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大和ハウス、物流3棟目完成海外最大規模、内需取り込み狙う

大和ハウス工業は22日、マレーシアの首都圏スランゴール州シャアラムで、同社マレーシア3棟目となる物流施設の竣工(しゅんこう)式を開いた。複数のテナントが入居できるマルチテナント型物流施設で、延べ床面積は東京ドーム約3個分に上り、同社にとって海外最大規模の物流施設となる。消費財の需要増や電子商取引(EC)の普及に伴い拡大する国内の物流需要の取り込みを狙う。

「DPLマレーシア・シャーアラムIII」の竣工式でテープカットする大和ハウス工業の更科氏(左から4人目)ら=22日、スランゴール州(NNA撮影)

大型マルチテナント型物流施設「DPLマレーシア・シャーアラムIII(ディーピーエル・マレーシア・シャーアラム・スリー)」は、大和ハウスの100%出資会社ダイワハウス・マレーシア・ロジスティックが事業主・運営会社となり、地場企業が設計、施工した。総事業費は約170億円で、10月1日にテナント企業の入居を開始する。
地上3階建てで、敷地面積6万742平方メートル、延べ床面積15万6,122平方メートル、賃貸面積11万5,420平方メートル。賃貸面積は、2021年11月に完成したマレーシア2棟目の物流施設「DPLマレーシア・シャーアラムII」の10倍に上る。
同施設は、DPLマレーシア・シャーアラムII、1棟目の「DPLマレーシア・シャーアラムI」(20年9月完成)の隣接地に位置する。首都クアラルンプール中心部から南西に約27キロメートル、24年のコンテナ取扱量で世界10位にランクインし、アジア・中東・欧州を結ぶ主要航路の要衝の港であるクラン港から約24キロ、クアラルンプール国際空港(KLIA)から約40キロと、消費地や海と空の玄関口にアクセスしやすいことが特徴だ。また、高速道路でマレー半島南部ジョホール州や同北部ペナン州にもアクセスでき、地方都市とをつなぐ要所となる。
施設内には、115台分の屋内型の高床式トラックバースを備える。マレーシアではトラックの高さがさまざまであることから、スムーズに荷下ろしができるように、ドックレベラー(荷物の出し入れをする際に高さを調整する装置)を設置している。また、火災発生時に被害を最小限に抑えるため、短時間で制圧消火が可能なスプリンクラーシステム「ESFR」を採用しており、テナント企業はインラックスプリンクラーの設置が不要となる。
別途追加工事が必要だが、1階のみコールドチェーン(低温物流)にも対応が可能。地震がほぼないマレーシアでは、日本よりも高く貨物を積み上げることができ、積載荷重(床荷重)は1平方メートル当たり3トンと、日本国内の施設の2倍に上る。

位置図(大和ハウス工業提供)

最大12テナント(1区画6,432~1万1,849平方メートル)の入居が可能で、各区画にテナント企業の従業員が使用できる事務所やイスラム教徒(ムスリム)向けの祈祷(きとう)室を設置。従業員用の屋内駐車場(自動車484台、二輪車515台)、駐車場から各フロアへの直通エレベーターも設置し、働きやすい環境を整備した。

「DPLマレーシア・シャーアラムIII」の外観=スランゴール州(大和ハウス工業提供)

■2年以内の満床目指す
1棟目は冷凍冷蔵倉庫で、酒類・食品の卸売りを手がける国分グループ本社(東京都中央区)とマレーシアのコングロマリット(複合企業)テクスケム・リソーシズの合弁会社、国分フードロジスティクスマレーシアが入居する。2棟目は常温(ドライ)倉庫で、日系企業では公文教育研究会が入居している。
大和ハウスの更科雅俊氏(上席執行役員・ビジネス・ソリューション本部・建築事業本部長、ダイワハウス・マレーシア・ロジスティック社長)は、「マレーシアではこれまで日系企業を主なターゲットとしてきたが、複数のテナントが入居できる3棟目では日系企業に限定する必要はないと考えている」と説明。食品や家電、家具といった消費財を扱う企業から引き合いがあり、完成から2年以内の満床を目指すとした。
■まずはシャアラムを中心に
大和ハウスは海外では、ベトナム、インドネシア、タイ、マレーシア、米国の5カ国で物流施設計28棟、総延べ床面積約80万7,000平方メートル(今年8月末時点)の開発を手がけた実績を持つ。
更科氏は東南アジア市場について、「人口はマレーシアよりインドネシアやベトナム、フィリピンの方が多いが、所得水準を見ると、マレーシアは内需に期待できる」と説明。マレーシアではスランゴール州政府とも良好な関係を築いていることから、まずはシャアラムを中心に事業を展開していく方針で、将来的には他地域でのインフラに合わせた物流施設の開発も視野に入れているとした。

