の人材や語学が堪能な人材は、引き続き売り手市場にあるという。
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リーラコーエンマレーシアの小池氏は、「会社文化や働き方など魅力的な部分を伝えられている企業の方が求職者に人気が高い傾向にある」と指摘。「企業は人的資本経営を意識して継続的に給与や待遇を見直していく必要があるほか、いかに社員とエンゲージメント(会社に対する愛着心や貢献意欲)を高めていけるか、職場での関係性や働き方を含めて、優秀な人材がいかに納得して働ける環境があるかが重要となる」との見方を示す。
■22年の離職率28%
マイケル・ペイジによると、マレーシアのホワイトカラー人材の離職率は新型コロナ流行前の2019年の9%から、20年には12%、21年には17%に上昇し、22年には28%に達した。調査対象者の64%が転職活動中または6カ月以内に転職活動を開始する予定としていることから、23年の離職率はさらに上昇すると予想している。
同社によると、世界的に景気と人材の転職への関心は相関関係にあり、景気が悪いほど転職に関心を示す人が増える傾向にあるという。マレーシアでは景気悪化時に新たな職を探すとした人は72%に上り、東南アジア主要6カ国ではインドネシア(77%)に次ぎ、タイ(67%)、フィリピン(64%)、シンガポール(59%)、ベトナム(54%)を上回った。" ["post_title"]=> string(78) "転職活動が活発化の見通し働き方変化、バランスを最重視" ["post_excerpt"]=> string(0) "" ["post_status"]=> string(7) "publish" ["comment_status"]=> string(4) "open" ["ping_status"]=> string(4) "open" ["post_password"]=> string(0) "" ["post_name"]=> string(198) "%e8%bb%a2%e8%81%b7%e6%b4%bb%e5%8b%95%e3%81%8c%e6%b4%bb%e7%99%ba%e5%8c%96%e3%81%ae%e8%a6%8b%e9%80%9a%e3%81%97%e5%83%8d%e3%81%8d%e6%96%b9%e5%a4%89%e5%8c%96%e3%80%81%e3%83%90%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%82%b9" ["to_ping"]=> string(0) "" ["pinged"]=> string(0) "" ["post_modified"]=> string(19) "2023-08-03 04:00:09" ["post_modified_gmt"]=> string(19) "2023-08-02 19:00:09" ["post_content_filtered"]=> string(0) "" ["post_parent"]=> int(0) ["guid"]=> string(34) "https://nnaglobalnavi.com/?p=14804" ["menu_order"]=> int(0) ["post_type"]=> string(4) "post" ["post_mime_type"]=> string(0) "" ["comment_count"]=> string(1) "0" ["filter"]=> string(3) "raw" }
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