韓国の在宅勤務日数が世界で最も少ないことが、米調査会社WFHリサーチの調べで分かった。業務効率の悪化やコミュニケーション不足を懸念する企業が、在宅勤務制の廃止や縮小を進めているためだ。一方、新型コロナウイルス禍以降、在宅勤務の希望者は増加傾向にある。
企業は在宅勤務体制の廃止や縮小を進めているが、在宅勤務を希望する労働者は増えている=韓国・ソウル、2023年12月(NNA撮影)
WFHリサーチによると、韓国の1週間当たりの在宅勤務日数は平均0.4日で、調査対象となった34カ国・地域の平均(0.9日)を大きく下回り全世界でも最低水準だった。アジア地域で見ても、アジア最多のシンガポール(0.9日)や日本(0.5日)を下回った。最多はカナダ(1.7日)で、英国(1.5日)、米国(1.4日)など欧米諸国は在宅日数が多かった。
毎日経済新聞が韓国統計庁の経済活動人口を分析した結果、今年8月時点で在宅で勤務する人は68万3,000人と前年比で28.6%減少した。16~19年の4年間では年平均約7万人が増え、コロナ禍の21年には114万人と初めて100万人を超えるまで拡大していたが、経済再開(リオープン)を機に減少に転じた。
韓国経済団体の韓国経営者総協会が9月に実施した調査によると、売上高ベースで上位50社の大企業のうち38.7%が「コロナ禍で(在宅を)実施した時期があったが、現在は行っていない」と回答した。一方「在宅勤務を行っている」と回答したのは58.1%で、売上高で上位100社を対象に調査した21年の91.5%、22年の72.7%に比べて大幅に減少した。
■IT企業も出社に転換
働き方改革に積極的だったIT企業も原則出社に切り替えている。全面的な在宅勤務体制を導入していたIT大手カカオや通信大手SKテレコム(SKT)は現在、週1回在宅など一部導入にとどめている。ネットマーブルやNCソフトといったゲーム会社も、業績悪化の影響もあって在宅勤務の廃止を決めた。
在宅勤務は◇業務効率化の難しさ◇上司や同僚とのコミュニケーション不足◇勤怠管理の難しさ——といった課題があり、廃止や縮小を進める企業の動きは一段と広がる可能性がある。
一方、従業員側は在宅を希望する人が増えている。毎日経済新聞の分析結果によると、柔軟な勤務体制を活用していない企業の在宅勤務希望者は141万5,000人と、過去最大を記録した。就職サイト「インクルート」の調査では、在宅勤務中の70.3%が今後、在宅勤務制度が廃止・縮小する場合に「転職を検討する」と回答した。
韓国では労働時間の上限を引き下げる「週52時間労働時間制」が導入された18年以来、働き方改革の機運が高まっていた。コロナ禍を機にリモートワークの普及が一段と進んだが、近年は世界的な金融引き締めや物価高などで経営環境が悪化したことで出社を促す企業が目立つ。
企業経営への逆風が強まる中、勤務形態を巡る働き方のバランスはなお手探りが続くもようだ。
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毎日経済新聞が韓国統計庁の経済活動人口を分析した結果、今年8月時点で在宅で勤務する人は68万3,000人と前年比で28.6%減少した。16~19年の4年間では年平均約7万人が増え、コロナ禍の21年には114万人と初めて100万人を超えるまで拡大していたが、経済再開(リオープン)を機に減少に転じた。
韓国経済団体の韓国経営者総協会が9月に実施した調査によると、売上高ベースで上位50社の大企業のうち38.7%が「コロナ禍で(在宅を)実施した時期があったが、現在は行っていない」と回答した。一方「在宅勤務を行っている」と回答したのは58.1%で、売上高で上位100社を対象に調査した21年の91.5%、22年の72.7%に比べて大幅に減少した。
■IT企業も出社に転換
働き方改革に積極的だったIT企業も原則出社に切り替えている。全面的な在宅勤務体制を導入していたIT大手カカオや通信大手SKテレコム(SKT)は現在、週1回在宅など一部導入にとどめている。ネットマーブルやNCソフトといったゲーム会社も、業績悪化の影響もあって在宅勤務の廃止を決めた。
在宅勤務は◇業務効率化の難しさ◇上司や同僚とのコミュニケーション不足◇勤怠管理の難しさ——といった課題があり、廃止や縮小を進める企業の動きは一段と広がる可能性がある。
一方、従業員側は在宅を希望する人が増えている。毎日経済新聞の分析結果によると、柔軟な勤務体制を活用していない企業の在宅勤務希望者は141万5,000人と、過去最大を記録した。就職サイト「インクルート」の調査では、在宅勤務中の70.3%が今後、在宅勤務制度が廃止・縮小する場合に「転職を検討する」と回答した。
韓国では労働時間の上限を引き下げる「週52時間労働時間制」が導入された18年以来、働き方改革の機運が高まっていた。コロナ禍を機にリモートワークの普及が一段と進んだが、近年は世界的な金融引き締めや物価高などで経営環境が悪化したことで出社を促す企業が目立つ。
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