インド南部カルナタカ州政府は最近、総額530億ルピー(約915億円)に上る覚書を複数の日本企業と結んだ。うち2社は土地利用の承認をすでに得るなど事業に着手した。州政府のM.B.パティル大・中規模産業・インフラ開発相がNNAの単独書面インタビューに応じ、明らかにした。そのほか、台湾・鴻海科技集団(フォックスコン)が、米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の組立工場を州内で建設中で、2024年末までに生産を始めるという。
——ビジネス環境の改善など、州政府は外国投資を誘致するためにどんな政策を展開しているか。
NNAの単独書面インタビューに応じたカルナタカ州政府のM.B.パティル大・中規模産業・インフラ開発相(州政府提供)
さまざまな州政府部門の承認なしで企業が事業を開始できるようにするなど、多くの重要政策を実施してきた。女性従業員が午後7時から翌日午前6時まで勤務できるようにする労働関連法の改正も行った。半導体や電動車分野への投資を誘致する新政策も導入した。23/24年度(23年4月~24年3月)は5,442億7,000万ルピー、24/25年度の4~6月期は1,905億9,000万ルピーの海外直接投資(FDI)を誘致した。
——日本からの投資を誘致するため、州政府はどんな取り組みをしているか。また州政府は、来年初めに投資サミット「インベスト・カルナタカ2025」を開く。日本企業も参加するか。
カルナタカ州と日本はこれまで強固な関係を維持してきた。州内にはトヨタ、ホンダ、日立など525社以上の日本企業が進出し、うち70社近くが生産活動を展開している。世界水準の産業向けインフラを提供する日本企業専用工業団地もある。
サミットは、大・中小・新興企業を問わず、州内全体の製造業発展を目指す。進出済みから新規投資を検討する会社に至るまで、全企業に参加を呼びかけている。
——パティル大臣は最近、日本と韓国を訪問し、両国から総額645億ルピーに上る投資提案を受けたと聞いた。
645億ルピーのうち530億ルピーは、日本からの投資提案だ。うち2社は、州政府投資促進機関「カルナタカ・ウドヨグ・ミトラ(KUM)」に土地利用を申請し、承認をすでに得た。
韓国は、工作機械メーカーDNソリューションズや、電池セルの試験を行うEMNI、アップル・テスラ・現代自動車などに製品を供給するHyVISIONが投資の意向を示した。
■フォックスコン、アイフォーン生産計画
——州政府は、フォックスコンが2,191億1,000万ルピーを投じ、州都ベンガルール(バンガロール)近郊に携帯電話工場を建設する案を承認済みだ。
この計画は「プロジェクト・エレファント」と呼ばれ、「アイフォーン」(米アップルのスマートフォン)の組み立てを予定している。投資規模は2,200億ルピーで、雇用創出効果は5万人。24年末までに生産を始める予定だ。
デバナハリ地区などにある情報技術投資区域(ITIR)内の土地300エーカー(1.2平方キロメートル)をすでに割り当てた。フォックスコンはまず120エーカーを開発する。工場建設も始まり、順調に進んでいる。必要な許認可や水、電力など、州政府はあらゆる面でサポートしている。
またフォックスコンは、「プロジェクト・チーター」計画として、ITIRで電動車の完成車や部品を製造することも検討している。
——半導体分野の投資誘致計画は。
カルナタカ州は、エレクトロニクス製造を対象に特別なインセンティブを提供している。このインセンティブでは、土地投資額の25%、工場と機械・設備投資額の20%に当たる補助金を各企業に出すほか、各企業は電力料金の割引や印紙税・登録料の還付を利用できる。州独自の生産振興策「生産連動型奨励制度(PLI)」もある。私たちは半導体産業の重要性を認識している。州がハイテク産業拠点としての地位をさらに強化するため、各企業それぞれのニーズに応えるインセンティブ開発にも取り組んでいる。
——カルナタカ州マイスールを半導体産業の拠点として開発するとの報道もある。
カルナタカ州はマイスールのコチェナハルリで「エレクトロニクス・マニュファクチャリング・クラスター(EMC、電子産業集積地)」を積極的に開発している。フォックスコンの施設に近いアディナラヤナ・ホサハリでもEMC開発を検討している。この両地域は、水・電力・熟練労働者などがそろっており、戦略的に選んだ。州は、半導体関連企業を誘致し、世界的なエレクトロニクス・半導体産業の主要地としてさらなる成長と発展を遂げることを目指している。
トヨタ自動車のインド子会社トヨタ・キルロスカ・モーター(TKM)の本社=南部ベンガルール近郊ビダディ(NNA撮影)
■電動車産業集積地2カ所を開発中
——電動車関連の投資を誘致するため、カルナタカ州が実施した政策は何か。
「カルナタカ州クリーンモビリティー政策2023—28改訂版」は、クリーンモビリティーのエコシステム全体の発展を計画し、需要側と供給側の両方に関する取り組みを含んでいる。この政策は、電動車メーカーだけでなく、正極・負極・セパレーター(絶縁材)・炭酸塩・溶媒など電池部品、ストロングハイブリッド車、電池リサイクル施設、試験インフラを手がける企業を対象にしている。
