台湾のホテルと外資ホテルとの提携が相次いでいる。台湾側のホテルは提携により、会員や管理システム、国際レベルのサービス、ブランド力といった外資ホテルが持つメリットを生かして、宿泊者の取り込み強化につなげたい考えだ。台湾建設大手の麗宝集団傘下の福容大飯店(フーロンホテル)は、英インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ(IHG)と提携し、IHGの「voco(ボコ)」ブランドのホテル「嘉義福容voco酒店」を4月にプレオープンした。福容大飯店による国際ブランドとの提携や、vocoブランドの台湾進出はいずれも初めて。【安藤千晶、張成慧】
嘉義福容voco酒店のフロント=4月、嘉義(NNA撮影)
台湾高速鉄路(台湾高鉄)嘉義駅から嘉義市中心部に向かって車で走ること約20分。ひと際目立つ真新しい高層ビルが目に入った。嘉義福容voco酒店だ。ホテルに入ると、広々としたフロントの背後には「voco」のロゴがあしらわれ、スタイリッシュな印象。ロビーにはカフェレストランがあり、椅子も多くゆったりと過ごせそうだ。
同ホテルは地上33階、地下5階建て。客室数は370室に上る。麗宝集団の担当者によると、嘉義と雲林のエリアでは最も高層のホテルで、客室やレストランからは嘉義市内を一望できる。
台湾最大規模のホテルチェーンブランドである福容大飯店が外資ホテルと提携した理由は何か。嘉義福容voco酒店の銭エン文・駐店総経理(エン=女へんに燕)に尋ねると、標準化されたハイエンドなサービスを宿泊者に提供できるメリットを挙げた。
銭氏によると、vocoのホテルは世界各地で展開されているが、「ホテルに入った時の匂いや客室の装飾品、レストランの物品まで、各地のホテルの雰囲気は統一されている」と話す。IHGは基準を設けており、年1回の評価も実施。不足点があれば修正を求められるという。
そしてもう一つの大きなメリットが、外資ホテルが膨大な数の会員を擁している点だ。IHGは傘下に19ブランドを抱え、その会員数は世界で1億人を超えるという。
嘉義福容voco酒店の銭エン文・駐店総経理=4月、嘉義(NNA撮影)
会員は台湾にも多いといい、嘉義福容voco酒店は宿泊客のターゲットをIHG会員に定める。銭氏によると、4月の清明節連休(4~7日)の稼働率は9割に上り、好調な出だしとなったが、宿泊客のうち8割をIHGの会員が占めた。
銭氏は、福容大飯店と国際ブランドホテルとの新たな提携計画について、「いかなる可能性も排除しない」とコメント。台北市の円山エリアや屏東県の東港鎮での展開について話し合いを進めていると明らかにした。
嘉義福容voco酒店の外観(麗宝集団提供)
■阿里山観光の拠点に
嘉義は台北や台南など台湾の他都市と比べて、外国人観光客が少ないイメージがあるが、国際ブランドとの提携第1弾のホテルの開業地になぜ嘉義を選んだのかについて、銭氏は「嘉義の観光産業の発展を見込んでいたため」と述べた。
嘉義は台湾を代表する景勝地、阿里山へ向かう観光客の出発点となっている。阿里山森林鉄路(阿里山鉄道)の始発駅である嘉義駅とホテルは車で10分ほどと近く、今後は阿里山森林鉄路とのコラボ商品を打ち出す計画もある。日本人は阿里山観光が好きな人が多いとして、日本人宿泊客の呼び込みにも期待を示した。
嘉義福容voco酒店の客室の様子=4月、嘉義(NNA撮影)
また嘉義では、ファウンドリー(半導体の受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が今年5月に工場を着工する予定であることが明らかになっている。関連産業の発展が期待される中、銭氏は「オフィスやレストランの需要にもつながるはずだ」と楽観的な見方を示した。嘉義福容voco酒店は8~15階がオフィスとなっており、6月以降に企業が順次入居する見通しとなっている。
■台北艾麗酒店はヒルトンに加盟
台湾のホテルと外資ホテルとの提携は今年に入って特に目立ち始めた。台北市信義区のホテル、台北艾麗酒店(ハンブルハウス台北)は1月、米高級ホテルのヒルトン傘下のブランド「キュリオ・コレクション・バイ・ヒルトン」へ昨年末に加盟したと発表した。同ブランドは台湾初進出となる。
担当者は、加盟を通じて宿泊客はヒルトンのホテル特典プログラム「ヒルトン・オナーズ」のポイント獲得や特典利用ができるようになるほか、台北艾麗酒店はヒルトンのブランドイメージを活用して、さらに多くの宿泊客を取り込むことができるとみていると説明した。
台湾のホテルと外資ホテルとの提携を巡っては、台北市大安区の台北福華大飯店(ハワードプラザホテル台北)も1月、ホテルチェーン世界大手の米マリオット・インターナショナルと契約したと発表。数十億台湾元(10億台湾元=約48億5,000万円)を投入し改装を行い、「ザ・ハワード・台北、オートグラフ・コレクション」としてオープンする。2026年半ばに完工する見込み。
