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中国勢、電力設備輸出で攻勢太陽光シフト、日本製依存に変化

中国各社がミャンマーの電力設備需要の取り込みを図っている。軍事政権下における停電の頻発や燃油の供給不安で、市民の関心は中国勢が席巻する太陽光発電システムに向かう。最大都市ヤンゴンで今月開かれた展示会の参加企業はほぼ中国系。ミャンマーでは電力不足を補うために中古の日本製発電機が重宝されてきたが、実需に変化の兆しが出ている。【小故島弘善】

太陽光発電システムの展示会の様子=10日、ミャンマー・ヤンゴン(NNA)

ヤンゴンの太陽光発電システムの展示会には数十社が集ったがほぼ「中国展」。中国系のメーカーまたは同国のブランドを売り込む販売代理店がめじろ押しで、日系ブランドを売り込む企業はごくわずかだった。
「中国から輸入したいのか、現地で購入したいのか」
パワーコンディショナー(インバーター)と蓄電池を手がける中国メーカーの関係者が問いかけてくる。同社はこれまで、ミャンマー国内の複数の展示会に出展。好感触を得て代理店との交渉も進み、今年中には現地販売に踏み切る予定だという。
各社が主軸とするのは、住宅や小規模オフィスなどに適した太陽光パネルの出力が数キロワットから数十キロワットの設備。ただ、太陽光パネルやパワコン、蓄電池など各設備と設置費用をセットにした価格は低出力でも数十万円以上で、庶民には手が出しにくい。
それでも軍政下のエネルギー価格の上昇や供給不安が自前の発電設備需要を膨らませる。自国通貨チャット安の進行で、発電機用の燃料が高騰。公社が手がける電力供給はヤンゴンでも安定せず、「今年に入ってから一層深刻化している」(ヤンゴン中心部に住む市民)。1年で最も暑く電力需給が逼迫(ひっぱく)する3~5月にはさらに悪化する恐れがある。
ヤンゴンから少し離れた中部エヤワディ地域に住む男性は昨年、自宅に中国系の太陽光発電システムを導入した。高い買い物ではあったが、「非常に満足している」という。田舎のため電力供給がヤンゴンよりも不安定で、従来はディーゼル発電機を使い電力を賄っていた。

ヤンゴンでは電気自動車(EV)の充電設備の設置が進む=2024年、ミャンマー(NNA)

■限られる選択肢
太陽光や風力など新エネルギー分野では世界的に中国の市場シェアが大きく、「メード・イン・チャイナの過剰供給」が米欧などとの摩擦の種となってきた。ミャンマーでも歴史的に中国製への過度な依存を警戒する向きがあるものの、約4年前のクーデター後から軍政支配が続く中で他国系の企業が市場開拓に二の足を踏む。経済混乱が深まる中でも中国製品の流入は続いており、中国系の独壇場となりつつあるマーケットが拡大している。
典型例は電気自動車(EV)だ。軍政は2022年末にEVに対する関税免除措置を導入し、23年から輸入が本格化した。道路交通管理局(RTAD)によると、24年末時点のEV登録台数は前年末比3.3倍の6,191台。各都市では比亜迪(BYD)など中国ブランド車のディーラーが増えている。
ミャンマーでは依然として古い日本車が行き交うが、軍政がEV以外の自動車に対する輸入制限を強めたことで新規供給は限られる。供給不足と通貨安が中古車価格をつり上げる中、少しずつEVを主軸とする中国製の車両に置き換わっている状況だ。
EVと太陽電池、リチウムイオン電池は中国で「新三様」と称され、新たな輸出のけん引役として台頭している。これらの消費地として中国製品以外の選択肢が少ない傾向は以前からあったが、「軍政下でより貧乏な国となり、中国製品に頼らざるを得ない」(ヤンゴンの照明機器販売関係者)。中国に近い第2都市マンダレー(中部マンダレー地域)などではその傾向がより顕著だという。

太陽光パネルを設置したヤンゴンの住宅=21日、ミャンマー(NNA)

