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スマホのメイズが車製造参入自社ブランド創出へ、ソフト強み

中国自動車大手の浙江吉利控股集団(浙江省杭州市)傘下で、スマートフォンを手がける星紀魅族集団(メイズ)は11月30日、自動車製造に乗り出す考えを表明した。メイズブランドの自動車製造計画を2024年第1四半期(1~3月)に本格的に始動する。これまで培ったソフトウエア技術を自動車製造で生かす狙いで、スマホメーカーが自動車製造市場に参入する潮流に追随する。
メイズは、第1弾モデルを「メイズ ドリームカー MX」と銘打って発売する予定。中国自動車市場の競争は激烈だが、購入者がボディーカラーや内装の配色をカスタマイズできるようにすること、ソフトウエア面で質の高いサービスを提供することなどを強みに、競争を勝ち抜く考え。
このうちソフトウエア分野は、22年に発表した自社の車載ソフトウエア「FlymeAuto(フライミーオート)」を軸とする。同ソフトウエアは、既に吉利とボルボ・カーの合弁高級自動車ブランド「LYNK&CO(領克)」に搭載するなどの実績を上げている。
メイズはスマホの基本ソフト(OS)も手がけており、フライミーオートと同社のスマホOSとの連携を強化する計画も表明。同社のスマホと自動車を同時に利用する人には、より質の高いサービスを提供し、顧客の囲い込みを図る。
メイズは今年から、自社のスマホ販売店を領克ブランドの自動車を展示・販売する場として活用し始めており、メイズブランドの自動車もスマホ販売店を通じて売り込むとみられる。
中国の自動車業界は現在スマート化の時代を迎えており、ソフトウエア技術の高さが求められるようになっている。こうした状況の中、ソフトウエア分野で消費者の関心を集められれば、自動車製造事業を成長軌道に乗せられる可能性がある。
■最初の車種が勝負
ソフトウエア技術に強みを持つスマホメーカーが自動車製造に参入する動きは他にもある。
華為技術(ファーウェイ)は、中国自動車メーカーの賽力斯集団(セレス)と「新エネルギー車(NEV)」ブランド「AITO」を展開。ファーウェイが開発したソフトウエアを搭載しており、9月に同ブランドから発売した「問界新M7」は販売台数が既に10万台を超えるなど消費者から上々の反応を得ている。
小米科技(シャオミ)は11月15日に中国工業情報省(工情省)から電気自動車(EV)の生産に関する認可を取得。24年上半期(1~6月)にも納車を開始する可能性がある。
ファーウェイとシャオミはスマホなどの電気製品分野で世界的な成功を収めており、ブランド力や販売網の広さではメイズをしのぐ。メイズはこうした企業がひしめく中、ソフトウエアなどの分野で存在感を放つことが求められる。
ニュースサイトの界面新聞によると、自動車業界の専門家は、ファーウェイのような巨大企業でも自動車業界への参入には長期間の準備と巨額の資金を要したと説明し、メイズの自動車製造事業での成功は簡単ではないとの見方を示した。
その上で、メイズは最初にどのような車種を投入するかが鍵になると指摘。最初の車種が消費者の予想を上回る斬新さや価値を伴っていれば、市場で一定の地位を築ける可能性があると見通した。
■本業も強化、シェアトップ5目指す
メイズは11月30日、スマホやスマートグラスの新製品の発表も行った。スマホの新製品の価格は3,000元(約6万2,300円)台に設定。スマートグラスは、「MYVU」という新ブランドから製品を発表し、価格は2,499元からとした。世界最軽量となる43グラムの製品も取りそろえた。
毎日経済新聞(電子版)によると、メイズの沈子瑜・最高経営責任者(CEO)は、このうち本業であるスマホ事業の復活に強い意欲を表明。24年のスマホ販売台数を前年比2倍にする考えを示したほか、向こう3年以内に国内の中高価格帯市場のシェアでトップ5に入ることができると強調した。
メイズは15~17年のスマホ出荷台数が年間2,000万台前後で推移。ただ、18年には948万台に減少。その後は、中国の主要スマホメーカーの地位から脱落した。