銭氏は「世界各地のホテルが国際的なホテルグループに加盟する背景には、標準化された管理と会員の多さがある。これは業界の大きな傾向だ」と分析した。
台湾のホテルチェーン大手、晶華国際酒店集団の担当者は、台湾のホテルと外資ホテルとの提携が進んでいることについて「台湾のホテルだけでなく、台湾や台北の世界での知名度向上につながる」と述べ、期待感を示した。
嘉義福容voco酒店のカフェレストラン=4月、嘉義(NNA撮影)
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台湾高速鉄路(台湾高鉄)嘉義駅から嘉義市中心部に向かって車で走ること約20分。ひと際目立つ真新しい高層ビルが目に入った。嘉義福容voco酒店だ。ホテルに入ると、広々としたフロントの背後には「voco」のロゴがあしらわれ、スタイリッシュな印象。ロビーにはカフェレストランがあり、椅子も多くゆったりと過ごせそうだ。
同ホテルは地上33階、地下5階建て。客室数は370室に上る。麗宝集団の担当者によると、嘉義と雲林のエリアでは最も高層のホテルで、客室やレストランからは嘉義市内を一望できる。
台湾最大規模のホテルチェーンブランドである福容大飯店が外資ホテルと提携した理由は何か。嘉義福容voco酒店の銭エン文・駐店総経理(エン=女へんに燕)に尋ねると、標準化されたハイエンドなサービスを宿泊者に提供できるメリットを挙げた。
銭氏によると、vocoのホテルは世界各地で展開されているが、「ホテルに入った時の匂いや客室の装飾品、レストランの物品まで、各地のホテルの雰囲気は統一されている」と話す。IHGは基準を設けており、年1回の評価も実施。不足点があれば修正を求められるという。
そしてもう一つの大きなメリットが、外資ホテルが膨大な数の会員を擁している点だ。IHGは傘下に19ブランドを抱え、その会員数は世界で1億人を超えるという。
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会員は台湾にも多いといい、嘉義福容voco酒店は宿泊客のターゲットをIHG会員に定める。銭氏によると、4月の清明節連休(4~7日)の稼働率は9割に上り、好調な出だしとなったが、宿泊客のうち8割をIHGの会員が占めた。
銭氏は、福容大飯店と国際ブランドホテルとの新たな提携計画について、「いかなる可能性も排除しない」とコメント。台北市の円山エリアや屏東県の東港鎮での展開について話し合いを進めていると明らかにした。
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■阿里山観光の拠点に
嘉義は台北や台南など台湾の他都市と比べて、外国人観光客が少ないイメージがあるが、国際ブランドとの提携第1弾のホテルの開業地になぜ嘉義を選んだのかについて、銭氏は「嘉義の観光産業の発展を見込んでいたため」と述べた。
嘉義は台湾を代表する景勝地、阿里山へ向かう観光客の出発点となっている。阿里山森林鉄路(阿里山鉄道)の始発駅である嘉義駅とホテルは車で10分ほどと近く、今後は阿里山森林鉄路とのコラボ商品を打ち出す計画もある。日本人は阿里山観光が好きな人が多いとして、日本人宿泊客の呼び込みにも期待を示した。
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また嘉義では、ファウンドリー(半導体の受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が今年5月に工場を着工する予定であることが明らかになっている。関連産業の発展が期待される中、銭氏は「オフィスやレストランの需要にもつながるはずだ」と楽観的な見方を示した。嘉義福容voco酒店は8~15階がオフィスとなっており、6月以降に企業が順次入居する見通しとなっている。
■台北艾麗酒店はヒルトンに加盟
台湾のホテルと外資ホテルとの提携は今年に入って特に目立ち始めた。台北市信義区のホテル、台北艾麗酒店(ハンブルハウス台北)は1月、米高級ホテルのヒルトン傘下のブランド「キュリオ・コレクション・バイ・ヒルトン」へ昨年末に加盟したと発表した。同ブランドは台湾初進出となる。
担当者は、加盟を通じて宿泊客はヒルトンのホテル特典プログラム「ヒルトン・オナーズ」のポイント獲得や特典利用ができるようになるほか、台北艾麗酒店はヒルトンのブランドイメージを活用して、さらに多くの宿泊客を取り込むことができるとみていると説明した。
台湾のホテルと外資ホテルとの提携を巡っては、台北市大安区の台北福華大飯店(ハワードプラザホテル台北)も1月、ホテルチェーン世界大手の米マリオット・インターナショナルと契約したと発表。数十億台湾元(10億台湾元=約48億5,000万円)を投入し改装を行い、「ザ・ハワード・台北、オートグラフ・コレクション」としてオープンする。2026年半ばに完工する見込み。
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