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8月大気汚染、前年より悪化首都政府は在宅勤務やEV推奨も

インドネシアの首都ジャカルタで、大気汚染の程度を示す大気質指数(AQI)が8月に入ってから高い状態が続いている。例年乾期は大気質が悪化するが、今年は前年の同時期と比べて指数の高い日が増えている。中央政府やジャカルタ特別州政府は緩和対策として、在宅勤務や電気自動車(EV)の利用推奨などを打ち出している。ただ、これらの対策は大気汚染の根本的な解決にはつながらないとの指摘もある。
世界各地のAQIを公表している非営利プロジェクト「ワールド・エア・クオリティー・インデックス」のデータによると、8月1~24日のジャカルタのAQIは、「健康に有害」(指数が151~200)が計11日、「敏感な人の健康に有害」(同101~150)が計13日で、指数が「普通」(51~100)と「良い」(0~50)の日はゼロだった。
前年の同時期は、健康に有害の日がゼロ、敏感な人の健康に有害が計16日、普通が計8日だったため、今年のほうがAQIの高い日が多い。
ジャカルタの8月のAQIは健康に有害な状態が続いているが、例年乾期に入ると大気汚染が悪化する傾向にある。今年は6月時点でジャワ島を含む大半の地域が乾期に入ったといい、ジャカルタでは5月中旬からAQIが上昇してきた。

■環境省はタスクフォース始動
これに対して、中央政府やジャカルタ特別州政府は対策に乗り出している。州政府は17日、州職員を対象に8月21日から10月21日まで、在宅勤務と出勤を半々とするハイブリッド型の勤務を実施すると発表した。18日には、州内の国家公務員と州政府機関の職員に対して、23日から毎週水曜日はガソリン車での通勤を禁止し、EVのみ使用を認めると発表した。
環境・林業省は21日、職員100人規模のタスクフォースを始動させた。汚染物質の発生源となる石炭火力やディーゼル発電などの発電所や、工場、廃棄物や電子廃棄物の焼却場の監視、自動車の排出ガス検査などを行う。
さらに内務省は22日、内相指示『2023年第2号』を公布・施行し、ジャカルタ特別州、バンテン州、西ジャワ州のそれぞれの州知事と州内の市長・県知事に対し、民間企業にハイブリッド勤務の導入を呼びかけるよう指示した。
また複数の地元メディアによると、検討段階の政策として、ジャカルタ特別州のヘル知事代行が州内の管理職以上の公務員に電動車の使用を義務付ける案や、ブディ運輸相がジャカルタへ乗り入れる車両に4人以上の乗車を求める「4 in 1」の導入を検討する方針を示した。
政府や州政府が、大気汚染対策を強化する背景に、ジャカルタでは、インドネシアが共同開催国となっている25日開幕の国際バスケットボール連盟(FIBA)の「FIBAバスケットボールワールドカップ」や、9月上旬に東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議(サミット)が開催されることもあるという。

8月に入り大気質指数の高い状態が続いているジャカルタ市内の様子=24日(NNA撮影)

■「在宅より公共交通改善を」と反対意見
ただ、こうした公務員への電動車の利用義務付けや在宅勤務推奨では、大気汚染問題の抜本的な解決にはつながらないとの声も根強い。
テンポ(電子版)が23日に伝えたところによると、ジャカルタ特別州議会のノファ議員(ナスデム党所属)は、新たに電動車を購入するのは容易ではなく、渋滞の原因にもなるとして、ヘル知事代行の政策を批判。ジャカルタの大気汚染対策には各種の規制強化で対応すべきだとの見解を示した。
また18日付国営アンタラ通信によると、インドネシア小児科医会(IDAI)のダルマワン氏は「大気汚染は新しい問題ではない」とした上で、大気汚染問題は、ウイルスのまん延を防ぐために在宅勤務を義務付けた新型コロナウイルス感染症対策とは異なると指摘。「在宅勤務を実施する代わりに、公共交通機関を改善するほうが重要だ」と述べた。
■経済的損失額、20兆~30兆ルピアと推計
大気汚染の悪化は健康被害に加え経済へ悪影響を与えることも懸念される。テンポ(電子版)の21日の報道では、サンディアガ・ウノ観光・創造経済相は、大気汚染による経済的な損失額が20兆~30兆ルピア(1,900億~2,850億円)に上るとの推計を示した。

