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老舗ベーカリーが経営危機か大班麺包西餅、賃料滞納で提訴

香港の老舗ベーカリーチェーン、大班麺包西餅(タイパン・ブレッド&ケークス)が賃料滞納により、物件オーナーから提訴されていることが分かった。今年に入って複数の店舗が滞納で訴えられており、未払いは計200万HKドル(約3,700万円)近くに上る。香港では中国本土への消費の流出などを背景に飲食店や小売店の閉業が相次いでおり、同社も経営状態の悪化が懸念されている。

大班麺包西餅の店舗。地元の人が代わる代わる訪れていた=20日(NNA撮影)

大班はパンやケーキ、菓子などを製造・販売。季節の行事に合わせた商品も展開し、冷やして食べる「氷皮月餅」を最初に売り出した店として知られる。公式ウェブサイトによると、現在の店舗数は香港島が3店、九龍地区が4店、新界地区が9店の計16店となっている。
インターネットメディアの香港01、信報などによると、九龍・旺角(モンコック)店の物件オーナーは1月から滞っている賃料40万2,000HKドルの支払いと物件の明け渡しを求め、今月になって大班を提訴した。物件は3年契約で、賃料は月9万5,000HKドル。弁護士から支払いを求める通知書を2度送ったが、効果がなかったため提訴を決めたという。
賃料滞納は旺角店以外でも起こっている。2025年2月から5月にかけて複数の物件オーナーから店舗や工場の賃料を巡る訴訟を起こされており、総額は198万HKドルを超えている。賃料の回収に関わる訴訟は10件に上り、このうち3月に提訴された新界の沙田、将軍澳、屯門の各店は3カ月分、上水、元朗の店舗は1カ月分を滞納。金額では旺角店が一番多い。
3月には強制退職年金基金「強制性公積金計画(MPF)」の未払いも明らかになった。MPF制度を監督する強制退職年金基金管理局(MPFA)によると、大班は従業員220人の1月分のMPF拠出金など約43万HKドル分を滞納。同社はこれに対し「システム内部の操作にエラーがあったため、支払いが若干遅延した」として経営上の問題はないことを強調していた。
4月には九龍・太子(プリンスエドワード)と新界・セン湾(セン=くさかんむりに全)の店舗が閉店した。
■21年に経営者交代
大班は1984年に創業。香港域内で店舗を拡大するほか、本土の小売店でも商品を販売していたが、当時の取締役だった創業者一族の郭勇維(ギャリック・クオック)氏が19年の反政府デモを支持していたことで、本土の電子商取引(EC)サイトやスーパーマーケットが取り扱いをやめるなど経営に影響が出た。
21年に実業家の廖志強(リッキー・リウ)氏が買収し、郭一族は経営から離脱。廖氏はブランドのロゴや店舗のリニューアル、若者向けにブランドの刷新を行うことで本土市場への再進出を目指した。
ただ、廖氏は25年2月に契約トラブルで郭一族から提訴されている。
大班の経営を巡っては昨年11月、廖氏が保有する高級住宅に第2抵当権、第3抵当権が設定されたことが分かっている。金融2社からの借り入れ可能額は最大1,200万HKドルに上るとみられる。
■カラオケチェーンもMPF未払い
MPFの未払いでは、カラオケチェーンの「RedMR紅人派対」がMPFAから提訴されたことも分かった。信報などによると、RedMRの親会社に対し、昨年9~12月分の従業員のMPF拠出金など約20万6,200HKドルの支払いを求めている。
公式ウェブサイトによると、RedMRは10年12月に開業。香港島の湾仔、銅鑼湾(コーズウェーベイ)、九龍の尖沙咀、旺角の4店舗を運営している。

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インターネットメディアの香港01、信報などによると、九龍・旺角(モンコック)店の物件オーナーは1月から滞っている賃料40万2,000HKドルの支払いと物件の明け渡しを求め、今月になって大班を提訴した。物件は3年契約で、賃料は月9万5,000HKドル。弁護士から支払いを求める通知書を2度送ったが、効果がなかったため提訴を決めたという。
賃料滞納は旺角店以外でも起こっている。2025年2月から5月にかけて複数の物件オーナーから店舗や工場の賃料を巡る訴訟を起こされており、総額は198万HKドルを超えている。賃料の回収に関わる訴訟は10件に上り、このうち3月に提訴された新界の沙田、将軍澳、屯門の各店は3カ月分、上水、元朗の店舗は1カ月分を滞納。金額では旺角店が一番多い。
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■21年に経営者交代
大班は1984年に創業。香港域内で店舗を拡大するほか、本土の小売店でも商品を販売していたが、当時の取締役だった創業者一族の郭勇維(ギャリック・クオック)氏が19年の反政府デモを支持していたことで、本土の電子商取引(EC)サイトやスーパーマーケットが取り扱いをやめるなど経営に影響が出た。
21年に実業家の廖志強(リッキー・リウ)氏が買収し、郭一族は経営から離脱。廖氏はブランドのロゴや店舗のリニューアル、若者向けにブランドの刷新を行うことで本土市場への再進出を目指した。
ただ、廖氏は25年2月に契約トラブルで郭一族から提訴されている。
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■カラオケチェーンもMPF未払い
MPFの未払いでは、カラオケチェーンの「RedMR紅人派対」がMPFAから提訴されたことも分かった。信報などによると、RedMRの親会社に対し、昨年9~12月分の従業員のMPF拠出金など約20万6,200HKドルの支払いを求めている。
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