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非新車事業拡充で総合力強化トヨタ・アストラの布石(上)

トヨタ自動車は、インドネシアの提携先であるアストラ・インターナショナルと共に、非新車販売部門の拡充を進めている。アフターサービスや中古車販売事業などの強化でバリューチェーン構築を推進し、顧客との中長期的な関係を維持。新車市場の低迷や中国系を中心とした競合の増加が現地事業に影響を及ぼす中でも、総合力を高めることで首位ブランドとしてのポジション維持につなげる。
トヨタ自動車は、部品・用品・中古車・保険・金融部門のサービスにメンテナンスパッケージを含めた「バリューチェーン収益」を経営改善の策の1つとして位置づけ、全世界で年1,500億円ペースで拡大させている。2026年3月期で2兆円以上の規模に成長させる計画だ。
インドネシアでバリューチェーンの一角を担うのが、22年にパッケージ化した自動付帯のメンテナンスパッケージ「T—Care」だ。購入後3年間で計7回の無料点検・部品交換を提供する。3年目に入った今年の定期点検の利用率は約9割を維持している。
遠隔地の顧客に対しては、全国で約700台のモバイル車両を巡回させて点検。インドネシア販売会社トヨタ・アストラ・モーター(TAM)の大出浩之マーケティングディレクターは、経済不振により新車の保有年数が約5年に延びていることを踏まえ、「T—Careの期間が終了した4年目以降のサービスも策定中だ」と話す。
今年は現地生産するハイブリッド車(HV)の発売から3年目で、電動車向けサービスも強化。所有3~5年目を対象にHV・電気自動車(EV)バッテリーの無料点検を開始した。通常の8年のバッテリー保証に加えて、点検でデータを提示できるため、顧客には下取り時の正確な価値評価が可能になるというメリットがある。

インドネシアで最初の現地生産HVモデルとして22年11月に発売された「キジャン・イノーバ・ゼニックス」=2月、ジャカルタ特別州(NNA撮影)

アフターサービス以外では、正規ディーラーにおける下取りを促進している。今年アップデートした顧客向けアプリ「mTOYOTA」を使い、整備履歴を記録。信頼できるデータを活用した残存価値の算定につなげる仕組みを構築中だ。
インドネシアの小売りベースの新車販売台数におけるトヨタの市場シェアは、24年が33%。2年連続で上昇した。メンテナンスパッケージを含めた顧客接点の維持は今後の競争力向上の鍵となる。

車両点検の予約機能などをアップデートした「mTOYOTA」について説明するTAMの大出氏(中央)ら=7月、バンテン州(NNA撮影)


■第2ブランド部品、純正品に影響せず
部品販売でも選択肢を増やしている。純正部品に次ぐ第2ブランド部品「T—OPT」を24年に立ち上げ、パートナーとなる販売店や車両整備店など1,000店以上で展開。トヨタの正規ディーラーが出資するTASTIが販売を担っている。
昨年はブレーキパッド、燃料フィルターなどの展開からはじめ、今年は取扱品を、クラッチディスク、クラッチベアリング、クラッチカバーを加えた11品目69品番に拡大する予定だ。
TAMの大出氏によれば、正規ディーラーが取り扱う純正部品の売り上げに影響が出るという想定もあったが、実際には純正部品の売り上げは減らず、T—OPTの販売も伸びている。従来は純正品と廉価品に選択肢が限られていたが、第2ブランド部品により中間に位置する需要を取り込んでいる。
■中古車販売チャンネルを生かす
これまで他業者に流れていた中古車でも事業を強化していく。現在、中古車販売チャンネルは2つ。トヨタの認定中古車などを取り扱う「TRUST」と、アストラグループ傘下の中古車販売会社アストラ・デジタル・モービル(ADMO)が運営する「OLXmobbi」の2つのブランドがある。
他社が展開していたOLX(旧トコバグス)は、アストラ・インターナショナルが23年に買収。トヨタのアジア地域本社トヨタ・モーター・アジア(TMA)が今年5月、ADMOの株式40%を1億2,000万米ドル(約177億円)で取得する形で資本参加した。今後はOLXとTRUSTを連携させ、包括的な中古車事業を進める方針だ。
24年の販売実績はTRUSTが1,100台、OLXmobbiが2万7,300台だった。

アストラ・インターナショナルのトヨタ車販売部門で最大のディーラー網を展開するオート2000のアントン氏(チーフエグゼクティブ)は、「TRUSTでより品質の高い認定中古車を、OLXmobbiでは幅広い車種を取り扱う」と説明した。直近は自動車市場不振の影響があるものの、中古車事業はまだ初期段階にあり、地方への展開を含めて今後の成長余地が大きいと見る。
下取り価格の提示という面でも、両チャンネルの相乗効果を期待する。アントン氏は、すでに中古車販売の実績が長いOLXmobbiの持つ市場データを参照することで、最適な下取り価格を顧客に提示できるとメリットを挙げた。

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今年は現地生産するハイブリッド車(HV)の発売から3年目で、電動車向けサービスも強化。所有3~5年目を対象にHV・電気自動車(EV)バッテリーの無料点検を開始した。通常の8年のバッテリー保証に加えて、点検でデータを提示できるため、顧客には下取り時の正確な価値評価が可能になるというメリットがある。
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■第2ブランド部品、純正品に影響せず
部品販売でも選択肢を増やしている。純正部品に次ぐ第2ブランド部品「T—OPT」を24年に立ち上げ、パートナーとなる販売店や車両整備店など1,000店以上で展開。トヨタの正規ディーラーが出資するTASTIが販売を担っている。
昨年はブレーキパッド、燃料フィルターなどの展開からはじめ、今年は取扱品を、クラッチディスク、クラッチベアリング、クラッチカバーを加えた11品目69品番に拡大する予定だ。
TAMの大出氏によれば、正規ディーラーが取り扱う純正部品の売り上げに影響が出るという想定もあったが、実際には純正部品の売り上げは減らず、T—OPTの販売も伸びている。従来は純正品と廉価品に選択肢が限られていたが、第2ブランド部品により中間に位置する需要を取り込んでいる。
■中古車販売チャンネルを生かす
これまで他業者に流れていた中古車でも事業を強化していく。現在、中古車販売チャンネルは2つ。トヨタの認定中古車などを取り扱う「TRUST」と、アストラグループ傘下の中古車販売会社アストラ・デジタル・モービル(ADMO)が運営する「OLXmobbi」の2つのブランドがある。
他社が展開していたOLX(旧トコバグス)は、アストラ・インターナショナルが23年に買収。トヨタのアジア地域本社トヨタ・モーター・アジア(TMA)が今年5月、ADMOの株式40%を1億2,000万米ドル(約177億円)で取得する形で資本参加した。今後はOLXとTRUSTを連携させ、包括的な中古車事業を進める方針だ。
24年の販売実績はTRUSTが1,100台、OLXmobbiが2万7,300台だった。

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