22年に吉利の傘下に入ったことを機に、スマホ事業の再興や自動車事業の拡大に向けた措置を相次ぎ打ち出している。

メイズは自社ブランドの自動車製造計画を24年第1四半期に本格的に始動する。第1弾モデルは「メイズ ドリームカー MX」と銘打って発売する予定(同社ウェブサイトより)
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メイズは、第1弾モデルを「メイズ ドリームカー MX」と銘打って発売する予定。中国自動車市場の競争は激烈だが、購入者がボディーカラーや内装の配色をカスタマイズできるようにすること、ソフトウエア面で質の高いサービスを提供することなどを強みに、競争を勝ち抜く考え。
このうちソフトウエア分野は、22年に発表した自社の車載ソフトウエア「FlymeAuto(フライミーオート)」を軸とする。同ソフトウエアは、既に吉利とボルボ・カーの合弁高級自動車ブランド「LYNK&CO(領克)」に搭載するなどの実績を上げている。
メイズはスマホの基本ソフト(OS)も手がけており、フライミーオートと同社のスマホOSとの連携を強化する計画も表明。同社のスマホと自動車を同時に利用する人には、より質の高いサービスを提供し、顧客の囲い込みを図る。
メイズは今年から、自社のスマホ販売店を領克ブランドの自動車を展示・販売する場として活用し始めており、メイズブランドの自動車もスマホ販売店を通じて売り込むとみられる。
中国の自動車業界は現在スマート化の時代を迎えており、ソフトウエア技術の高さが求められるようになっている。こうした状況の中、ソフトウエア分野で消費者の関心を集められれば、自動車製造事業を成長軌道に乗せられる可能性がある。
■最初の車種が勝負
ソフトウエア技術に強みを持つスマホメーカーが自動車製造に参入する動きは他にもある。
華為技術(ファーウェイ)は、中国自動車メーカーの賽力斯集団(セレス)と「新エネルギー車(NEV)」ブランド「AITO」を展開。ファーウェイが開発したソフトウエアを搭載しており、9月に同ブランドから発売した「問界新M7」は販売台数が既に10万台を超えるなど消費者から上々の反応を得ている。
小米科技(シャオミ)は11月15日に中国工業情報省(工情省)から電気自動車(EV)の生産に関する認可を取得。24年上半期(1~6月)にも納車を開始する可能性がある。
ファーウェイとシャオミはスマホなどの電気製品分野で世界的な成功を収めており、ブランド力や販売網の広さではメイズをしのぐ。メイズはこうした企業がひしめく中、ソフトウエアなどの分野で存在感を放つことが求められる。
ニュースサイトの界面新聞によると、自動車業界の専門家は、ファーウェイのような巨大企業でも自動車業界への参入には長期間の準備と巨額の資金を要したと説明し、メイズの自動車製造事業での成功は簡単ではないとの見方を示した。
その上で、メイズは最初にどのような車種を投入するかが鍵になると指摘。最初の車種が消費者の予想を上回る斬新さや価値を伴っていれば、市場で一定の地位を築ける可能性があると見通した。
■本業も強化、シェアトップ5目指す
メイズは11月30日、スマホやスマートグラスの新製品の発表も行った。スマホの新製品の価格は3,000元(約6万2,300円)台に設定。スマートグラスは、「MYVU」という新ブランドから製品を発表し、価格は2,499元からとした。世界最軽量となる43グラムの製品も取りそろえた。
毎日経済新聞(電子版)によると、メイズの沈子瑜・最高経営責任者(CEO)は、このうち本業であるスマホ事業の復活に強い意欲を表明。24年のスマホ販売台数を前年比2倍にする考えを示したほか、向こう3年以内に国内の中高価格帯市場のシェアでトップ5に入ることができると強調した。
メイズは15~17年のスマホ出荷台数が年間2,000万台前後で推移。ただ、18年には948万台に減少。その後は、中国の主要スマホメーカーの地位から脱落した。
22年に吉利の傘下に入ったことを機に、スマホ事業の再興や自動車事業の拡大に向けた措置を相次ぎ打ち出している。
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