ECサイトでは大気汚染の悪化に伴い空気清浄機などの健康関連商品の販促をしている(画像はトコペディアのスクリーンショット)

他方で、地場電子商取引(EC)サイトのトコペディアやブリブリドットコムでは、空気清浄機やマスクなどの対策商品を扱う特設ページを設け、値引きを含めた販促活動を展開している。

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前年の同時期は、健康に有害の日がゼロ、敏感な人の健康に有害が計16日、普通が計8日だったため、今年のほうがAQIの高い日が多い。
ジャカルタの8月のAQIは健康に有害な状態が続いているが、例年乾期に入ると大気汚染が悪化する傾向にある。今年は6月時点でジャワ島を含む大半の地域が乾期に入ったといい、ジャカルタでは5月中旬からAQIが上昇してきた。

■環境省はタスクフォース始動
これに対して、中央政府やジャカルタ特別州政府は対策に乗り出している。州政府は17日、州職員を対象に8月21日から10月21日まで、在宅勤務と出勤を半々とするハイブリッド型の勤務を実施すると発表した。18日には、州内の国家公務員と州政府機関の職員に対して、23日から毎週水曜日はガソリン車での通勤を禁止し、EVのみ使用を認めると発表した。
環境・林業省は21日、職員100人規模のタスクフォースを始動させた。汚染物質の発生源となる石炭火力やディーゼル発電などの発電所や、工場、廃棄物や電子廃棄物の焼却場の監視、自動車の排出ガス検査などを行う。
さらに内務省は22日、内相指示『2023年第2号』を公布・施行し、ジャカルタ特別州、バンテン州、西ジャワ州のそれぞれの州知事と州内の市長・県知事に対し、民間企業にハイブリッド勤務の導入を呼びかけるよう指示した。
また複数の地元メディアによると、検討段階の政策として、ジャカルタ特別州のヘル知事代行が州内の管理職以上の公務員に電動車の使用を義務付ける案や、ブディ運輸相がジャカルタへ乗り入れる車両に4人以上の乗車を求める「4 in 1」の導入を検討する方針を示した。
政府や州政府が、大気汚染対策を強化する背景に、ジャカルタでは、インドネシアが共同開催国となっている25日開幕の国際バスケットボール連盟(FIBA)の「FIBAバスケットボールワールドカップ」や、9月上旬に東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議(サミット)が開催されることもあるという。

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■「在宅より公共交通改善を」と反対意見
ただ、こうした公務員への電動車の利用義務付けや在宅勤務推奨では、大気汚染問題の抜本的な解決にはつながらないとの声も根強い。
テンポ(電子版)が23日に伝えたところによると、ジャカルタ特別州議会のノファ議員(ナスデム党所属)は、新たに電動車を購入するのは容易ではなく、渋滞の原因にもなるとして、ヘル知事代行の政策を批判。ジャカルタの大気汚染対策には各種の規制強化で対応すべきだとの見解を示した。
また18日付国営アンタラ通信によると、インドネシア小児科医会(IDAI)のダルマワン氏は「大気汚染は新しい問題ではない」とした上で、大気汚染問題は、ウイルスのまん延を防ぐために在宅勤務を義務付けた新型コロナウイルス感染症対策とは異なると指摘。「在宅勤務を実施する代わりに、公共交通機関を改善するほうが重要だ」と述べた。
■経済的損失額、20兆~30兆ルピアと推計
大気汚染の悪化は健康被害に加え経済へ悪影響を与えることも懸念される。テンポ(電子版)の21日の報道では、サンディアガ・ウノ観光・創造経済相は、大気汚染による経済的な損失額が20兆~30兆ルピア(1,900億~2,850億円)に上るとの推計を示した。[caption id="attachment_15192" align="aligncenter" width="620"]ECサイトでは大気汚染の悪化に伴い空気清浄機などの健康関連商品の販促をしている(画像はトコペディアのスクリーンショット)[/caption]
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