韓国人留学生が５年で半減企業で需要薄、内向き志向を危惧

韓国人の海外留学生が減少傾向にある。2022年時点では５年前の５割水準まで落ち込んだ。企業で専門人材の需要が高まる中、語学スキルだけでは就職するのが難しくなっていることが要因の１つに挙げられる。こうした変化から、若者が内向き志向に傾く可能性を指摘する声も上がる。
韓国教育省によると、2022年の韓国人の海外留学生数は計12万4,320人と17年比で48.1％減少した。11年の26万2,465人をピークに減少が続き、20年以降は新型コロナウイルス禍の影響に伴い10万人台まで急減している。
留学生が最も減ったのは中国だ。17年の７万3,240人から22年は１万6,968人まで大幅に減少。コロナの影響が大きいが、19年時点（５万600人）でみても17年比で３割減少していた。17年の在韓米軍の高高度防衛ミサイル（ＴＨＡＡＤ）の韓国配備決定を巡る報復措置や、米中貿易戦争の激化などにより、韓国人の中国に対する国民感情が悪化したことも原因とみられる。
留学先の花形とされる米国も22年は３万9,491人と、17年比で35.3％減少した。一方、日本は１万4,247人と17年比で横ばい。日韓関係の改善もさることながら、パンデミック（世界的大流行）の懸念が残る中で距離的な近さが好まれているもようだ。
■「帰国組」の恩恵少なく
中国や米国などで留学生が減少している背景には、就職活動への影響の変化がある。毎日経済新聞によると、大手企業では最近、海外の大学で学士を取得した人材よりも、国内で専門性の高い学部を卒業した即戦力を求めるケースが増えているという。人材確保競争が激しくなる中、修士号や博士号の取得者でなければ「帰国組」が優遇されることはなくなっているようだ。
語学力にたけた若者が増えていることも一因だ。幼少期から「英語幼稚園」と呼ばれる高額の教育施設に通い、小学校への入学後もネーティブの家庭教師や塾などで英語を磨けば、留学生並みかそれ以上の語学力を身に付けることができる時代になった。
共有サイト（ＳＮＳ）の普及から、外国人との交流を通じて独学でもそれなりの語学スキルを高められる。経験値の面でみても、旅行などを通じて海外でさまざまな経験をした若者が増えており、留学生との差もなくなってきているのが実情だ。
■「キロギアッパ」も減少
韓国では2000年代、小学生から高校生の間に早期留学させる家庭が急増した。子どもと付き添いの母親を送り、韓国に残って生活費を送り続ける父は「キロギアッパ（渡り鳥の父）」と呼ばれ、社会問題にまで発展するほど一種のブームになっていた。
そんな早期留学生数も22年は3,604人と、２万人を超えていた05～08年に比べて６分の１程度まで減少している。
日本ではバルブ崩壊以降、若者の留学熱が急速に冷え込み、内向き志向が強まったといわれる。平均賃金が日本並みに上昇する韓国も、生活水準の向上とともに若者のハングリー精神がマイルドになりつつあり、内向き志向の広がりを危惧する声が高まっている。
感染症リスクが収まったとしても、留学生の数が以前の水準に戻ることは容易ではないとの見方も広がっている。

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■「帰国組」の恩恵少なく

中国や米国などで留学生が減少している背景には、就職活動への影響の変化がある。毎日経済新聞によると、大手企業では最近、海外の大学で学士を取得した人材よりも、国内で専門性の高い学部を卒業した即戦力を求めるケースが増えているという。人材確保競争が激しくなる中、修士号や博士号の取得者でなければ「帰国組」が優遇されることはなくなっているようだ。

語学力にたけた若者が増えていることも一因だ。幼少期から「英語幼稚園」と呼ばれる高額の教育施設に通い、小学校への入学後もネーティブの家庭教師や塾などで英語を磨けば、留学生並みかそれ以上の語学力を身に付けることができる時代になった。

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■「キロギアッパ」も減少

韓国では2000年代、小学生から高校生の間に早期留学させる家庭が急増した。子どもと付き添いの母親を送り、韓国に残って生活費を送り続ける父は「キロギアッパ（渡り鳥の父）」と呼ばれ、社会問題にまで発展するほど一種のブームになっていた。

そんな早期留学生数も22年は3,604人と、２万人を超えていた05～08年に比べて６分の１程度まで減少している。

日本ではバルブ崩壊以降、若者の留学熱が急速に冷え込み、内向き志向が強まったといわれる。平均賃金が日本並みに上昇する韓国も、生活水準の向上とともに若者のハングリー精神がマイルドになりつつあり、内向き志向の広がりを危惧する声が高まっている。

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