■小型機器から大規模設備まで
「軍政が中国寄りになったわけではなく、さまざまな要因の結果として中国製品が売れている」
中国系の太陽光発電設備を売り込む事業者からは、このような見方が出る。電力インフラが十分に整備されていない中、一般家庭でも非常用電源として充電式の照明機器やソーラーライトなどを常備しておこうとする傾向が元々あった。軍政下で停電が頻発するようになる中、夜間照明を確保するための照明機器需要も高まっている。
中国製機器の輸入販売業者は「市場のニーズがより大型の設備に広がってきた」との見方を示す。ヤンゴンでは一戸建て住宅を中心に太陽光発電システムの需要が伸びている段階。停電の頻発で公共サービスに頼れないという認識が市民の間で広がっており、商機につながっているという。
軍政幹部は今年に入り、停電が頻発する原因が◇抵抗勢力によるインフラ破壊◇ガス火力発電所への燃料供給不足——にあるとの主張を繰り返している。各事業者らに対しては、太陽光発電設備などの導入を促している。
ミャンマーの設備容量の電源構成は、22年度時点でガス火力と水力が合わせて9割以上を占めた。太陽光は2.5%とシェアが小さかったが、中国系をはじめとした事業者による大規模設備の開発も進んでいく可能性がある。

ヤンゴンで使われる発電機=24日、ミャンマー(NNA)
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ヤンゴンの太陽光発電システムの展示会には数十社が集ったがほぼ「中国展」。中国系のメーカーまたは同国のブランドを売り込む販売代理店がめじろ押しで、日系ブランドを売り込む企業はごくわずかだった。
「中国から輸入したいのか、現地で購入したいのか」
パワーコンディショナー(インバーター)と蓄電池を手がける中国メーカーの関係者が問いかけてくる。同社はこれまで、ミャンマー国内の複数の展示会に出展。好感触を得て代理店との交渉も進み、今年中には現地販売に踏み切る予定だという。
各社が主軸とするのは、住宅や小規模オフィスなどに適した太陽光パネルの出力が数キロワットから数十キロワットの設備。ただ、太陽光パネルやパワコン、蓄電池など各設備と設置費用をセットにした価格は低出力でも数十万円以上で、庶民には手が出しにくい。
それでも軍政下のエネルギー価格の上昇や供給不安が自前の発電設備需要を膨らませる。自国通貨チャット安の進行で、発電機用の燃料が高騰。公社が手がける電力供給はヤンゴンでも安定せず、「今年に入ってから一層深刻化している」(ヤンゴン中心部に住む市民)。1年で最も暑く電力需給が逼迫(ひっぱく)する3~5月にはさらに悪化する恐れがある。
ヤンゴンから少し離れた中部エヤワディ地域に住む男性は昨年、自宅に中国系の太陽光発電システムを導入した。高い買い物ではあったが、「非常に満足している」という。田舎のため電力供給がヤンゴンよりも不安定で、従来はディーゼル発電機を使い電力を賄っていた。
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■限られる選択肢
太陽光や風力など新エネルギー分野では世界的に中国の市場シェアが大きく、「メード・イン・チャイナの過剰供給」が米欧などとの摩擦の種となってきた。ミャンマーでも歴史的に中国製への過度な依存を警戒する向きがあるものの、約4年前のクーデター後から軍政支配が続く中で他国系の企業が市場開拓に二の足を踏む。経済混乱が深まる中でも中国製品の流入は続いており、中国系の独壇場となりつつあるマーケットが拡大している。
典型例は電気自動車(EV)だ。軍政は2022年末にEVに対する関税免除措置を導入し、23年から輸入が本格化した。道路交通管理局(RTAD)によると、24年末時点のEV登録台数は前年末比3.3倍の6,191台。各都市では比亜迪(BYD)など中国ブランド車のディーラーが増えている。
ミャンマーでは依然として古い日本車が行き交うが、軍政がEV以外の自動車に対する輸入制限を強めたことで新規供給は限られる。供給不足と通貨安が中古車価格をつり上げる中、少しずつEVを主軸とする中国製の車両に置き換わっている状況だ。
EVと太陽電池、リチウムイオン電池は中国で「新三様」と称され、新たな輸出のけん引役として台頭している。これらの消費地として中国製品以外の選択肢が少ない傾向は以前からあったが、「軍政下でより貧乏な国となり、中国製品に頼らざるを得ない」(ヤンゴンの照明機器販売関係者)。中国に近い第2都市マンダレー(中部マンダレー地域)などではその傾向がより顕著だという。
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■小型機器から大規模設備まで
「軍政が中国寄りになったわけではなく、さまざまな要因の結果として中国製品が売れている」
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中国製機器の輸入販売業者は「市場のニーズがより大型の設備に広がってきた」との見方を示す。ヤンゴンでは一戸建て住宅を中心に太陽光発電システムの需要が伸びている段階。停電の頻発で公共サービスに頼れないという認識が市民の間で広がっており、商機につながっているという。
軍政幹部は今年に入り、停電が頻発する原因が◇抵抗勢力によるインフラ破壊◇ガス火力発電所への燃料供給不足——にあるとの主張を繰り返している。各事業者らに対しては、太陽光発電設備などの導入を促している。
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