この政策のもと、ガウリビダヌルとチッカマッリゲワダの2カ所で、電動車産業集積地を開発している。ガウリビダヌルの土地は約825エーカーで、カルナタカ州工業団地開発局(KIADB)がすでに取得した。ベンガルールのケンペゴウダ国際空港から約70キロに位置する。チッカマッリゲワダの土地は約536エーカーを予定し、州政府が取得を現在進めている。フブリ空港から約30キロに位置する。
両地域の集積地は最先端のインフラを備える。すぐに利用できる区画や工場、インキュベーション施設に加え、試験・演習施設、認証施設も整備する。
——州民を一定割合雇用するように義務付ける地元住民雇用法が最近承認され、外資系を含む多くの企業が懸念を表明した。
この法律は現在、保留状態になっている。カルナタカ州は、各企業が事業を展開しやすいように、優れたインフラと堅実な政策に基づくビジネス環境の整備に力を入れてきた。これからも同じ方針で前進する。(聞き手=Atul Ranjan)
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——日本からの投資を誘致するため、州政府はどんな取り組みをしているか。また州政府は、来年初めに投資サミット「インベスト・カルナタカ2025」を開く。日本企業も参加するか。
カルナタカ州と日本はこれまで強固な関係を維持してきた。州内にはトヨタ、ホンダ、日立など525社以上の日本企業が進出し、うち70社近くが生産活動を展開している。世界水準の産業向けインフラを提供する日本企業専用工業団地もある。
サミットは、大・中小・新興企業を問わず、州内全体の製造業発展を目指す。進出済みから新規投資を検討する会社に至るまで、全企業に参加を呼びかけている。
——パティル大臣は最近、日本と韓国を訪問し、両国から総額645億ルピーに上る投資提案を受けたと聞いた。
645億ルピーのうち530億ルピーは、日本からの投資提案だ。うち2社は、州政府投資促進機関「カルナタカ・ウドヨグ・ミトラ(KUM)」に土地利用を申請し、承認をすでに得た。
韓国は、工作機械メーカーDNソリューションズや、電池セルの試験を行うEMNI、アップル・テスラ・現代自動車などに製品を供給するHyVISIONが投資の意向を示した。
■フォックスコン、アイフォーン生産計画
——州政府は、フォックスコンが2,191億1,000万ルピーを投じ、州都ベンガルール(バンガロール)近郊に携帯電話工場を建設する案を承認済みだ。
この計画は「プロジェクト・エレファント」と呼ばれ、「アイフォーン」(米アップルのスマートフォン)の組み立てを予定している。投資規模は2,200億ルピーで、雇用創出効果は5万人。24年末までに生産を始める予定だ。
デバナハリ地区などにある情報技術投資区域(ITIR)内の土地300エーカー(1.2平方キロメートル)をすでに割り当てた。フォックスコンはまず120エーカーを開発する。工場建設も始まり、順調に進んでいる。必要な許認可や水、電力など、州政府はあらゆる面でサポートしている。
またフォックスコンは、「プロジェクト・チーター」計画として、ITIRで電動車の完成車や部品を製造することも検討している。
——半導体分野の投資誘致計画は。
カルナタカ州は、エレクトロニクス製造を対象に特別なインセンティブを提供している。このインセンティブでは、土地投資額の25%、工場と機械・設備投資額の20%に当たる補助金を各企業に出すほか、各企業は電力料金の割引や印紙税・登録料の還付を利用できる。州独自の生産振興策「生産連動型奨励制度(PLI)」もある。私たちは半導体産業の重要性を認識している。州がハイテク産業拠点としての地位をさらに強化するため、各企業それぞれのニーズに応えるインセンティブ開発にも取り組んでいる。
——カルナタカ州マイスールを半導体産業の拠点として開発するとの報道もある。
カルナタカ州はマイスールのコチェナハルリで「エレクトロニクス・マニュファクチャリング・クラスター(EMC、電子産業集積地)」を積極的に開発している。フォックスコンの施設に近いアディナラヤナ・ホサハリでもEMC開発を検討している。この両地域は、水・電力・熟練労働者などがそろっており、戦略的に選んだ。州は、半導体関連企業を誘致し、世界的なエレクトロニクス・半導体産業の主要地としてさらなる成長と発展を遂げることを目指している。
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——電動車関連の投資を誘致するため、カルナタカ州が実施した政策は何か。
「カルナタカ州クリーンモビリティー政策2023—28改訂版」は、クリーンモビリティーのエコシステム全体の発展を計画し、需要側と供給側の両方に関する取り組みを含んでいる。この政策は、電動車メーカーだけでなく、正極・負極・セパレーター(絶縁材)・炭酸塩・溶媒など電池部品、ストロングハイブリッド車、電池リサイクル施設、試験インフラを手がける企業を対象にしている。
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両地域の集積地は最先端のインフラを備える。すぐに利用できる区画や工場、インキュベーション施設に加え、試験・演習施設、認証施設も整備する。
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