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ハウスがカレールウ工場着工27年稼働、年産能力7倍に

ハウス食品グループ本社は11日、インドネシアでカレールウを生産する新工場を着工した。投資額は3,408億ルピア(約32億円)。2027年に生産を開始する。同国では16年に業務用の生産を開始、24年には家庭用の販売も開始したが、既存工場の生産能力が飽和状態になりつつあるため新工場の建設を決めた。生産能力は最大時には既存工場の7倍に拡大する。新工場の稼働開始後は、家庭用の販売を強化し、日本式カレーを浸透させる。

ハウスフーズインドネシアのカレールウ工場の地鎮祭に出席した同社の城地社長(左から3人目)ら関係者=11日、西ジャワ州(NNA撮影)

新工場は、西ジャワ州チカランにあるグリーンランド・インターナショナル工業団地(GIIC)に設ける。施工は大成建設のインドネシア法人、大成プロインタン建設が請け負う。
同日には、工場建設地で関係者による地鎮祭を執り行った。敷地面積は2万平方メートル。工場建設に先立ち、今年5月に生産子会社ハウスフーズインドネシアを設立した。
ハラル(イスラム教の戒律で許されたもの)認証を取得したカレールウを生産する。生産能力は最大で年間3,000トン。業務用と家庭用の両方を生産する。家庭用の内容量は20グラム(1~2皿分)、40グラム、80グラム入りの3種。
インドネシアではこれまで、ハウス食品グループで冷凍野菜の生産を手がけるジャワアグリテックが、中ジャワ州の工場でカレールウを生産していた。新工場の稼働開始後も、同社はカレールウの小ロット生産やバックアップ機能として生産を継続するが、新工場はカレールウの基幹工場と位置づける。
ハウスフーズインドネシアの城地崇幸社長は地鎮祭で「インドネシアは事業戦略の中核となる重要な場所になる。地域社会に根ざし、長く愛される工場として、地域の発展に貢献し続けたい」と述べた。
販売はグループ2社が手がける。国内の業務用と海外への輸出は、16年から業務用カレールウの販売を手がけてきたハウス&ヴォークスインドネシアが、国内の家庭用商品の販売は、22年11月に設立した合弁会社ササハウスフーズインドネシアが、それぞれ担当する。
■家庭用の販売強化
ササハウスフーズインドネシアは、インドネシア国内で日本式カレーの普及に注力してきた。新工場の稼働後は家庭用の販売を中心に強化していくことで、国内向けの販売をさらに強化する。22年からは新たに伝統市場向けに20グラム入り商品を投入。店頭想定価格を消費者が手に取りやすい3,000ルピア(約27円)に設定しており、特にジャワ島内の伝統市場への配荷拡大に力を入れている。
ハウス食品グループが20年に実施した調査によれば、日本式カレーの認知率は、ジャカルタ近郊の上位層(社会経済階層=A層)では74%、中間層(同C層)で46%に達している。
インドネシアの販売量は現在、業務用の比重が大きいが、家庭用の売り上げを大幅に伸長させることで、27年度に家庭用と業務用の比率を1対1の水準にする目標を掲げている。

ササハウスフーズインドネシアがインドネシア国内で販売するカレールウ。スーパーなど近代小売店では主に40グラム入り(3~4皿分)と80グラム入り(6~8皿分)を販売する(NNA撮影)

■飲食店ともシナジー展開
カレールウは現在、一部をシンガポールやマレーシアに輸出している。ハウス食品グループはインドネシアのほか、中国とベトナムでもカレールウを生産しているが、ハラル認証を取得するのはインドネシアのみ。東南アジア諸国連合(ASEAN)や中東などイスラム圏への輸出も視野に入れ、「世界の食卓へ新しい価値を届けたい」(城地氏)としている。
ハウス食品グループは中期計画で、事業領域を「スパイス系」「機能性素材系」「大豆系」「付加価値野菜系」の4つのバリューチェーン(VC)の構築を進めており、スパイス系VCにはササハウスフーズインドネシアなどが含まれる。
また、グループ系列の壱番屋は、インドネシア企業とフランチャイズ契約を結びカレーハウス「CoCo壱番屋」を11店舗(7月末現在)展開している。
家庭用と業務用を合わせたインドネシア事業全体で、将来的に売上高100億円規模を目指す。

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ハウスフーズインドネシアの城地崇幸社長は地鎮祭で「インドネシアは事業戦略の中核となる重要な場所になる。地域社会に根ざし、長く愛される工場として、地域の発展に貢献し続けたい」と述べた。
販売はグループ2社が手がける。国内の業務用と海外への輸出は、16年から業務用カレールウの販売を手がけてきたハウス&ヴォークスインドネシアが、国内の家庭用商品の販売は、22年11月に設立した合弁会社ササハウスフーズインドネシアが、それぞれ担当する。
■家庭用の販売強化
ササハウスフーズインドネシアは、インドネシア国内で日本式カレーの普及に注力してきた。新工場の稼働後は家庭用の販売を中心に強化していくことで、国内向けの販売をさらに強化する。22年からは新たに伝統市場向けに20グラム入り商品を投入。店頭想定価格を消費者が手に取りやすい3,000ルピア(約27円)に設定しており、特にジャワ島内の伝統市場への配荷拡大に力を入れている。
ハウス食品グループが20年に実施した調査によれば、日本式カレーの認知率は、ジャカルタ近郊の上位層(社会経済階層=A層)では74%、中間層(同C層)で46%に達している。
インドネシアの販売量は現在、業務用の比重が大きいが、家庭用の売り上げを大幅に伸長させることで、27年度に家庭用と業務用の比率を1対1の水準にする目標を掲げている。
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