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対比ODA、所得向上で変化タイド案件、28年にも適用外に

フィリピンの所得向上に伴い、同国の政府開発援助(ODA)に変化が生じる見通しだ。来年に「上位中所得国」入りした場合、早ければ2028年にも調達先を援助供与国に限定するタイド援助「本邦技術活用条件(STEP)」の適用ができなくなる。国際協力機構(JICA)フィリピン事務所は、長期的なODA縮小も視野に入れつつ、海外投融資などで民間企業との連携を進める方針だ。

JICAは軽量軌道交通(LRT)1号線の運営会社の株式を24年に取得した=24年11月、首都圏パラニャーケ市(NNA撮影)

STEPは、橋梁(きょうりょう)・トンネルや幹線道路、港湾などの幅広い分野で、日本の技術や資機材が必要な案件に適用される。主契約者になれるのは日本企業やその連結子会社、または日本企業と借り入れ国企業の共同企業体(JV)などだ。契約総額の30%以上で日本企業からの調達が義務づけられる。
一方、借り入れ国は通常のODA案件よりも低い固定金利で融資を受けられて、償還期間も長期の40年という利点がある。フィリピンでは鉄道事業や道路整備、洪水対策工事などで広く活用されている。
しかし、ODAのルールを定める経済協力開発機構(OECD)は、世界銀行の国別所得分類で2年連続で上位中所得国となった国はタイド援助の対象外となるとしている。

世銀の今年7月の発表では、フィリピンの24年の1人当たり国民総所得(GNI)は4,470米ドル(約66万円)で、上位中所得国(4,496~1万3,935米ドル)にわずかに届かなかった。ただ、25年の実質国内総生産(GDP)成長率が5%台半ばになると予測される中、25~26年連続で基準を上回る可能性は高い。
この場合、世銀発表を踏まえたOECDによる通知の時点で、原則としてSTEPは適用不可となる。フィリピンの資格変更の発効前に、日本政府が資金供与の一定の手続きを完了した案件に限り、1年の猶予が認められるが、それでも28年夏ごろが実施期限となる。その後は全ての案件でSTEPが適用できなくなる。
日系ゼネコンにも影響がありそうだ。STEP案件の首都圏地下鉄などで工事を請け負う三井住友建設の山地斉マニラ事務所長はこの点を踏まえ、首都圏と近郊都市を結ぶ南北通勤鉄道事業での施工実績や蓄積してきた知見を生かし、「アジア開発銀行(ADB)の融資案件や一般円借款案件に挑戦したい」と今後の意気込みを示した。
■JICA、民間との連携強化へ
JICA担当者は、「STEPの適用終了後は、所得向上もあってフィリピンでのODA案件は長期的にみて減るだろう」と話す。
新たな取り組みとしてJICAは24年、マニラ首都圏を走る軽量軌道交通(LRT)1号線の運営会社ライト・レール・マニラ(LRMC)の一部株式を住友商事から取得した。フィリピンでは初の民間企業への出資となった。今年6月からは同時に株式を取得した阪急電鉄と、省エネルギー化の技術協力を開始した。
JICAは今後、従来の有償・無償資金協力と技術協力だけではなく、開発効果が見込める共同事業や海外投融資などを通じて民間との連携を強めたい考えだ。

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世銀の今年7月の発表では、フィリピンの24年の1人当たり国民総所得(GNI)は4,470米ドル(約66万円)で、上位中所得国(4,496~1万3,935米ドル)にわずかに届かなかった。ただ、25年の実質国内総生産(GDP)成長率が5%台半ばになると予測される中、25~26年連続で基準を上回る可能性は高い。
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■JICA、民間との連携強化へ
JICA担当者は、「STEPの適用終了後は、所得向上もあってフィリピンでのODA案件は長期的にみて減るだろう」と話す。
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