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中村哲医師の「生き様」伝道上映会、ミャンマーで共感の声

「中村哲医師の生きざまを伝えたい」——。ミャンマーの日本人関係者が主導し、最大都市ヤンゴンで11日までの3日間の日程でドキュメンタリー映画『荒野に希望の灯をともす』の自主上映会を開催した。福岡市の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」の現地代表としてアフガニスタン支援に尽力した中村さんの半生を追った作品で、日本で働く予定のミャンマーの若者らが視聴。他人のために生きた姿には、共感の声が多数出た。【小故島弘善】

中村哲医師を追ったドキュメンタリー映画「荒野に希望の灯をともす」を視聴するミャンマー人=9日、ヤンゴン(NNA)

映画は中村さんがパキスタン北西部ペシャワルの病院へ赴任した1984年から、アフガン難民危機に直面した後の同国の医療支援、2000年代の大干ばつを受けた農業・農村復興事業「緑の大地計画」着手などの35年を追った作品。中村さんは19年12月、73歳で銃弾に倒れた。日本電波ニュース社(東京)が製作し、22年に日本公開が始まった。
監督を務める谷津賢二(やつ・けんじ)さんは22年ぶりにミャンマー入りし、「純粋に先生の遺志を伝えたい」と話した。ミャンマー人300人以上の前での講演では、中村さんが、ミャンマーで「プラヒータ」と呼ばれる利他主義を実践した人だったと強調。ヒトには民族や宗教などの差を乗り越えて共有する良心や平和、希望などがあり、それを見つめ続けて生きた人であったと振り返った。
中村さんの「仕事は自分のためにあるんじゃない。他者のためにすることが仕事だ」という仕事観も紹介し、ミャンマーの若者に「みんなの活躍で誰かが笑顔になることがある」とエールを送った。

谷津さんの講演の様子=9日、ヤンゴン(NNA)

「彼らは殺すために空を飛び、われわれは生きるために地面を掘る」
「平和は戦争以上に積極的な力でなければならぬ」
映画では、中村さんが残した数々の言葉を主役として製作した。アフガンは、ソ連の軍事介入(1979~89年)、2001年9月1日に米ニューヨークで発生した同時多発テロ「9・11」とそれ以降の米軍によるアフガン報復攻撃などに翻弄(ほんろう)された。こうした中で中村さんは命の尊さを唱え、食糧支援や「緑の大地計画」に尽力した。同計画で最も大規模な「マルワリード用水路」建設事業では、6年を費やしてクナール川ジャリババからガンベリ砂漠までの長さ25キロメートルを整備し、近隣地域の農業復興に貢献した。

講演を聴くミャンマー人=9日、ヤンゴン(NNA)

■「家族支える」
上映会を主催したのは、人材紹介会社ジェイサット(J—SAT、本拠・ヤンゴン)。初日には同グループの日本語学校の生徒を集めた。
ミャンマーでは21年2月のクーデター以降、各地で政情不安が続く。9日に上映・講演会を視聴した生徒の多くは、政変後に日本語学習を始め、家族を養うために日本で働く若者だ。「弟と妹が故郷にいる。私が頑張らなければならない」(北部ザガイン地域出身、女性)。
中部マグウェ地域出身の男性は、日本で技能実習生として働いた後、祖国でレストランを開くことが夢だ。中村さんの苦難に対し、「いろいろな教えがあったが、試行錯誤をして諦めない姿が印象的だった」と語った。
ザガイン地域出身の男性は「互いを尊敬し合うこと、人生について考えさせられた」と話した。
ジェイサットの代表を務める西垣充さんは「中村先生の生きざまをより多くのミャンマー人に知ってほしい」と話した。上映会は、社員や現地に滞在する日本人向けにも開催した。

ジェイサットの西垣さん=9日、ヤンゴン(NNA)
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映画は中村さんがパキスタン北西部ペシャワルの病院へ赴任した1984年から、アフガン難民危機に直面した後の同国の医療支援、2000年代の大干ばつを受けた農業・農村復興事業「緑の大地計画」着手などの35年を追った作品。中村さんは19年12月、73歳で銃弾に倒れた。日本電波ニュース社(東京)が製作し、22年に日本公開が始まった。
監督を務める谷津賢二(やつ・けんじ)さんは22年ぶりにミャンマー入りし、「純粋に先生の遺志を伝えたい」と話した。ミャンマー人300人以上の前での講演では、中村さんが、ミャンマーで「プラヒータ」と呼ばれる利他主義を実践した人だったと強調。ヒトには民族や宗教などの差を乗り越えて共有する良心や平和、希望などがあり、それを見つめ続けて生きた人であったと振り返った。
中村さんの「仕事は自分のためにあるんじゃない。他者のためにすることが仕事だ」という仕事観も紹介し、ミャンマーの若者に「みんなの活躍で誰かが笑顔になることがある」とエールを送った。
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「彼らは殺すために空を飛び、われわれは生きるために地面を掘る」
「平和は戦争以上に積極的な力でなければならぬ」
映画では、中村さんが残した数々の言葉を主役として製作した。アフガンは、ソ連の軍事介入(1979~89年)、2001年9月1日に米ニューヨークで発生した同時多発テロ「9・11」とそれ以降の米軍によるアフガン報復攻撃などに翻弄(ほんろう)された。こうした中で中村さんは命の尊さを唱え、食糧支援や「緑の大地計画」に尽力した。同計画で最も大規模な「マルワリード用水路」建設事業では、6年を費やしてクナール川ジャリババからガンベリ砂漠までの長さ25キロメートルを整備し、近隣地域の農業復興に貢献した。
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■「家族支える」
上映会を主催したのは、人材紹介会社ジェイサット(J—SAT、本拠・ヤンゴン)。初日には同グループの日本語学校の生徒を集めた。
ミャンマーでは21年2月のクーデター以降、各地で政情不安が続く。9日に上映・講演会を視聴した生徒の多くは、政変後に日本語学習を始め、家族を養うために日本で働く若者だ。「弟と妹が故郷にいる。私が頑張らなければならない」(北部ザガイン地域出身、女性)。
中部マグウェ地域出身の男性は、日本で技能実習生として働いた後、祖国でレストランを開くことが夢だ。中村さんの苦難に対し、「いろいろな教えがあったが、試行錯誤をして諦めない姿が印象的だった」と語った。
ザガイン地域出身の男性は「互いを尊敬し合うこと、人生について考えさせられた」と話した。
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