インドネシア中央統計局が１日公表した最新の貿易統計で、2025年上半期（１～６月）の貿易収支は黒字幅が前年同期から約25％増の194億7,900万米ドル（約２兆8,800億円）だった。貿易黒字は11半期連続で、前年同期を上回ったのは５半期ぶり。好調な米欧向け輸出がけん引したが、今後はトランプ米政権による「相互関税」の影響を受ける可能性がある。経済専門家からは、年後半にも黒字幅が縮小するとの見方も出る。
１～６月は輸出が7.70％増の1,354億1,400万米ドル、輸入額が5.25％増の1,159億3,500万米ドルだった。それぞれ２半期連続、３半期連続のプラスとなった。
輸出の内訳は非石油ガスが8.96％増の1,283億8,600万米ドル、石油ガスが11.04％減の70億2,800万米ドル。輸入はそれぞれ8.60％増の1,000億7,300万米ドル、11.91％減の158億6,300万米ドルだった。

１～６月の非石油ガスの輸出を品目別で見ると、パーム油など「動・植物性油脂と関連品」が30.62％増の158億8,500万米ドルで最大。これに◇石炭など「鉱物性燃料」＝21.20％減の153億2,800万米ドル◇「鉄鋼」＝9.79％増の137億9,100万米ドル◇「機械・電気製品」＝32.56％増の92億7,600万米ドル◇「自動車・部品」＝11.04％増の56億8,200万米ドル——などが続いた。
一方、非石油ガスの輸入は「機械類・機械部品」が8.11％増の170億9,200万米ドルで最大。以下、◇「機械・電気製品」＝9.40％増の145億3,400万米ドル◇「自動車・部品」＝31.29％増の53億4,700万米ドル◇「プラスチック・プラスチック製品」＝2.71％増の50億7,800万米ドル◇「鉄鋼」＝7.43％増の47億5,200万米ドル——などと続いた。
６月単月では、輸出が前年同月比11.29％増の234億3,700万米ドル、輸入が4.28％増の193億3,300万米ドルだった。輸出は15カ月連続のプラスで、成長率は８カ月ぶりに２桁伸長した。輸入の伸びが比較的小さい中、貿易黒字幅は62.91％増の41億400万米ドルとなった。


民間最大手銀行バンク・セントラル・アジア（ＢＣＡ）のチーフエコノミスト、ダフィッド氏はＮＮＡに、「バイオ燃料需要の拡大に伴いパーム油価格が回復し、輸出をけん引した」と指摘した。一方、国内の生産活動がさえない中で原材料などの輸入に停滞感があったという。

■１～６月は対米欧貿易の黒字拡大
１～６月の主要国・地域との非石油ガス取引を見ると、最大の貿易相手国・中国に対する赤字幅が前年同期の57億2,900万米ドルから106億9,300万米ドルに拡大。一方、対米、対欧州連合（ＥＵ）では黒字幅がそれぞれ28.92％増の99億2,200万米ドル、56.39％増の37億9,500万米ドルと大きく伸びた。
対米輸出の拡大の背景には、トランプ米政権の「相互関税」の上乗せ分の一時停止が７月上旬に期限を迎える予定だったため、前倒し輸出が発生していたことがある。１～６月の非石油ガスの対米輸出額は前年同期比20.71％増の147億8,800万米ドルで、６月単月では前年同月から３割以上増えた。

