韓国に駐在中、「戦後最悪の日韓関係」と呼ばれた時期を経験した。竹島（韓国名：独島）を巡る対立、歴史認識のずれ、半導体を巡る経済摩擦——。火種は絶えなかったが、銃声は交わされなかった。言葉の応酬の中にも、両国には一線を越えない慎重さがあったように思う。
筆者はその後、タイ・バンコクに３年ほど住んだ。「微笑みの国」と称されるタイで、人々の優しさや礼儀正しさに触れて感動を覚えた。
ところが、最近、タイとカンボジアが国境付近で軍事衝突し、死傷者が発生したニュースに触れて強い衝撃を受けた。同時に、平和がいかに脆（もろ）いものであるかを痛感した。ナショナリズムが理性を上書きすれば、微笑みも作り笑いに変わってしまう。
火種を静かに抱えながらも、撃たないという選択を続けること。それが、秩序を維持する最低条件なのかもしれない。（碩）

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筆者はその後、タイ・バンコクに３年ほど住んだ。「微笑みの国」と称されるタイで、人々の優しさや礼儀正しさに触れて感動を覚えた。

ところが、最近、タイとカンボジアが国境付近で軍事衝突し、死傷者が発生したニュースに触れて強い衝撃を受けた。同時に、平和がいかに脆（もろ）いものであるかを痛感した。ナショナリズムが理性を上書きすれば、微笑みも作り笑いに変わってしまう。

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