【写真左】トラックバース【右】倉庫内=22日、スランゴール州(NNA撮影)
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大型マルチテナント型物流施設「DPLマレーシア・シャーアラムIII(ディーピーエル・マレーシア・シャーアラム・スリー)」は、大和ハウスの100%出資会社ダイワハウス・マレーシア・ロジスティックが事業主・運営会社となり、地場企業が設計、施工した。総事業費は約170億円で、10月1日にテナント企業の入居を開始する。
地上3階建てで、敷地面積6万742平方メートル、延べ床面積15万6,122平方メートル、賃貸面積11万5,420平方メートル。賃貸面積は、2021年11月に完成したマレーシア2棟目の物流施設「DPLマレーシア・シャーアラムII」の10倍に上る。
同施設は、DPLマレーシア・シャーアラムII、1棟目の「DPLマレーシア・シャーアラムI」(20年9月完成)の隣接地に位置する。首都クアラルンプール中心部から南西に約27キロメートル、24年のコンテナ取扱量で世界10位にランクインし、アジア・中東・欧州を結ぶ主要航路の要衝の港であるクラン港から約24キロ、クアラルンプール国際空港(KLIA)から約40キロと、消費地や海と空の玄関口にアクセスしやすいことが特徴だ。また、高速道路でマレー半島南部ジョホール州や同北部ペナン州にもアクセスでき、地方都市とをつなぐ要所となる。
施設内には、115台分の屋内型の高床式トラックバースを備える。マレーシアではトラックの高さがさまざまであることから、スムーズに荷下ろしができるように、ドックレベラー(荷物の出し入れをする際に高さを調整する装置)を設置している。また、火災発生時に被害を最小限に抑えるため、短時間で制圧消火が可能なスプリンクラーシステム「ESFR」を採用しており、テナント企業はインラックスプリンクラーの設置が不要となる。
別途追加工事が必要だが、1階のみコールドチェーン(低温物流)にも対応が可能。地震がほぼないマレーシアでは、日本よりも高く貨物を積み上げることができ、積載荷重(床荷重)は1平方メートル当たり3トンと、日本国内の施設の2倍に上る。
[caption id="attachment_28946" align="aligncenter" width="600"]位置図(大和ハウス工業提供)[/caption]
最大12テナント(1区画6,432~1万1,849平方メートル)の入居が可能で、各区画にテナント企業の従業員が使用できる事務所やイスラム教徒(ムスリム)向けの祈祷(きとう)室を設置。従業員用の屋内駐車場(自動車484台、二輪車515台)、駐車場から各フロアへの直通エレベーターも設置し、働きやすい環境を整備した。
[caption id="attachment_28944" align="aligncenter" width="620"]「DPLマレーシア・シャーアラムIII」の外観=スランゴール州(大和ハウス工業提供)[/caption]
■2年以内の満床目指す
1棟目は冷凍冷蔵倉庫で、酒類・食品の卸売りを手がける国分グループ本社(東京都中央区)とマレーシアのコングロマリット(複合企業)テクスケム・リソーシズの合弁会社、国分フードロジスティクスマレーシアが入居する。2棟目は常温(ドライ)倉庫で、日系企業では公文教育研究会が入居している。
大和ハウスの更科雅俊氏(上席執行役員・ビジネス・ソリューション本部・建築事業本部長、ダイワハウス・マレーシア・ロジスティック社長)は、「マレーシアではこれまで日系企業を主なターゲットとしてきたが、複数のテナントが入居できる3棟目では日系企業に限定する必要はないと考えている」と説明。食品や家電、家具といった消費財を扱う企業から引き合いがあり、完成から2年以内の満床を目指すとした。
■まずはシャアラムを中心に
大和ハウスは海外では、ベトナム、インドネシア、タイ、マレーシア、米国の5カ国で物流施設計28棟、総延べ床面積約80万7,000平方メートル(今年8月末時点)の開発を手がけた実績を持つ。
更科氏は東南アジア市場について、「人口はマレーシアよりインドネシアやベトナム、フィリピンの方が多いが、所得水準を見ると、マレーシアは内需に期待できる」と説明。マレーシアではスランゴール州政府とも良好な関係を築いていることから、まずはシャアラムを中心に事業を展開していく方針で、将来的には他地域でのインフラに合わせた物流施設の開発も視野に入れているとした。
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