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大湾区事業環境を世界一流に中央が3年計画、往来利便化など

中国中央政府の国家発展改革委員会(発改委)は25日、広東省の珠江デルタ9市と香港、マカオで形成する一大経済圏「粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)」のビジネス環境を国際的に一流の水準に引き上げるための3年計画「粤港澳大湾区国際一流営商環境建設三年行動計画」を発表した。香港、マカオと中国本土側9市の間で往来の利便性を一段と高めることなどを盛り込んだ。
同計画は中国における大湾区の位置づけについて「対外開放の程度が最も高く、経済の活力が最も強い地域の一つであり、国家発展の大局で戦略的に重要な地位を占める」と指摘。「市場化、法治化、国際化された一流のビジネス環境を作り、大湾区の市場一体化と国際競争力を向上させる」ことが3年計画の目的だと説明した。
■外国人の永久居民にビザ便宜
具体的な政策の方向性として注目されるのは、大湾区内での人材流動を高めるための施策だ。香港、マカオの永住(永久居民)資格を持つ外国人に対し、商談や学術交流で本土側9市を訪れやすいよう、長期ビザ(査証)の便宜を図る方針を打ち出した。
香港、マカオと広東省の間にある検問所では、香港またはマカオ側と本土側の手続きを1カ所に集約する「一地両検」方式や、新方式「共同審査、一度に通過許可」の導入を推進して出入境の効率性を高める。このうち「共同審査、一度に通過許可」は、両地の出入境審査を完全に一体化する「両地一検」に極めて近い形を想定している。需要に応じて24時間開放の検問所も増やす。
香港、マカオの優秀な人材を本土に取り込むため、各種インセンティブプランや子どもの教育、商業医療保険などに関する施策を実施する。優秀な外国人材には本土永住権の申請で便宜を図る。域内では戸籍や学歴などにかかわらず、地域、業種、所有制(国有、私有など)の枠を超えて人材の流動を促進する。
香港、マカオの専門人材が大湾区の本土側で開業しやすいよう、重点分野を対象に資格制度を見直す。中国籍を持つ香港人、マカオ人が大湾区の本土側で公務員となることも後押しししていく。
■投資規制さらに緩和
香港、マカオから本土側9市への投資については、両地がそれぞれ本土と結んでいる経済・貿易関係緊密化協定(CEPA)の枠組みの中で規制緩和を一段と進める。投資家の資質に関する条件や持ち株比率、業種ごとの参入制限などが緩和の対象。地域をまたいでの経営や企業の移転に対する不合理な障壁を撤廃し、生産要素の流動性を高める方針も掲げた。
中央政府が定めている本土への外資参入制限リスト(外資ネガティブリスト)に含まれていない分野では、香港、マカオ企業による事業入札や政府調達への参加、企業への権益保護において存在する差別的な待遇を一掃する。
香港、マカオ以外の外資による本土側への投資誘致も強化する。特に先進国の製造業、現代サービス業、戦略性新興産業からの投資を誘致し、多国籍企業や国際組織が大湾区に本部機能を置くよう働きかけていく。外資企業からのクレームへの対応を見直し、行政が迅速にクレームを処理することで外資の権益を保護するとした。
このほか、公共料金の適正化と不合理な手数料請求の廃止を通じて本土側での経営コストを引き下げることや、企業を悩ませる未収債権の回収問題について解決のための取り組みを強化することなども盛り込んでいる。
3年計画の詳細は中国発改委の公式ウェブサイト<https://www.ndrc.gov.cn/xxgk/zcfb/ghwb/202312/t20231225_1362911.html>で確認できる。

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■外国人の永久居民にビザ便宜
具体的な政策の方向性として注目されるのは、大湾区内での人材流動を高めるための施策だ。香港、マカオの永住(永久居民)資格を持つ外国人に対し、商談や学術交流で本土側9市を訪れやすいよう、長期ビザ(査証)の便宜を図る方針を打ち出した。
香港、マカオと広東省の間にある検問所では、香港またはマカオ側と本土側の手続きを1カ所に集約する「一地両検」方式や、新方式「共同審査、一度に通過許可」の導入を推進して出入境の効率性を高める。このうち「共同審査、一度に通過許可」は、両地の出入境審査を完全に一体化する「両地一検」に極めて近い形を想定している。需要に応じて24時間開放の検問所も増やす。
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■投資規制さらに緩和
香港、マカオから本土側9市への投資については、両地がそれぞれ本土と結んでいる経済・貿易関係緊密化協定(CEPA)の枠組みの中で規制緩和を一段と進める。投資家の資質に関する条件や持ち株比率、業種ごとの参入制限などが緩和の対象。地域をまたいでの経営や企業の移転に対する不合理な障壁を撤廃し、生産要素の流動性を高める方針も掲げた。
中央政府が定めている本土への外資参入制限リスト(外資ネガティブリスト)に含まれていない分野では、香港、マカオ企業による事業入札や政府調達への参加、企業への権益保護において存在する差別的な待遇を一掃する。
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