香港島・北角(ノースポイント)のランドマークがまた1つ消える。創業50年の百貨店「新都城百貨(メトロポール・デパートメント・ストア)」が、7月1日から改装に伴う休業に入ることが分かった。北角では今月3日に広東オペラ(粤劇)劇場が閉館したばかりで、市民の間では北角の風景を形作っていた老舗の相次ぐ営業停止を惜しむ声が上がっている。
7月から休業する新都城百貨。トラムが走る英皇道に面し、人通りは多い=17日、北角(NNA撮影)
14日にVIP会員向けに通知を出した。7月1日からの全店改装休業に伴い、会員プログラムを一時中止するとして、保有しているポイントを6月30日までに使用するよう呼びかける内容。会員資格は営業再開後に改めて通知するまで保持されるとしている。
新都城百貨は香港鉄路(MTR)北角駅に隣接し、2階建て路面電車のトラムが走る英皇道(キングスロード)に面する。敷地面積は16万平方フィート(約1万4,900平方メートル)で、地下1階から地上3階までのスペースに服飾品、スポーツ用品、家具、家電、宝飾品などの店が入る。
NNAが17日午後に訪れたところ、百貨店内は早くもほぼ全てのテナントが売り尽くしセールを開催中だった。5割引きなどで販売されており、中高年の客を中心ににぎわっていた。
同店は改装のための休業としているが、テナントの多くは「搬遷(移転)」をうたっており、リニューアルオープンを待たずに別の場所に移転するもよう。近隣の別の店舗を案内するチェーン店もあった。再オープンの時期について新都城百貨の従業員は「分からないが、2年くらいかかる可能性もあるのではないか」とコメントした。
1階(グランドフロア)は「G2000」「Wanko」など地場アパレルブランドのほか、レストラン街にファストフードチェーンの「大家楽(カフェ・ド・コーラル)」やローカルの日本料理店などが店を構える。地下1階にはスーパーマーケットの「恵康(ウエルカム)」や100円ショップの「ダイソー」などもあるが、スーパーの店員によると、こうしたテナントも全て同じタイミングで閉店するという。
■70~90年代にピーク
新都城百貨は1974年に開業。インターネットメディアの香港01によると、「愛国実業家」として知られ、主要経済団体の1つである香港中華総商会(CGCC)の会長も務めた故・王寛誠氏が設立した基金が99.98%を出資する「中実建業」がオーナーとなっている。向かいに位置する華豊国貨(チャイニーズ・グッズ・センター、63年創業)と共に北角に残る老舗商業施設の一つで、70~90年代には近隣住民の主なショッピングスポットとなっていた。
一方、北角では香港不動産開発大手の新鴻基地産発展(サンフンカイ・プロパティーズ)傘下のショッピングモール「北角匯(ハーバー・ノース)」が2018年に1期、19年に2期、3期を相次ぎオープン。新型コロナウイルス禍後は市民が週末に深センなどへ出かけて消費する「北上消費」も常態化し、近年は買い物客が分散しているとみられる。
北角では今月3日に広東オペラ老舗劇場の「新光戯院(サンビーム・シアター)」が営業を終了し話題となった。インターネット上では「北角全体が真っ暗になってしまう」「改装後はもう、よく知っている新都城百貨ではなくなる」など見慣れた風景が失われることを悲しむコメントが寄せられている。
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新都城百貨は香港鉄路(MTR)北角駅に隣接し、2階建て路面電車のトラムが走る英皇道(キングスロード)に面する。敷地面積は16万平方フィート(約1万4,900平方メートル)で、地下1階から地上3階までのスペースに服飾品、スポーツ用品、家具、家電、宝飾品などの店が入る。
NNAが17日午後に訪れたところ、百貨店内は早くもほぼ全てのテナントが売り尽くしセールを開催中だった。5割引きなどで販売されており、中高年の客を中心ににぎわっていた。
同店は改装のための休業としているが、テナントの多くは「搬遷(移転)」をうたっており、リニューアルオープンを待たずに別の場所に移転するもよう。近隣の別の店舗を案内するチェーン店もあった。再オープンの時期について新都城百貨の従業員は「分からないが、2年くらいかかる可能性もあるのではないか」とコメントした。
1階(グランドフロア)は「G2000」「Wanko」など地場アパレルブランドのほか、レストラン街にファストフードチェーンの「大家楽(カフェ・ド・コーラル)」やローカルの日本料理店などが店を構える。地下1階にはスーパーマーケットの「恵康(ウエルカム)」や100円ショップの「ダイソー」などもあるが、スーパーの店員によると、こうしたテナントも全て同じタイミングで閉店するという。
■70~90年代にピーク
新都城百貨は1974年に開業。インターネットメディアの香港01によると、「愛国実業家」として知られ、主要経済団体の1つである香港中華総商会(CGCC)の会長も務めた故・王寛誠氏が設立した基金が99.98%を出資する「中実建業」がオーナーとなっている。向かいに位置する華豊国貨(チャイニーズ・グッズ・センター、63年創業)と共に北角に残る老舗商業施設の一つで、70~90年代には近隣住民の主なショッピングスポットとなっていた。
一方、北角では香港不動産開発大手の新鴻基地産発展(サンフンカイ・プロパティーズ)傘下のショッピングモール「北角匯(ハーバー・ノース)」が2018年に1期、19年に2期、3期を相次ぎオープン。新型コロナウイルス禍後は市民が週末に深センなどへ出かけて消費する「北上消費」も常態化し、近年は買い物客が分散しているとみられる。
北角では今月3日に広東オペラ老舗劇場の「新光戯院(サンビーム・シアター)」が営業を終了し話題となった。インターネット上では「北角全体が真っ暗になってしまう」「改装後はもう、よく知っている新都城百貨ではなくなる」など見慣れた風景が失われることを悲しむコメントが寄せられている。"
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