ただ、ダフィッド氏は「相互関税（の上乗せ分）の発動とそれに伴う世界的な取引の減少で、下半期（７～12月）にはインドネシアの貿易収支が悪化する」と予測している。インドネシア政府は７月、米国への輸出品に対する相互関税の税率を19％とすることに合意。トランプ米政権が４月に発表していた32％から引き下げとなったが、対米貿易黒字の是正に向けた調整を余儀なくされた。
インドネシアの経済改革センター（ＣＯＲＥ）のエコノミスト、ユスフ・レンディ氏は「輸出先の多様化の進展と輸出振興策の強化があれば、貿易黒字は維持できる」と見込む。ただ、新規輸出先の確保で米関税問題の影響を賄いきれない可能性は否定できないという。今年の輸出成長率は前年比６％と予測しているが、「貿易の持続性は政策対応と世界経済の安定性に委ねられている状況」だという。
トランプ米大統領は７月31日、相互関税修正に関する大統領令に署名した。発動は８月７日で、対象はインドネシアを含む約70カ国・地域。対米交渉を主導したアイルランガ調整相（経済担当）は１日、19％の新税率が７日からインドネシアにも適用されるとの見通しを明らかにした。アイルランガ氏は７月28日、関税などにおける両国間の最終的な合意文書が交わされるまでは各国一律で適用されている10％が据え置かれるとの見方を示していた。

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１～６月は輸出が7.70％増の1,354億1,400万米ドル、輸入額が5.25％増の1,159億3,500万米ドルだった。それぞれ２半期連続、３半期連続のプラスとなった。

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１～６月の非石油ガスの輸出を品目別で見ると、パーム油など「動・植物性油脂と関連品」が30.62％増の158億8,500万米ドルで最大。これに◇石炭など「鉱物性燃料」＝21.20％減の153億2,800万米ドル◇「鉄鋼」＝9.79％増の137億9,100万米ドル◇「機械・電気製品」＝32.56％増の92億7,600万米ドル◇「自動車・部品」＝11.04％増の56億8,200万米ドル——などが続いた。

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民間最大手銀行バンク・セントラル・アジア（ＢＣＡ）のチーフエコノミスト、ダフィッド氏はＮＮＡに、「バイオ燃料需要の拡大に伴いパーム油価格が回復し、輸出をけん引した」と指摘した。一方、国内の生産活動がさえない中で原材料などの輸入に停滞感があったという。



■１～６月は対米欧貿易の黒字拡大

１～６月の主要国・地域との非石油ガス取引を見ると、最大の貿易相手国・中国に対する赤字幅が前年同期の57億2,900万米ドルから106億9,300万米ドルに拡大。一方、対米、対欧州連合（ＥＵ）では黒字幅がそれぞれ28.92％増の99億2,200万米ドル、56.39％増の37億9,500万米ドルと大きく伸びた。

対米輸出の拡大の背景には、トランプ米政権の「相互関税」の上乗せ分の一時停止が７月上旬に期限を迎える予定だったため、前倒し輸出が発生していたことがある。１～６月の非石油ガスの対米輸出額は前年同期比20.71％増の147億8,800万米ドルで、６月単月では前年同月から３割以上増えた。



ただ、ダフィッド氏は「相互関税（の上乗せ分）の発動とそれに伴う世界的な取引の減少で、下半期（７～12月）にはインドネシアの貿易収支が悪化する」と予測している。インドネシア政府は７月、米国への輸出品に対する相互関税の税率を19％とすることに合意。トランプ米政権が４月に発表していた32％から引き下げとなったが、対米貿易黒字の是正に向けた調整を余儀なくされた。

インドネシアの経済改革センター（ＣＯＲＥ）のエコノミスト、ユスフ・レンディ氏は「輸出先の多様化の進展と輸出振興策の強化があれば、貿易黒字は維持できる」と見込む。ただ、新規輸出先の確保で米関税問題の影響を賄いきれない可能性は否定できないという。今年の輸出成長率は前年比６％と予測しているが、「貿易の持続性は政策対応と世界経済の安定性に委ねられている状況」だという。

トランプ米大統領は７月31日、相互関税修正に関する大統領令に署名した。発動は８月７日で、対象はインドネシアを含む約70カ国・地域。対米交渉を主導したアイルランガ調整相（経済担当）は１日、19％の新税率が７日からインドネシアにも適用されるとの見通しを明らかにした。アイルランガ氏は７月28日、関税などにおける両国間の最終的な合意文書が交わされるまでは各国一律で適用されている10％が据え置かれるとの見方を示していた。"
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